道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

ハムストリングス

2020年06月22日 | 健康管理

前ブログ記事「骨盤後傾を防ぐ」では、YouTubeにあった骨盤後傾を防ぐ簡単な体操をご紹介した。毎日励行しているが、どうもそれだけでは、高齢者の骨盤後傾を防ぐに充分でないらしい。骨盤後傾には、①腰の骨格の不整(ずれ)に因るもののほかに、②ハムストリングスの萎縮に因るものがあることを、新たにYouTubeで教えられた。ハムストリングスとは、太腿の裏の筋肉の総称であるらしい。

ハムストリングスが柔軟性を失い、硬く縮むと、その筋肉の上端末が連結している骨盤基底部が前に引っ張られ、骨盤は後傾する。その結果、膝が曲がり猫背になるという。側面から見ると、立ち姿が類人猿に近くなる。

類人猿がストレッチをサボっていたからそうなった訳ではなく、二足歩行の期間が甚だ短かく、背骨の生理的湾曲を獲得するまでの進化に至らなかったのだろう。彼らの立姿は老化とは無関係であり、彼らが身体の柔軟性に極めて富むことを、私たちはよく承知している。

60才過ぎの人の筋肉量は、旺んな頃より40%ほど減るらしい。筋トレをしないと筋肉量の減少に歯止めがかからないと言われている。対策としてよく知られているスクワットは、ハムストリングスも鍛えるが、この長い筋肉群は、伸展ストレッチを怠ると、縮み易いらしい。日常の身体動作が、この部分の伸展を伴わないからだろうか?多くの人は、スクワットには熱心だがストレッチはやりたがらない。ストレッチの実践は苦痛を伴い、効果が表に現れないので、どうしても消極的になりがちだ。

ストレッチは、筋肉の萎縮が進むほど痛みが強くなる。あらゆるエクササイズの中で、最も克己心を要するのがストレッチだ。私のような横着者には不向きで苦手な種目である。
まことに困ったものだ。しかし、コトを知った以上、フォロワー諸賢には、ハムストリングスのストレッチだけはお忘れないよう切望する。

私たち現代の高齢者は、新しい知見が認定される度に、検査の項目と薬が増え、食事制限をしたり、エクササイズに取り組んだり、サプリメントを摂ったりと、むやみに忙しくなる。忙しいというより、それに奪われる時間が増える。先代や先先代の老人と比べると、過剰な情報に振り回され、のんびりしていられない。その結果、若い頃の願いに反して、老後に約束されているcozyでcomfatableな生活を自ら遠ざけてしまう。

本当に悠々自適な生活とは、自然に逆らわない生き方でしか実現しないものだろう。腰が曲がることを怖れたり、罹患や死を怖れている限り、願いは自分のものにならない。かといって、自然に逆らわずに暮らしていると、確実に体の痛む箇所が増え、転び易くなり、物を持ち上げられなくなる。この両極の中間を取るのが極めて難しい。

悠々自適の老後というものは、本当は幻想でしかないものかもしれない。老いは個人の思慮や想像が及ぶものではない。老人の日常生活は、あらゆる加齢性疾病の十字砲火を浴びているようなものである。なべて私たち老人は、日々tight ropeの上を列になって歩んでいる存在だ。

人間は自分の力で生きているのではない。目に見えない働きの下で生かされている。己の判断を過信するかぎり、医療の知見に心を砕き、医師と薬から距離を置けなくなる。医療は疾病に対するものだが、健康は医療だけに依存するものではない。専門知識を欠く素人が、断片的な先進の情報をいくら知ったところで、なんら得るところはない。自然の生物の一員として、節度を保った暮らしを心がけるべきだろう。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 梅雨明け間近? | トップ | 東京都知事 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