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「李承晩ライン」で韓国が繰り広げたこと

2016-07-30 17:01:50 | 政治

日韓合意の結果として、韓国へ10億円の寄贈があるやに聞き及ぶが、
日本政府も、外務省もとんと健忘症に見入れる。
韓国が日本に何をしたか、整理してみるべきであろう。

過去の外交は間違っていたと考える。
その轍を踏まない周到さが、日本政府に求められる。



「李承晩ライン」で韓国が繰り広げたこと
藤井賢二(島根県竹島問題研究顧問)
http://ironna.jp/article/1772
戦後の日本漁船拿捕

  戦後、多くの日本漁船が周辺諸国によって拿捕され、乗組員が抑留された。その数は、昭和20年から40年の20年間で、中国によるもの187隻(2233 人)、南朝鮮・韓国327隻(3911人)、台湾51隻(680人)、ソ連1164隻(9808人)に上った(『海上保安庁三十年史』昭和54年など)。
 図①は韓国に拿捕された漁船の位置を示したものである(昭和29年末まで)。韓国の拿捕は対馬北方から東シナ海北部そして黄海南部にかけての広い海域で行われ、とりわけ済州島周辺に集中している。
  東シナ海から黄海にかけては中国による拿捕も多発したが、西日本の漁業者にとって両国の拿捕・抑留の印象は異なる。どちらも漁船が銃撃を受けることがあ り、韓国の拿捕では8人が死亡した(森田芳夫『日韓関係』48年。後の日本政府による補償認定では、昭和30年2月14日に五島沖で韓国艦艇に追突されて沈没した第6あけぼの丸の死者21人も加えられた)。
 一方、中国の場合は拿捕時に16人もの死者が出た(『日韓漁業対策運動史』昭和43年)にもかかわらず、「日中漁業問題には日韓漁業問題のような陰鬱さがない」と関係者は記す(『日本遠洋底曳網漁業協会二拾年史』43年)。
 日韓漁業問題の「陰鬱さ」の理由は三つある。まず、韓国の待遇の劣悪さ、とりわけ貧弱な食料事情と最長3年半を越す抑留期間の長さ。次に、中国による拿捕が昭和30年の
日 中民間漁業協定で実質的に終結したのに対して、韓国の場合はその10年後の40年に日韓漁業協定が結ばれるまで、漁業者は拿捕の危険性に怯えねばならな かったこと。そして、抑留者を利用した韓国の「人質外交」(日韓会談代表で後に韓国の外相を務めた金東祚が1986年刊『回想三十年 韓日会談』で使用した言葉)に日本が振り回されたことで 
ある。
 この「陰鬱さ」から日韓関係を考えるのが小文の目的である。
 ただし、中国による拿捕・抑留には思わぬ弊害があったことは触れておかねばならない。日本人漁船員に対する思想教育である。
  昭和28年9月18日に博多に帰還した漁船員たちは「中共支給のレーニン帽と工人服に身を包んだまま…略…押し寄せた家族の喜びの呼びかけにも、一切物い わず、ただただ、腕を上下に振り、身を左右にゆすって、中国解放の歌や労働歌を、つぎからつぎから歌いまくるやら、中共礼賛の演説をぶつばかり」という光 景があった(アサヒグラフ28年10月7日号)。
 26年に約4カ月間中国に抑留された元漁船員は、中国の待遇はよかったと回想し「思想教育など受けた覚えはないが、それでも最近まで中国を良い国だと思っていた」と私に語った。漁業者たちの「異文化体験」は、戦後日本が置かれた状況を考えるための貴重な資料である。
 
