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file.036 Willie MAYS 03 【ウィリー・メイズ 03】

2005-11-12 | willie mays
【ザ・キャッチとバスケット・キャッチ】
Willie MAYS

1954年、メイズの在籍するニューヨーク・ジャイアンツは
インディアンズとのワールドシリーズに臨んだ。
結局、ジャイアンツがシリーズを制する事になるのだが、
このシリーズでメジャーリーグ史に燦然と輝くスーパープレーが演じられた。
『ザ・キャッチ』である。
内容はいまさら記すまでもないだろう、
緊迫した試合の終盤――同点、無死1・2塁、打席には強打の5番打者、
メイズの信じられないようなプレーにより、
インディアンズは絶好の機会を逃し、
ジャイアンツは最悪の危機を脱した。


51年に新人王を獲得し、メジャーリーグに
華々しくデビューしたメイズだったが
その後2年兵役に就き、52年は34試合出場、
53年は1年、まるまるプレー出来なかった。
しかしこの兵役の間、メイズはあるプレーを収得する、
それが『バスケット・キャッチ』だ。
現役時代の映像を見ると、メイズは、平凡なフライに関しては、
ヘソの前でグラブをお椀を持つように構えて捕っているのがわかる。
メイズによると、ベルトのバックルあたりで打球を捕ると、
体が自動的に正確になり、一番無理のない楽な姿勢になるのだという。
メイズは兵役の間、プロ野球の選手でもなんでもない戦友から
この捕球法を会得した。
ある試合では、センターの守備位置から何十メートルも激走し、
難しいテキサスヒット性の当たりを『バスケット・キャッチ』で好捕したという。
もちろん、この捕球法は誰がやっても楽なプレーでは無い。
メイズの尋常ならざる打球に対する勘と、
類い稀なるセンスの賜物である事に疑いの余地は無い。

『ザ・キャッチ』も、メイズのグラブはお椀を持つような形になっている、
「俺はただフライを捕っただけさ」試合後、メイズはさらりと言った。
案外メイズにとってこのプレーは、本当にその程度だったのかもしれない。