歴歩

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霊岩郡・沃野里古墳群 馬韓首長墓を試掘調査 甕棺から人骨

2021年03月31日 | Weblog
 霊岩郡は栄山江の古代馬韓文化を究明するために、古代文化財研究院により沃野里古墳群(옥야리 고분군、全南道文化財史料第140号)の試掘調査を実施した。
 沃野里古墳群は4~6世紀に築造され、馬韓文化を継承した栄山江古代勢力の中心拠点のうち1つとされる。
 今回の調査で封墳の中から栄山江流域独特の甕棺墓(옹관묘)とともに石室墓(석실묘)などが確認された
 また、甕棺墓で古代首長人骨が一部確認された。
[参考:聯合ニュース]

過去の関連ユース・情報
 沃野里
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韓国・全南羅州佳興里新興古墳 5世紀半ばの前方後円墳を確認

2013年10月08日 | 韓国の遺跡・古墳など
 大漢文化財研究院は8日、全南羅州佳興里新興古墳(나주 가흥리 신흥고분)を発掘調査した結果、これまでで最も古い5世紀半ばの前方後円墳(注1)であることを確認したと発表した。
 日本列島の墓様式である前方後円墳は栄山江流域を中心に国内で13基(注2)が確認されているが、その大部分は築造時期が6世紀始めとみられている。
 (注1) 最近、「前方後円形古墳」と書いていたが、今回は「前方後円墳」と書いている。
 (注2) 今年の初めに、康津永波里古墳が前方後円墳と発表されて、14基目のはずであったが。

 この古墳は墳丘長が30mに達するもので、丘陵を削り扁平にさせた後積み上げていた。 埋葬施設は横口式石槨構造で、被葬者は木柱で骨組を立てた後、石室に安置された。
 石槨から、鉄製大刀と鐵矛(鉄槍)、鉄斧、 サルポ(鏟、살포)などの鉄器類をはじめとして、多量の玉と短頚壷、碗(鉢), 棺釘(꺾쇠)と鎹(かすがい、꺾쇠)数十点などが収集された。
また周溝では、日本では埴輪と称する円筒形土器をはじめとして伽耶系器台, 短頸壺、碗、長卵形土器などが出土した。
 調査団は、5世紀に築造した横口式石槨墓(횡구식 석곽묘)は、栄山江流域では霊岩沃野里方台形古墳(全羅南道記念物84号)が唯一だったとして、今回の発見を重要視している。
[参考:聨合ニュース]

過去の関連ニュース・情報
 2013.2.20 康津・永波里古墳 韓国で14番目の前方後円墳が見つかる
 2008.11.22 韓国の前方後円墳 海南龍頭里古墳を発掘調査 6世紀中頃築造
 2010.10.25 全南霊岩・沃野里方台形古墳 4本の木柱を立てて石室壁を築造した横口式石室墓(앞트기식 돌방무덤)を発見、埴輪も出土

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全南霊岩郡ソントゥルボン土城 5世紀頃の築造と判明

2012年05月18日 | 韓国の遺跡・古墳など
 国立羅州文化財研究所は17日、全南霊岩郡始終面内東里にあるソントゥルボン土城(성틀봉토성)(注1)
が、栄山江流域の5世紀頃古代甕棺古墳築造勢力と関連する城郭であることを初めて確認したと発表した。
 同研究所は先月9日から25日まで試掘調査を行った。 この城壁は築造当時の地表面を整えた後、その上部に磨砂土と粘性土を交互に固めた版築技法で土塁(城壁)を作った後、土塁にさらに黄色砂質粘土で覆って築造された。
 特に土塁を積み上げる時、木柱を打ち込んだ溝施設を確認した。城壁の全周は約190m、高さ約1.7m、幅約10mであった。
 城の築造時期は、土塁内部から5世紀始めから中頃と判断される甕棺片が出土して、城壁の版築手法と規模が百済城より古式であり、規模が小さい点、また、この土城周辺に靈岩内洞里双墳と靈岩沃野里方台形古墳をはじめとする多数の5世紀頃甕棺古墳群が散在することから、5世紀の築造とみられる。
[参考:聨合ニュース]

(注1)성틀봉の漢字表記が見当たらない。城の形をした峰というような意味か?

過去の関連ニュース・情報
 2010.10.25 全南霊岩・沃野里方台形古墳 4本の木柱を立てて石室壁を築造した横口式石室墓を発見、埴輪も出土
 2010.4.18 栄山江流域 全南霊岩郡・長洞方台形古墳 2次調査着手
 2009.9.28 韓国・高敞鳳徳里古墳群1号墳 5世紀の百済金銅製履物出土
 2009.4.3 韓国全南羅州市 永洞里古墳群 蜂の巣型古墳を確認
 2008.7.25 百済時代 地方木簡 羅州伏岩里古墳群で初めて出土 製鉄所も発見
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全南霊岩・沃野里方台形古墳 4本の木柱を立てて石室壁を築造した横口式石室墓を発見、埴輪も出土