マッカーサーラインへの便乗

 「韓国人はたたく」。元漁業者への取材中、一人の言葉に周囲もうなずいた。日本人漁船員すべてが受けたのではないにせよ、韓国による拿捕時の暴行の記憶は元漁業者たちに共有されている。
  日本を占領支配していた連合国軍総司令部(GHQ)の文書の一つ「Korean seizures-Petitions」に5件8隻の拿捕事件の報告がある。うち3件で取り調べ時の暴行の証言がある。次は瑞穂丸船長報告の一部である。 瑞穂丸は23年5月14日に拿捕され済州島に連行された。
韓国・済州港にびっしりと係留された拿捕日本漁船。船体、漁具、漁獲物すべてが没収され、罰金も科された(アサヒグラフ昭和28年10月28日号)
 「私は警備船に呼ばれ、東経一二六度一二分、北緯三二度四八分に同意し捺印を求められたが、其の位置が事実と全く相違しているので、其の訂正を乞ふた処、警備船士官二名は顔面を十回位殴打し、口中よりは血を出し其の上堅木にて全身を乱打意識不明となる。
  余りにも無謀なる処置に唖然としました。此の状態では到底我々の意を解する事は絶対になく、意見を主張すればする程却って激昂し身に危険を感ずる計りと考 へまして、不本意ながら右警備船の位置に同意しました。警備隊員は無線機、航海用具、船員私物等悉く持去りました(略)。
  十六日西帰浦より済州に回航当時本船に(士官一名下士官兵七名)計八名が懲戒の為乗組んだのであります。八名の三食を本船にて給与せねばならないので配給 で限度のある為一食にはトウモロコシを入れたので其れに憤慨して我々に雑穀を入れて出した。馬鹿にしている。船長が命令したのであろうと云って、堅木にて 十四、五回までは意識あるも後は意識不明となる」
 瑞穂丸の船長は、報告書の最後を、日本人乗組員が暴行を受けた理由について「外に此れという理由もありません。朝鮮人は日本人に如何に虐待を受けて来たかにあるようであります」と結んだ。35年間の日本の朝鮮統治に対する〝報復〟が東シナ海の海上で行われていた。
 韓国(当時は南朝鮮過渡政府)が拿捕位置の確認を強要したのは、瑞穂丸のマッカーサーライン違反を認めさせようとしたからである。
  マッカーサーラインは昭和20年に総司令部が日本漁船の操業の限界線として設定したもので、韓国とは本来無関係なものであった。25年1月19日に総司令 部は「公海における日本の漁労活動は総司令部の命令によってのみ管理される」と日本漁船拿捕停止を韓国に求めた。マッカーサーラインを日韓の国境のように 誤解し、連合国(=戦勝国)ではない韓国が連合国のようにふるまうことは日韓関係に悪影響を与えると、総司令部は危惧していた。
 しかし、同6月に始まる朝鮮戦争で国連軍(米軍)がまきかえすと、同12月に韓国は日本漁船拿捕を再開した。日本の漁業者は、米国の「防共の第一線に立つ韓国への甘やかし」が韓国の横暴を招いたと憤った(『日韓漁業対策運動史』)。

李承晩ライン宣言

 昭和27年1月18日に韓国は李承晩ラインを宣言、広大な水域からの日本漁船排除をめざした。彼らが既得権益と考えたマッカーサーラインが、韓国の度重なる米国への要請にもかかわらず、同4月28日の日本の主権回復により消滅確実となったための措置であった。
 李承晩ライン宣言とは、外交交渉で得られなかったものを一方的な宣言によって獲得しようとした極めて非常識なものであった。そして韓国は、宣言の1カ月後の日韓会談(日韓国交正常化交渉)で、李承晩ラインを「既成事実」として日本に突き付けて認めさせようとした。
昭和25年6月の朝鮮戦争勃発直後、金浦空軍基地で韓国大統領・李承晩に出迎えられた連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサー
 日本は資源保護のため一部漁業の禁漁区域と禁漁期間を設けることを提案したが韓国はこれを受け入れず、すべての日本漁船の操業禁止区域設定を求めたのである。
 韓国の強引さの背景には水産業の重 要性があった。水産物輸出は朝鮮戦争前には韓国の総輸出総額の7割を占め、外貨獲得の柱として期待されていた(大韓民国公報處『週報』八 1949年)。遠洋漁業振興のため、東シナ海から黄海にかけての好漁場に日本漁船が操業できない区域を作り、その漁業資源を独占することは、韓国の悲願 だった。
 すでに 1948(昭和23)年の建国前から「遠洋漁業には済州島西南東シナ海のトロール漁場の開拓と南氷洋捕鯨漁業の進出の二つがある」とし、このトロール漁場 に「我が戦士を進出させ、日本漁夫の侵略企図を防止せねばならない」と韓国の水産行政担当者は主張していた(同1月11日付東亜日報)。
 このトロール漁業とは底曳網漁業の一種で効率のよい漁業であった反面、資源を枯渇させるため沿岸漁業者との紛争を明治以来おこしてきた。朝鮮総督府は沿岸漁業保護のため、トロール漁業禁止区域=図②=を定め、また朝鮮への導入を許さなかった。しかし、韓国政府は建国後すぐにトロール漁船を購入して遠洋漁業振興の姿勢を示した。
 李承晩ライン原案の「漁業管轄水域案」=図③=は、日本の批判を弱めるため朝鮮総督府のトロール漁業禁止区域を基礎とした。そして東シナ海北部から済州島南部までの底曳網漁業の好漁場をそれに加えて突出させ、好漁場の独占をめざした。
 朝鮮戦争で国土が荒廃した韓国にとって、資源に恵まれた水産業にかける期待は大きかった。「韓国の水産業は正常に生産活動を行っているおそらく唯一の産業」という総司令部の当時の評価が残されている。

