道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

マタデ(ヤナギタデ)

2024年05月17日 | 自然観察


水鉢の真蓼(マタデ)が繁って来た。
タデ科の一年草。この草は鮎と親密な関係にある。

鮎の友釣りは成魚が縄張りをつくる7月が盛期、県内での解禁は6月の川が多い。太公望たちは、竿を撫して解禁日を待っていることだろう。

真蓼(別名ヤナギタデ)は、鮎漁の盛期と同じ頃に河原に繁茂し、鮎の塩焼きを食べる際の調味料、蓼酢の材料となる。
タデ科植物の中で、辛味があるのはこの種だけらしい。私たちが路傍でよく見かけるイヌタデ(アカノマンマ)の仲間だが、繁殖力は弱いようだ。

残念ながら、この年齢になるまで、ヤナギタデの自生を見る機会に恵まれなかった。仕方ないので、種苗店で数年前に購入した苗が毎年種を落とし、今では地内の随所に生える。

鮎と真蓼との関係は、歴史的に相当古い時代の生活から生まれたもので、有史以前に遡るのでないかと思われる。青銅器時代の遺跡から、真蓼が見つかっているらしい。

そもそも鮎は、ベトナム北部、中国沿岸部、台湾、朝鮮半島、日本(北海道西部,本州,四国,九州)にしか生息しない。したがって鮎漁は、これらの地域でしか行われない。中国大陸から日本列島に渡って来た稲作をする人々の生活文化に、鵜飼いを含む鮎漁が含まれていたと考えてよいかと思う。面白いことに真蓼の自生域も、鮎の生息域と一致して北東アジアに限られるようだ。

鮎の魚体はスイカの香りがする。
魚類一般の生臭みを消すに効果のある調味料は酒と醤油だが、このスイカの香りを身上とする鮎の塩焼きに醤油は禁物である。専ら蓼酢が用いられるのは、香魚と呼ばれる鮎独特の香りと強い関係があるように思う。




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2 コメント

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Unknown (クリン)
2024-05-19 17:25:49
これがたで酢の原料ですか!!🐻(好きなのに知りませんでした💦)
これほど鮎に合うものはありませんよね。
緑色のあざやかさもステキです🍀✨
自家製のたで酢を使って食べたらうれしいでしょうね🎶⤴✨
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Unknown (tekedon638)
2024-05-20 17:52:00
クリン様

コメント有難うございます。

この草、白い小さな花穂が垂れ下がり、
水盤などで育てると風情があり、鑑賞も楽しめます。
日本固有の香辛料と言えるかもしれません。
夏の終わりには種が沢山落ちますので、
いくらでもおわけできるのですが、
匿名性の問題がありますので残念です。
私はネット通販で入手しました。
本当は自生のものを見つけたかったのですが・・・
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