GUMBO

.

file.071 Mike SCHMIDT 【マイク・シュミット】

2006-04-08 | STU
【史上最強の三塁手】
Mike SCHMIDT

1989年5月、一人の強打者がシーズン半ばにして引退を表明した。
フィラデルフィア・フィリーズのマイク・シュミットである。

シュミットは、71年ドラフト2位指名でフィリーズに入団する、
73年にはサードのポジションを与えられるが、
この年18本塁打を放ちながらも、打率.196の低打率に加え
136三振を喫し、屈辱のシーズンを過ごした。
メジャーの高いレベルを思い知らされたシュミットは
そのオフ、プエルトリコのウィンターリーグを戦い、
さらに猛練習を重ね、74年には完全に生まれ変わった姿を
プレーで、ファンに披露した。
前年とは打って変わって打率は.282、ホームランは倍増の38本を放ち
メジャー3年目にして本塁打王に輝いた。
この年は、アストロドームの天井に打球をブチ当てるという
脅威のシングルヒットを打ち、そのパワーを見せつけた。

シュミットは豪打だけの選手ではなかった。
75年-76年と連続で20盗塁を記録、俊足ぶりもみせつけ、
何より守備では堅実かつ華麗、軽快な動きで
10度のゴールド・グラブに輝いた。
パワフルな打撃だけが注目されがちだが
その三塁守備もブルックス・ロビンソンに比肩しうる程の
実力の持ち主である。

75年、打率.249、38本で本塁打王、
76年にも3打率.262、38本塁打で本塁打王に輝き、
この年のカブス戦では4打席連続ホームランと8打点を記録
その存在感をあらためて、全米に知らしめた。

74年と合わせて3年連続でホームランキングに輝いたシュミットだが、
プレーオフではシュミットの打撃は湿りがちになり
76年からフィリーズは3年連続でプレーオフ敗退を喫する。
が、80年シュミットは汚名返上とばかりに打ちまくり
ペナントレースでは打率.286、48本塁打、121打点の二冠、
ワールドシリーズでも打率.381、2本塁打、7打点の活躍で
チームをワールドチャンピオンに導き、
シーズンとシリーズ共に、MVPに輝いている。

翌81年も打率.316、31本塁打、91打点で二冠王&MVPに輝いたシュミットは
その後もメジャーを代表するスラッガーとして活躍を続け、
キャリア18年間で本塁打王8回、打点王4回、MVP3回に輝き、
メジャーでの地位を確固たるものにした。

86年、打率.290、37本塁打、119打点、
87年、打率.293、35本塁打、113打点...と
齢35を迎え、ますます安定したスラッガーぶりを発揮していたシュミットだが

1988年、打率.249、本塁打12の成績に終わると、
1989年も攻守共に衰えを隠す事は出来ず、
5月、涙の引退表明をするのである。

が、その攻守に渡る活躍に敬意を表したファンは、
この年のオールスターで、既に引退したシュミットを
ナ・リーグ三塁手として選出した。
試合には出場できなかったものの、
シュミットはファンの大歓声につつまれたのである。

80年の最高の年を共に戦ったピート・ローズを
「殿堂入りに相応しい選手だ」と何があろうと庇い続け、
テレビなどに出演した時には
ジェスチャーも交え陽気に話すシュミット。
ファンの心をつかんだのは、
そのプレーだけでは無いのもかもしれない。