抑留者の辛苦

  拿捕が最も多発したのは昭和28~30年の3年間で、1年に500人前後の日本人が抑留された。この時期、日本の朝鮮統治にもよい面があったと述べた28 年の「久保田発言」を理由に韓国は日韓会談を決裂させていた。30年に韓国は対日貿易全面禁止や日本漁船に対する砲撃声明を打ち出すなど日韓関係は最悪の 状態に陥った。
 29年からは、韓国は拿捕の法的根拠としていた漁業資源保護法で定めた刑期が終了したにもかかわらず、漁船員を釜山の外国人収容所に抑留する措置をとった。そのため抑留漁船員の数は900人を越えた。
 この時期に拿捕された漁船員の回想・記録の一部を紹介する。
 「韓国警備艇というのは無茶苦茶でしたね。拿捕された時は、本当に情けなくなりましたね。海賊船以上ですわね。だって国を守り正義を尽くさねばならない警備艇がですよ、
僕らの船にパッと横付けして、目を覚ませば、僕らの草履はないわ、もう茶碗、食器類、全部ないんですからね。ただ寝具が残っていただけですからね。あれには、僕は往生しました」=金毘羅丸乗組員。30年11月25日に対馬南方で拿捕(『山口県史資料編現代二』平成12年)。
 「刑務所での厳しい生活は、体が覚えている。『六畳の板の間に三十人がいて、夏は暑く、冬は寒くて大変。禁固刑だから一日中部屋にいなければならず、つらかった』。しかも、当時の韓国は食糧が乏しく、食事は粗 末。三十人がおけ一杯の水で、一日を過ごさなければならないのもこたえた。刑を終えても、幾度となく思い浮かべた家族の待つ故郷には帰れず、釜山の外国人収容所に移送。刑務所に比べ、制約は穏やかだったが、衛生状態や食糧事情は悪く、結核になる人もいた。
  見えない行く末が不安を増幅させた。そんな中、心のよりどころとなったのが、家族からの手紙や物資。浜田の缶詰工場で、魚と紙幣を入れて密封した缶詰を 送ってもらい、食料などを買って、疲れた心身を癒した。(略)『収容されていた三年余りは、本当に無駄な時間を費やした』」=第三平安丸乗組員。29年 12月21日に対馬西方で拿捕(『フォトしまね』一六一平成18年)。
 収容所を管理する韓国人警察官の腐敗についての証言は多い。抑留者の命綱だった差し入れ品も荷抜きや没収されることがあった。
  30年には「月に三度の家族宛の便りが殆ど不着に終っていたが(当時竹島切手を強制的に貼らされた事もある)、不着の原因が年末に至り、(韓国人警察官 が)貼付した切手をはがし再び我々に売りつけていた事実が判明」し、これに日本人が抗議したこともあった(『韓国抑留生活実態報告書』33年)。
  「外部との接触を厳重に禁止されている吾々は、彼等にとっては、絶好の鴨であったのである。公務員を通じて、物一つ購入するにも手数料を取られ、差入れ品 や慰問小包品を安く買い取られる等、間接に吾々抑留者が警察官や刑務官の生活を支えていた」(『日韓漁業対策運動史』)。   
  31年には「九月五日に抑留漁船員二人が強制送還によって大阪港に帰国した。二人とも結核におかされ、精神に異常をきたしていた。十月二日に抑留漁船員の 妻が、悲嘆のあまり自殺した。さらに、罹病し病勢悪化が家族あての音信によって判明したので、外務省を通じて韓国政府に特別送還を申し入れてあった抑留漁 船員が、十二月七日に遂に死亡した」(『日韓漁業対策運動史』)。
「李承晩ライン」を理由に韓国に拿捕・抑留され、無事帰還した息子と再会して嗚咽する母親=昭和28年11月、山口県下関市
  当時、韓国は李承晩ラインを、日韓間に公平な境界線を引いて紛争を防止する「平和線」と呼んだが、日本にとりこの名称は皮肉そのものであった。28年に設 立されていた日韓漁業対策本部は30年12月に李ライン排撃行動大会を挙行した。翌年6月には抑留船員留守家族が上京して陳情し、国際赤十字社への働きか けも行った。事態打開を求める日本政府への声は切実だった。