2010年10月25日 | Weblog
 国立羅州文化財研究所は25日、全南霊岩郡始終面沃野里方台形古墳(영암 옥야리 방대형고분)に対する発掘調査結果、南北約30m、東西約26.3mの封墳の中に横口式石室墓、竪穴式石槨墓、甕棺墓、木棺墓等多様な埋葬施設が確認されたと発表した。
 封墳中央で発見された横口式石室墓は、石を積んで造った墓室が長軸3m、短軸1.1m程の細長方形であり、特に4つの木柱を立てて石室壁を築造していた。木柱を立てて石室壁を築造したものは栄山江流域古墳では報告されたことがなくて、伽耶地域に属する昌寧・校洞、金海・大成洞、良洞里古墳などの地だけから確認されている。
 封墳はクモの巣形状で、区域を分割して土を埋める方式で積んだことが明らかになった。分割盛土する方式は、今までは伽耶地域古墳築造方式の典型的な方法と知られたが、今回の栄山江流域古墳でもその事例が明確に現れたとしている。
 墳丘と封墳周囲を囲うような溝から、日本で「埴輪」と称する円筒形土器が多量出土した。
 これまで、霊岩始終面一帯には4世紀頃甕棺古墳が密集分布して初期甕棺古墳社会の中心勢力だったと知られたが、今回の発掘調査を通じて、6世紀前後の時点にも相当な中心勢力が存続していたことを確認することができたという。
[参考:聨合ニュース]

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栄山江流域 全南霊岩郡・長洞方台形古墳 2次調査着手

2010年04月18日 | Weblog
 4月15日の聨合ニュースで、栄山江流域の代表的な巨大古墳の一つである全南霊岩郡チャンドン古墳(장동고분)の2次発掘着手のニュースが配信された。
 昨年、本古墳の周溝の範囲確認のための発掘調査が行われ、墓の大きさは南北36.6m、東西31mの長方形であり、周溝(주구)が幅5m、残存深さ約1.5mでかなりよく残っていることが確認された。
 調査を通じて円筒形土器(원통형 토기)2点が東側周溝から出土した。墓の内外に列をなして立たせておく儀式用土器であるこの円筒形土器は、国内では全南地域だけにしか見えないのに、日本でも似たような土器が「埴輪(하니와)」という名前で存在して、古代日本との文化交流があったことを推定するような遺物である。
 本古墳は構造や性格など学術調査がなされないまま、1986年に全羅南道記念物に指定され、以後整備されたが周辺地域が耕作地で利用されているために毀損が進行された。発掘調査に当たっている国立羅州文化財研究所は、本古墳が栄山江流域の巨大古墳築造勢力の性格を把握するのに重要な遺跡であるとしている。
[参考:聨合ニュース]
 以上が、ニュース記事の内容である。

 チャンドン古墳(장동고분)とは、前方後円墳としてよく知られるチャランボー古墳(자라봉고분)ではないようだし、ようやく調べついたのが長洞方台形古墳(장동 방대형고분)であった。国立羅州文化財研究所のホームページの中に昨年度の調査報告書が収納されていた。その中身の概略を下記にまとめてみる。
 所在地は、全南霊岩郡始終面沃野里。霊岩郡の古墳群は計44ヶ所が確認されているが、このうち25ヶ所の古墳群が始終面に分布している。霊岩地域で調査された古墳の埋葬主体は甕棺、土窟+甕棺、石室であるが、大部分が甕棺を中心に埋葬する。石室はチャランボー古墳で1基が調査されている。
 長洞古墳群は海抜15m前後の低い丘陵の頂上部に方台形墳2基と円形墳1基がある。長洞古墳群の1号墳である長洞方台形古墳は、1980年代調査当時、長さ38m、幅35m、高さ5mで墳頂平坦部に2~3ヶ所の陥没部があり盗掘されたことが報告されている。
現在の墳丘は整備復元されて芝が植栽されているが、周溝が存在する墳丘周辺はかなり畑で開墾され、開墾された畑の地表上には土器片と甕棺片が露出していて、相当部分が毀損されたと考えられていた。
 周溝平面調査結果、周溝は墳丘全周に回っており、周溝内側線を基準とすると墳丘は南北中央36.6m、東西中央31m、高さ約6.7m、上部平坦部長さ13.4m、幅10.4mであった。
 発見された円筒形土器の1つ(注1)をみると、下部は狭く、上部にかけ広がる形状で器高57cm。底部に直径3.5cmの円形透孔があけられていた。3個の突帯が巡らされていて、第1突帯は1条、第2突帯は2条である。2~4段には波状文が施文されており、2段、3段には三角形の透孔(5*5cm)(注2)が等間隔であけられている。既存の韓国内外の円筒形土器とは違った状態で、円筒形土器導入以後地域性が加味された変形円筒形土器である可能性が高いとみられる。この出土品からみると長洞古墳築造勢力が日本と緊密な関係を維持していることが分かり、共に霊岩地域の初めての円筒形土器出土事例という点で意味がある。
栄山江流域の初期甕棺古墳中心地として知られた霊岩郡所在大型墳丘に対する発掘調査を実施したが、調査結果では古墳の墳形と出土した円筒形土器から推定すると、後期甕棺古墳である可能性が大きいことを確認した。
[参考:霊南長洞方台形古墳発掘調査2009.6/国立文化財研究所]
(注1) 写真から推定すると最下部の直径約17cm、最上部の直径34cmほどか。
(注2) 2段目は逆三角形、3段目は三角形
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