広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:ロミオとジュリエット

2005年01月28日 | 観劇レビュー
日時・会場:
 2005.1.28/29/30 19:00 広島厚生年金会館
作・演出:
 Wシェークスピア・蜷川幸雄
出演:
 藤原竜也・鈴木杏ほか
感想:
 ロミオとジュリエット 藤原君はうまいです。そして格好良いです。本物だと思います。舞台に上がると存在感もかなりのもので、実になかなかいい男である。テレビのイメージとは違い、良い意味で裏切られます。また、細いぞ。すら~っとして顔は確かに舞台向きで大きめなのかもしれない。女の人から見た目はわからないが男から見て良い雰囲気を持っているなぁと思わせるものがあった。今回の演目はご存じシェークスピアのロミオとジュリエット。"おぉロミオ、あなたはどうしてロミオなの?"有名なシーンである。しっとりとした見せ場の一つである。しか~し、今回蜷川演出はそんなしっぽりシーンを新解釈。うきっ~って感じで舞台を走り回り、飛び回る"えてこう藤原"。バルコニーで微笑むは二の腕ムチムチ佐々木杏。見た目ベッキーとの呼び声もあるが、個人的には表情のつく方とわざとらしさは小池英子系だと感じる。まぁ、計算し分けわかんないプライドがない純なぶん杏ちゃんには救いがある。これからの成長に期待。こちらも顔大きめで舞台向きだと思う。この芝居もうびっくり新生ロミオとジュリエット。これが良いのか悪いのか正直判断いたしかねます。ロミオはおつむの軽いファンキー兄ちゃん、対するジュリエットは恋に恋するじゃじゃ馬お嬢さん。そういえば昔の流行歌にあったっけ"わがままジュリエット"まさにそんな感じ。良家のお嬢さんって感じは見る影もない。また、脚本にも大きく手がはいっている。シェークスピア風の言い回しの雰囲気は残しているが、だいぶ言葉が軟化されてた。翻訳時に現代語に置き換えられてたのは観客に対する配慮か、はたまた役者に対する配慮なのか。そして、台詞回し。"生麦、生米、生卵。生麦、生米、生卵。"そんな早口を繰り返すような台詞速度。現代人の嗜好を計算した1.3倍速演劇なのか。情報過多で観客を翻弄し、間延びした感じの古典的比喩の意味を観客に考える理解する時間を与えないことで実質的に排除してしまっている。存在はするが魂がないのだ。それが現代のエンターテイメントに対する蜷川の心意気?ではなく彼なりの解釈なのだろう。そんなにすばやい台詞回し展開であっても3時間公演という長丁場。もっと長いのを2日間にたて続けて強行軍するという冒険もしていたが、いまいちだったのか、あるいは今回のホリプロなどの意向なのか興味がつきない。役者ついでに脇役について。主役を食うほどの演者はなく、かといって足をひっぱるほどの演者もない。芝居をがっしりと引きしめる感じの配置であった。淡々とおしすすめる役者の選択と配置はやっぱり蜷川妥協を許さないなと一人ほくそ笑んだ。しかし、グレート義太夫がなんででているのか謎だったけど。良い舞台ってのは"あっという間に"終わってしまうものだと思う。観客を飽きさせずほかのことを考えさせない気づかせない。今回のロミジュリは"あ、あぁっぅ~っと"いう感じ。テンポ展開も早くめまぐるしいほど進むのだがその分登場人物の心情背景が届いてこない。知っているお話だからあえてそうなのか、そんなものお構いなしで進むのが現実だという比喩なのか。深みがない感じられない。藤原君、鈴木ちゃんでは無理だとの判断か、ロミジュリ自体が和製では無理ということなのか。そういった意味では今回はベストではないがベターな芝居だったと思う。今回の舞台で一番の謎は322枚の顔でした。(笑)舞台セットは3段の雛壇のような段々舞台。時にはバルコニー、時には崖、時には道と考えられたセットに感心した。しかし、通常落ち着いた感じの色をベースとし場面によりライトや小道具でその場所を作り出すのだが、今回はわけわかんない顔。写真高さ1メートル幅80センチぐらいの顔、犯罪者リストかタレント名鑑のような縦横に張り付いてた。これはどういう意味なのか全くわかんない。全人類って訳でなく子供から大人まででもない。大変偏った選択の顔写真。これだったら端っこの方に自分も載せてほしいと本気で思った。それくらい意味はないと思う。これについてパンフに何か書いてあったのなら、たぶんパンフのための演出なのだろう。次は観客について語ろう。広島厚生年金会館入ってびっくり観客は女性ばかり。満員御礼にかかわらず、ぱっと見男性数%。舞台とは乙女チックなものだろうけどここまでとは・・・。藤原君が舞台現れると、さっ~っと客席の雰囲気が変わったのがわかった。そうだ彼のファンばかりなのだ。チケットを完売させ、追加公演まで打たせたのは藤原君のお陰なのだ。なぜなら、鈴木杏ちゃんファンのパッピを着てハチマキを巻き黄色い声援をだみ声でコール人はいなかったのだから。恐るべし竜也。入ってすぐ驚いたのは観客だけでない。スモークなんですスモーク。舞台は白く見えないぐらい、そして観客席にはぼんやりともやがかかっている感じ。なんでこんなことをするんだ蜷川と思わせるぐらいスモークが開演前よりスモークがありました。演出なんだろうけど、その意図は今持って謎です。残るは衣装。ロミオ黒組とジュリエット白組で、偉いおっさんが赤組で視覚的にも両家の対立が一目でわかるように演出されてた。今風のレザーパンツやワークスパンツを使っているのだが、なし崩し的に中世的な味付けを敢行浮かない程度にアレンジさてれ良い感じ。ちなみに藤原君の1部に着ていた白のセーターの下っ足らずのフレアー型が個人的にどきどきしました。鈴木杏のドレスにはどきどきできませんでした。あくまでも杏ちゃんの二の腕プニプニがうれしかった。というような舞台でした。結構楽しめた新年一発目としてはあたりだと思います。今年も楽しい演劇ライフを期待しつつ、なむぅ~。