韓国の「人質外交」

 韓国の「人質外交」 が最も「成果」を上げたのが「三十二年十二月三十一日の合意」だった。当時、刑罰法令違反による退去強制者や送還される不法入国者の受け取りを韓国が拒否したため大村入国者収容所が「超満員」で、日本は韓国のもう一つの「人質外交」に困っていた。
 32年末の合意によって、不法入国者(1002人)と漁船員(922人)の相互送還が行われ、日本は大村収容所にいた本来は国外退去になるはずの在日韓国人刑罰法令違反者(刑余者)474人を仮放免し、彼らに対して在留特別許可を与えた。また、日本が「久保田発言」を撤回し、さらに日本人が韓国に残した財産に対する請求権を撤回することで、日韓会談を再開することも約束された。
  当時駐日韓国代表部代表だった柳泰夏は「請求権、平和線など、この時我々の要求がほとんど九〇%程度受け入れられた」「(この合意で)韓日会談は始まった と言っても過言ではない」(『現代史の主役たちが語る政治証言』1986年 ただし李承晩ラインを日本は認めてはいない)と回想した。この駐日代表部は昭和24年に戦勝国であるかのように総司令部に対して派遣されたもので、日本が 独立しても退去しなかった。
 交渉カー ドとしての李承晩ラインがこのような破壊力を持つことに、宣言前から韓国が気づいていたかは、わからない。ただ、「政治というものがこうしたブラッフ (はったり)とバーゲン(駆け引き)の連鎖であるとするならば、彼は当代一流の政治家であることはまちがいない」(宍戸寛『評伝 李承晩』中央公論昭和31年2月号)と、当時の日本人が評した李承晩大統領は、日本にとって容易ならざる相手ではあった。
韓国による長い拿捕・抑留から帰還する漁船員を出迎えるため慰労の垂れ幕を掲げて港の休憩所に集まった家族ら=昭和35年3月、山口・下関
  韓国の「人質外交」の犠牲となった日本人漁船員は帰還後も苦しんだ。35年5月3日付西日本新聞には「抑留されていると、ひどい栄養失調におちいる。主食 といえばダイズ、ムギの混合食、ミソ汁といえばなかみがほとんどないナイロン汁―これを長い間食べていたのではどんな丈夫なものでもたまらない」という証 言を紹介し、32年末の合意で帰国して2年以上たっても、100人近くが病気と失業にあえいでいるとある。同記事はまた、韓国に漁船を没収された自営の船 主が先の見通しが立たずに途方に暮れている様子や、経営の安定している会社に勤めていても、抑留されていた3年間の操業技術の進歩に戸惑い仕事に不安を漏 らす船長の声を伝えている。 

