道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

峡谷の街道

2018年01月21日 | 随想
遠州と信州はその昔、〈青崩峠〉一点で通行していた。戦国の世には、甲州武田の軍勢がこの峠を越えて遠州に度々侵寇したらしい。  峠の地下深くを〈中央構造線〉が通る山道は、細かく破砕された岩屑が浮いて崩れやすく、軍勢の通過は困難を極めた。荷駄もろともに千尋の谷底に落ちる兵もあったという。九州に端を発し四国・紀伊半島を縦貫、伊勢湾・三河湾の海底から豊川を経て諏訪湖に至り関東に抜ける . . . 本文を読む
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夏木陽介さん

2018年01月21日 | 人文考察
俳優でラリードライバーだった夏木陽介さんが亡くなった。また昭和のスターが逝ってしまった。 今を去る55年前、夜遅く愛知県潮見坂のドライブインに、年上の遊び友達とふたりで入った。海側の席に、夏木さんがたったひとりで居た。世慣れている上に有名人好きの遊び友達は、図々しくもサインをねだり、勧められるままに席に着いてしばらく3人で雑談した。何を話したかは憶えていない。彼は東京からひとりで車を飛ば . . . 本文を読む
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顔は履歴書

2018年01月20日 | 随想
昨年来、当地で名を知られていた老舗商店の閉店が目立つ。全国の地方都市でも同様の事情は変わらない。 閉店に至らなくとも、国内の産業のあらゆる分野で、統廃合または縮小が進んでいる。昭和の時代の、拡大再生産が当たり前だった頃とは明らかに様相が異なる。  個別の事情はそれぞれあるとしても、背景には、社会の移行による経営環境の構造変化があるようだ。現下は時代がターンオーバー . . . 本文を読む
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春の兆し

2018年01月16日 | 自然観察
節分をあと半月後に控え、数日前の寒波が去って気温が上がった今日、家から段子川を数百メートル下った場所で、ボラの幼魚イナの魚群を見つけた。佐鳴湖から遡ってきたのだろう。 当地の最低気温は例年節分前後に記録される。旧臘22日の冬至から3週間を経て、太陽光線の入射角は高くなっている。陽光は川底を暖め、水温が上がり淡水魚類の遡上を促す。生き物は季節の変化を正確に捉える。今年はイナに春の兆しを教え . . . 本文を読む
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「西郷どん」

2018年01月08日 | 随想
今年のNHK大河ドラマ「西郷どん」の初回を見た。国民的期待の強いドラマだが、考証に凝って俳優が皆薩摩弁を喋るので、何を言っているのかさっぱりわからない。それがお茶の間の率直な評判だろう。 鹿児島弁は難しい。幕藩時代の鹿児島藩は、公儀隠密の侵入を防ぐ目的で、故意に家臣、領民の話し言葉を難解にしたとまことしやかに伝えられている。 この説は、外様大名の雄藩、薩摩藩に相応しいが、事実かどうかという . . . 本文を読む
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