鉄道改善案

鉄道改善提案、延伸、新線構想、理想ダイヤ、理想配線図、車両デザイン批評、鉄道と地域、都道府県・市町村改編、交通改善総合

無駄な相直はやめるべき

2016年08月28日 | 鉄道一般
相互直通は一般には利便性向上のため歓迎される傾向にある。しかし、誤った相直は利用者にかえって害を及ぼす。以下に例を挙げる。

1.東西線-中央緩行線直通は廃止せよ
 東京地下鉄東西線は中央緩行線と相互直通を行っているが、これを廃止すべきである。その理由は中央快速線における高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪の杉並3駅問題による。
 国鉄時代、中央線を複々線化する際に、もともとこの3駅には快速線ホームを設けない計画だったが、住民の反対で快速も停車するようになった。しかし快速がこの3駅に停車することで運行全体にはデメリットが多い。まず朝ラッシュ時の混雑は快速線が190%以上に対し緩行線は100%に届かない。首都圏の通勤路線で混雑率が100%に届かない路線はない。緩行線に「空き容量」が多分にあるのであり、せめて朝ラッシュ時だけでも快速線はこの3駅を通過して混雑の平準化を図るべきである。さらに平日日中についても快速がこの3駅に停車することで特別快速、特急の速達化の妨げになっている。よって快速は高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪の3駅は終日通過すべきである。
 しかしながら、快速が3駅通過となると3駅利用者の利便性が低下する。というのも現在のダイヤでは緩行線は平日日中毎時8本中4本が地下鉄東西線直通であり、新宿直通列車は4本しかないからである。3駅を快速が通過するためには緩行線の新宿直通列車を大幅に増便する必要がある。そこでその妨げとなっている東西線との直通を中止すべきである。そして緩行線は中野~三鷹も毎時12本(5分毎)の運転にする。これで3駅から新宿に行く利用者の不便は解消される。(一方で東西線直通利用者の不便を解消するために中野駅の配線を改良して緩行線と東西線が対面乗り換えできるようにすべきである。東西線は5分毎、緩行線も5分毎であれば中野駅で必ず待たずに乗り換えできるから、乗り入れる必要性はなくなる。)

快速は高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪(杉並3駅)を通過すべき
→緩行線(各駅停車)の新宿直通を大幅に増やすべき
→緩行線の東西線直通を廃止すべき

 すなわち、東西線の緩行線との相互直通が杉並3駅問題の解決を阻害する根本要因といえる。そもそも東西線-緩行線直通列車は日中はガラガラでほとんど利用されていない。三鷹~中野の相直列車は明らかに赤字であり、中野駅の煩雑性も相まってニーズに全くあっていない。緩行線の新宿直通列車が平日日中に4本/時しかないこともあり、結果的に利用者が快速線に集中している。現時点の運行法ではせっかくの複々線の無駄遣いである。確かにこの区間は国鉄最初の地下鉄との乗り入れ区間ということでJRのメンツがあるのかもしれないが、利用者にとってそんなことはどうでもよいことである。

2.京都市交烏丸線-近鉄京都線相直は意味がない
 近鉄京都線は京都市営地下鉄烏丸線と相互直通運転を行っているが、この直通にどれほどの意味があるのか。竹田駅での相互直通人員は1万人/日以下であるが、通過人員が1万人の相互直通など何の意味もない。むしろ近鉄京都線のダイヤパターンがこの相直のせいで崩されており、わかりにくさを利用者に押し付けている。このような本末転倒の事態になるならばこの相直はやめるべきである。竹田駅で対面乗り換えできれば利便性はほとんど減じないばかりか、近鉄京都線は綺麗な15分サイクルとなりかえってメリットの方が多いだろう。もっとも、烏丸線を松井山手に延伸した際には、煩雑な運行を避けるためにこの相直はますます不要になる。

3.日比谷線-東横線相直の廃止は正解
 東横線-副都心線直通のダイヤ改正により、長年続いていた日比谷線-東急東横線の相互直通が廃止された。そもそも日比谷線は東急とは車両規格の異なる路線であり運用が煩雑になるばかりでなく、15分パターンに無理矢理30分毎の直通列車を捻じ込んでいた。中目黒で対面乗り換えできれば十分便利であるから、廃止は賢明であったといえるだろう。他社もこの姿勢を見習うべきである。

4.相鉄-JR相直は廃止せよ ―相鉄いずみ野線-目黒線-三田線直通に限定すべき―
 神奈川東部方面線の建設により、JRと東急への乗り入れが予定されている相鉄線であるが、結論からすると、JR乗り入れ計画は中止すべきである。広大なJR網に相鉄を介し東急、東京地下鉄、さらには西武、東武が繋がり、どこかでダイヤ乱れが発生した際に全路線に波及し、収拾がつかなくなる。相互直通網の無制限の拡大暴走ほど恐ろしいことはないのである。ここは東急乗り入れのほうに徹するべきであろう。
 さらに東急線内においても、直通を目黒線のみに限定すべきであろう。東横線は副都心線さらには東武東上線、西武新宿線に直通し、現状でも一度ダイヤが乱れると回復に時間がかかる。そこに相鉄も直通となれば、収拾がつかなくなる。相互直通は利便性向上があってこそであり、混乱を招かぬためにも相鉄線との直通は東急目黒線-地下鉄三田線のみに限定すべきである。
 加えて、相鉄線内においては東急線への直通列車はいずみ野線のみに限定すべきである。これはX字型運転の煩雑性を避けるためである。何より本線→横浜、いずみ野線→東急目黒線と系統を分離することで、利用者にとってわかりやすい運行体系になる。本線から東急線、いずみ野線から横浜へは二俣川で対面乗り換えすればよい。


 相互直通の目的は利便性向上である。複雑怪奇な相互直通網を展開するあまり利用者に混乱を与えては本末転倒である。利用者を無視して何でもかんでも乗り入れればよいという「相互直通至上主義」はむしろ害である。メリットのない相互直通は廃止すべきである。