尾崎士郎の無茶苦茶に長い小説「人生劇場」の主人公青成瓢吉の父瓢太郎は侠客で、男というものは「無鉄砲」でなければモノにならないという考えに固まり、息子を成る可く無鉄砲な男にしようと育てた。江戸の昔から「人生劇場」の時代(大正・昭和)、すなわち侠客と呼ばれる人たちが生きていた時代までの日本人は、「俠気」(虐げられている弱者を助けようとする心)に男らしさを見出していたようだ。混同とも言える。侠気は武士階 . . . 本文を読む
「Lookism」という耳慣れない和製英語があるそうだ。looksとismを合わせ「外見至上主義」を意味するらしい。社会はルックスに過剰な価値を認める方向に進んでいるらしい。いや退いているらしい。若者がテレビ・Instagram・TikTokその他、ビジュアル情報に四六時中接している日常生活が、この傾向に拍車をかけているのだろう。これは世界的な現象に違いない。小学生がお年玉を遣い美容整形外科で瞼の . . . 本文を読む
日本の歴史を調べると、紀元前2世紀から古墳時代が明けて間もなくの上古の時代までに、中国から文字・道教・仏教・儒教などの文化が一挙に雪崩の如く流入したらしい。飛鳥奈良時代に中国に倣って律令制度を導入した日本の朝廷では、貴族は朝廷から授けられる細かな身分制度、官位というものの支配を受けるようになった。官位とは官職と位階のことで、官とは職務の一般的種類のこと、職とは職務の一般的範囲のこととある。ルーツは . . . 本文を読む
ネットワークとかシステムには全く昏い門外漢だが、敢えてシステム思考という事柄について、陋見を述べさせていただきたい。システムを構築するということは、専門性(調査・研究)と統合性(組織化・運用)とが互いに協力し合う関係を築くことである。各個バラバラに独立している専門部門を適切に配置・連結し、互いの部門が有機的に協働できるようにする性能が統合性である。統合を可能にするのは、各専門分野に通暁し理解能力が . . . 本文を読む
中国の春秋戦国時代(紀元前770年代から紀元前221年までの約550年間)というものは、わが国初期の文化黎明期にあたり、極めて重要な時代だったと思うが、未だ漢字を学ぶ前の時期だったために、その時代を伝える本邦の文献史料は存在しない。この時代に中国思想界に現れた諸子百家と呼ばれる思想家たちが、中国人のものの考え方の凡ゆる類型を伝えていると見ることができる。中国人の考え方のプロトタイプは、全てこの時代 . . . 本文を読む