日韓漁業交渉の難航

 李承晩政権が1960(昭和35)年に倒れて国交正常化に積極的な朴正熙政権が登場したが、依然として日本漁船拿捕は続き、37年に請求権問題に目途がついた後も漁業交渉は難航した。それは、「日韓会談とは実は日韓漁業会談だ」とある歴史研究者が喝破したほどだ。
 東シナ海・黄海の好漁場を独占しようとする韓国の要求は、「領海三海里、公海自由」が一般的であった1950年代の国際社会で認められるはずはなかった。
 韓国は漁業資源保護のためと主張したが、李承晩ライン宣言は隣接公海での漁業資源保護のための規制は関係国と協議して行うという国際常識を無視した一方的なもので、世界各地で漁船が操業していた日本はとうてい容認できなかった。
  結局、昭和40年の日韓漁業協定で、日本は朝鮮半島近海に距岸12海里までの漁業専管水域を認め、さらにその外側に距岸40海里までの共同規制水域を設け た(「戦後韓国はどうやって竹島を奪ったか」地図B)。日本が12海里漁業専管水域を認めたのはこれが初めてであった。1960年代に世界各国が結んだ漁 業条約では漁業専管水域設定が一般的になったことが、この背景にあった。
 平たく言えば、日韓漁業協定で日本は最大で距岸200海里もある李承晩ラインを12海里まで押し込んだのだが、そのためには韓国漁業振興のための日本の漁業協力(援助)が必要だった。韓国の要求の根底にあるのは、日韓間の漁業の絶望的ともいえる格差だったからである。
日韓基本条約締結への道筋を話し合う大平正芳外務大臣(右)と金鍾泌韓国中央情報部長=昭和37年、東京都内
  日韓漁業協定締結に合わせ、日本は韓国に9000万㌦の民間資金による漁業協力、漁船の輸出禁止の解除、そして水産物輸入を拡大することになった。昭和 37年の「金・大平合意」で決定した3億㌦の無償「請求権資金」のうち9・1%が水産業へ投入された。その6割が「漁船導入および建造および改良」に充て られ、1966(昭和41)~75年に建造された3299隻の漁船のうちトン数で49・2%が「請求権資金」によるものであった。
 こうして「小型漁船で沿岸漁業に従事するにすぎなかった」韓国漁業が、「我が国漁業の遠洋漁業への進出は請求権資金による大型漁船導入によりさらに活発に展開され、近海漁業においても先進漁業国の日本と相互牽制」できるようになった(『請求権資金白書』1976年)。
 1950(昭和25)年に李承晩が「マッカーサーラインのあちら側 では日本人漁船が海を覆って魚を獲っているのに、こちら側では船一隻見ることができない」(『大統領李承晩博士談話集』1953年)と嘆いた状況は過去の ものになった。それどころか昭和50年代後半から、北海道や西日本の沿岸漁業者は韓国漁船の操業に悩まされることになる。
  漁業交渉が難航したもう一つの理由は、韓国の世論が李承晩ラインを国境線と誤解して日韓会談妥結に反対したことだった。「平和線の譲歩は領土の縮小を意味 する」という主張に対し、韓国の与党は、そのような主張は「大韓民国を国際的に嘲笑の種にして孤立化させる仕打ちとしか見ることができない」と強くたしな めねばならなかった(「韓日国交正常化問題-韓日会談に関する宣伝資料 補完版一」1964年)。
「李承晩ライン」の一方的宣言に懸念を示すため、国内の出版社が昭和29年に書店にあてた年賀状
  昭和27年の李承晩ライン宣言(正式名称・隣接海洋に対する主権に関する宣言)後、韓国は米国はじめ諸外国の抗議を受けて主権の主張を撤回し、「主権」と は「漁業管轄権」のことだと、苦しい言い逃れをした(漁業管轄権も当時は国際的に認められておらず、日韓会談で韓国は日本に論破された)。しかし、日本に 対する「元気のよい意見」(日韓会談の兪鎮午・韓国代表の言葉)に押されて公海に主権を宣言するという失態を犯した事実は消えなかった。李承晩政権の対日 政策を支えた「元気のよい意見」の後始末に朴正煕政権は苦慮することになったのである。

