私たちは、歴史上の人物の伝記やその人が主人公として活躍する小説を読み、映画やTVドラマを視て、その人物を敬慕したり親近感をもったりする。小説家や脚本家は、関心をもった歴史上の人物に、自分流の理解で新たな命を吹き込む。歴史上の人物は、著述によってつくられた被造物である。作者たちは、過去に実在した人物に仮託して自己を表現しようとする。無から有を生じせしむるのが創作であるなら、その力量の不足している部分 . . . 本文を読む
日本の社会には「同調圧力」という心理的なバイアスがかかっていると言われている。同質・協調を何にも増して大切にする空気が集団内に瀰漫している。思い付くままに挙げてみると、「同」を冠する言葉の多いことに愕く。同級・同窓・同期・同郷・同年・同胞・同根・同人・同心・同調・同族・同系・同腹・同感・同意・同行・同好・同類・同情・・・馬方みたいに、毎日「ドウドウ」を口にしていなければならない。「同」でなければい . . . 本文を読む
人は何かに成ることを夢見る。何かに成れば、両親・恩師に報恩でき、郷党や親戚・知人にも鼻が高い。先ずもってめでたい。だが成って安穏かというとそうでもないらしい。 成った結果,成った者同士の競い合う世界は前より一層過酷になる。周囲の期待もより高まり、それは重圧になる。最期には必ず「成れの果て」の時が来る。成るも成らぬも「果て」には気をつけなければいけない。「果て」というものは茫漠として,何も見通せない . . . 本文を読む
冬直前暖地とはいえ、日に日に冬は近づいている。①トチノキ近くの公園を歩いたら、クヌギの並木の列に一本だけ、トチノキが育っているのを見つけた。気候的に適地ではないからか葉が小さいが、健やかに育っているのは嬉しい。トチノキの紅葉は、コナラ,クヌギの中では、ひと際目立つ。②ススキ鉢植え栽培しているススキは、まだ穂が枯れない。ノコンギクの種を株元に蒔いて、来年を楽しみに待とう。今年は、ナンバンギセルを根絶 . . . 本文を読む
世の中には、発想の豊かな人がいる反面、発想の乏しい人もいる。発想力は天賦のもので、後天的に発想力を強化したりどうこうできないものだが、社会生活の上ではあまり重要視されて来なかった。実社会で発想が重視されないのは、人の発想は多様すぎて分類も整理もできず、客観的に評価できないことにある。発想は各個バラバラに個人の中に留まっていて、社会生活に直接係ることがないからだろう。発想は個人の中で組織化されなけれ . . . 本文を読む