広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:ミザリー

2005年07月18日 | 観劇レビュー
日時:
 2005. 7. 3 17:30 広島厚生年金会館
作・演出:
 スティーブン・キング・松本祐子
出演:
 渡辺えり子・小日向文世
感想:
 客の入りは9割以上
当日券もあったようですがほぼ満杯。
渡辺えり子、もしくは小日向文世効果に
よるものかは不明ですが
なかなかの観客動員数ということになります。
さくらピア主催ということで
動員がかかっているのかもしれませんが
定期的に舞台が見られる廿日市は
恵まれた地域と言えるのかもしれません。
しかしさくらピアホールの存亡がかかっているための
政治的思惑もあるのかもしれないところが
なかなか興味を引きますが。
さて、観客層も日曜日であり
さくらピアということでいつもととは
ちょっと違いました。
普通の人が普段着で軽い気持ちで見に来ていたようです。
これが本来の舞台目指すところだと思います。
しかし、若い人が少なかったのが残念でした。
舞台セットはなかなかお金のかかったもので
必要最低限かつ効果的な作りでした。
また、衣裳も派手さはないものの
場面に合わせ考えられたものでした。
笑っちゃう衣裳もありましたが。
さて、内容は小説に映画にと有名な作品。
そしてその両方を知っていたのですが
舞台は舞台で楽しめました。
渡辺えり子が怖いんです。
まさにいっちゃってる精神状態を見事に演じきっている。
演じている渡辺をほめるべきか
見事な演出、脚本をほめるべきなのか
ちょっと判断が迷いますが、とにかく良い。
あの独特なホラーさというかサイコチックなところが
見事に舞台に表現さています。
また、小日向が良い。
飄々とした演技、軽すぎず重すぎず
一種独特のワールドを展開していきます。
そして芝居のテンポがよい。
二人の芝居のため舞台にはもちろん二人しか出てきません。
そして、小日向はとらわれの身なので必ず登場です。
二人の時の掛け合い、一人の時の苦悩、悲壮感を
時にコミカルに時にシリアスに物語は展開していきます。
話が長く感じることはなくおもしろいので
名作か!なんて思わせますが
やはりちょっと・・・ってところはあります。
それは海外作品ということで仕方がないのですが
設定に完全に乗り切れない部分があります。
名前からしてポールとアニーですから。
それと文学に対する捉え方の違い。
ハードカバーとペーパーバックの関係。
そして都会と地方の関係など
社会形態がやっぱり日本とは違うなと・・・。
名作には足り得ませんが
秀作であることは間違いありません。
最後にひとつ気がかりなのは
そのエンディング。
あれはどういった意味なのでしょうか。
小日向が精神的に追いつめられ見た夢なのか。
渡辺は退治されちゃったエンディングなのか。
この物語自体が完全なる創造物だったのか。
舞台は語らず終わってしまった。

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