韓国への「苦い視線」

  漁業者団体は、拿捕による被害額を、昭和39年当時の評価基準で総額約90億円と算定した。内訳は、漁船の被害(未帰還船185隻の船体・付帯設備、帰還 船142隻の修理費)24億円、積載物8億円、事件に伴う出費2億円、抑留中の賃金25億円、休業補償25億円、死亡障害補償5億円であった。この直接的被害に、「漁場への迂回、漁場の喪失、精神的負担など」間接的被害を加えると被害総額は約250億円を上回るとされる(『漁業で結ぶ日本と韓国』昭和40年)。
 被害を補償したのは加害者韓国ではなく日本政府だった。約90億円のうち拿捕保険などで処置済みのものを差し引いた被害額を、特別交付金40億円に加え、低利長期融資10億円という形で、被害者に補償したのである(『日韓漁業対策運動史』)。
  40年に結ばれた日韓条約中の請求権および経済協力協定では「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びそ の国民の間の請求権に関する問題が、(略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」とある。そして同協定の合意議事録には、この「問題」に は「この協定の署名の日まで
に大韓民国による日本漁船のだ捕から生じたすべての請求権が含まれており、したがって、それらすべての請求権は、大韓民国政府に対して主張しえない」とされていたからであった。
 一方で、この合意議事録では、この「問題」には「日韓会談において韓国側から提出された『韓国の対日請求要綱』(いわゆる八項目)の範囲に属するすべての請求が含まれており、したがって、同対日請求権に関しては、いかなる主張もなしえない」とされていた。「韓国の対日請求要綱」の中には「被徴用韓人の未収金」や「戦争による被徴用者の被害に対する補償」があった。
日韓基本条約に反して日本企業に戦時徴用をめぐる個人への賠償を命じた韓国・ソウル中央地裁
 2013(平成25)年以降、韓国の裁判所は戦時中に徴用された韓国人労働者が日本企業に損害賠償などを求めた訴訟で、日本企業に対し、韓国人の元徴用者への賠償を命じる判決を言い渡している。日韓条約を遵守して漁船拿捕による被害の補償を韓国に求めない日本との違いは、あまりに大きい。
  昭和28年、李承晩大統領は渡韓した日本の水産業界代表に対して、「日本は四十年にわたって漁業を占有していたことに韓国人として不満がある」「四十年遅 れたので、それを取り戻さねばならない」と日本漁船排除の正当性を強調した(「日韓漁業対策運動史」)。しかし、日本統治期の朝鮮漁業は「漁獲量世界第二 位の水産大国」と後に韓国人が誇るほど発展したのであり、李承晩の非難は物事の一面にすぎない。
 そして、戦前を朝鮮で過ごしたある人物が、韓国の対日姿勢「にがり切りながら、歴史や民族のふしぎを考えています」と私への葉書で記したように、李承晩ライン問題によって、日本人の韓国に対する「苦い視線」=否定的評価は確実に増したのだった。



中国軍機の挑発を「空自機がレーダー照射」とうそぶく中国…日本政府はもっと毅然と対応できぬのか?

2016-07-29 23:34:49 | 政治


2016.7.26 01:00更新
【外交・安保取材の現場から】
中国軍機の挑発を「空自機がレーダー照射」とうそぶく中国…日本政府はもっと毅然と対応できぬのか?

http://www.sankei.com/premium/news/160726/prm1607260003-n1.html

「最前線の隊員が脅威に感じていることが防衛省首脳や官邸中枢にまで正確に届いていない。東シナ海上空の実態を正確に国民や国際社会に公表しなければ、中国の横暴はさらに加速しかねない」
 ある防衛省関係者はこう危惧する。
  6月中旬、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の公海上空に中国軍機が接近した。航空自衛隊の戦闘機が沖縄県の那覇基地から緊急発進(スクランブル)して退去を 呼びかけたが、中国軍機は“前例のない攻撃動作”を仕掛けて挑発してきた。ドッグファイト(格闘戦)に巻き込まれる危険を察知した空自機は、不測の事態を 避けるため敵機のレーダー誘導ミサイルなどを撹乱(かくらん)する装置を噴射しながら空域を離脱した-。
 この一触即発の事案は、元空自航 空支援集団司令官の織田邦男元空将がインターネット上のニュースサイトで発表することで明るみにでた。産経新聞も織田氏本人や複数の政府関係者らを取材 し、同様の事案が実際に起きていたことを確認。他のメディアよりも早く、詳細に報道している。東シナ海上空で中国による軍事的圧力が強まっていることに、 強い危機感を覚えるからだ。
 ただ、こうした警鐘に対する政府の反応は、今ひとつスッキリしない。萩生田光一官房副長官は6月29日の記者 会見で、中国軍機が6月17日に東シナ海を南下し、空自機がスクランブルをかけたことを認めた。その一方、中国軍機による空自機への攻撃動作はなかったと 否定。さらに、記事を書いた織田氏に関し「個人的には遺憾だ」と批判までした。
冒頭の防衛省関係者は「官邸や防衛省は誰が織田氏に情報を流したか“犯人探し”に躍起になっている。今すべきことはそんなことではないはずだが…」と漏らす。
 日本政府が“ダンマリ”を決め込んでいる間、中国は世論戦を仕掛けてきている。中国国防省は7月4日、東シナ海で起きた事案について事実とは正反対の驚くべき声明を発表した。
 中国の声明によると、中国軍機2機が6月17日、東シナ海上空に設定したとする防空識別圏内をパトロールしていた際、自衛隊機2機が高速で近づき、レーダーを照射したという。
  空自のパイロットは世界最高峰の技量を持ちながら、専守防衛を基本とするため、世界で最も抑制的な操縦を強いられている。たとえ自身や味方の戦闘機が危険 にさらされたとしても、先制攻撃と捉えられる行為は厳に慎む。中国機に先んじてレーダーを照射し、挑発行為に及ぶことなどあり得ない。
 中 国側の嘘と空自への侮辱はさらに続く。中国国防省は、中国軍機が反応したため、自衛隊機は赤外線誘導ミサイルなどを撹乱する火炎弾フレアを使って「逃げ た」と主張。その上で、「自衛隊機の挑発的な行動は空中での偶発的な事件を引き起こし、双方の人員を危険にさらす」と持論を展開し、偶発的な衝突を回避す る日中防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の運用開始に向け、挑発をやめて歩み寄るよう要求してきた。もはや開いた口が塞がらない。
中国の一方的な指摘に対し、萩生田氏は7月5日の記者会見で、「中国軍用機に対して挑発的な行為をとった事実は一切ない」と反論。空自機の対応に関 して「国際法および自衛隊法に基づく厳格な手続きに従って行った。日本側からレーダーを使用してロックオンをした事実もない」と強調した。ただ、中国機か ら空自機への攻撃動作などは発生していないとの主張はいまだに崩していない。
 中国の危険な行為に沈黙を貫くことがプラスに働かないこと は、過去の経験からも明らかだ。平成22年9月、尖閣諸島の領海内で中国漁船が海上保安庁の巡視船に激しく船体をぶつけてくるという事案が発生した。しか し、当時の菅直人政権は、中国への配慮からか現場を収録したビデオを公開しようとしなかった。
 その間、中国は一貫して事実と異なる主張を展開。日本側に衝突の責任を押しつけ、謝罪まで要求してきた。臆面もなく“黒”を“白”と主張するのは中国のお家芸ともいえる。結局、元海上保安官の一色正春氏が独断でビデオを公表したことで、中国の嘘が白日の下にさらされた。
  日本政府がこのまま手をこまねいていれば、中国の軍事活動と嘘はますます膨張する。すでにその兆候は表れ始めている。防衛省によると、日本領空に接近した 中国軍機に対する空自機のスクランブル回数は、今年4~6月で199回にのぼった。昨年の同時期から85回も増加し、四半期ベースでは過去最多となった。 活動空域も日本領空近くまで着々と南下してきているという。東シナ海上空で日本の領土、領海、領空を守り抜くためには、日本政府は事実をすべて公表し、毅 然(きぜん)とした態度で臨むしかない。
(政治部 石鍋圭)


【朝日慰安婦報道訴訟】 原告側が敗訴 東京地裁「個人の名誉毀損認められない」

2016-07-28 21:15:25 | 政治

一体、日本国民の権利、名誉は何処に消えうせたのか???

2016.7.28 15:49更新
【朝日慰安婦報道訴訟】
原告側が敗訴 東京地裁「個人の名誉毀損認められない」

http://www.sankei.com/affairs/news/160728/afr1607280020-n1.html

慰安婦をめぐる朝日新聞の記事(平成26年に一部誤報を認め、取り消し)で間違った事実が国際社会に広まり、日本国民の名誉や信用が傷つけられたと して、渡部昇一・上智大名誉教授ら約2万5千人が朝日新聞社を相手取り、1人1万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁で あった。脇博人裁判長は「原告らに対する名誉毀損(きそん)は認められない」として訴えを退けた。原告側は控訴する方針。
 脇裁判長は「朝 日新聞の慰安婦記事は、旧日本軍による非人道的行為や日本政府による戦後補償の不十分さを伝えるものだ。それが誤報だった場合、大日本帝国や日本政府の評 判に被害が生じることはあるとしても、原告ら特定の個々人の名誉が傷つけられたとはいえない」などと述べた。
 原告団の一人、藤岡信勝・拓殖大客員教授は判決後、「国と国民(の評価)は切り離せない。朝日の誤報により、現実に海外では日本人は淫乱・野蛮と評価され、嫌がらせを受けている人がいる。上級審の判断を仰ぎたい」と話した。
 朝日新聞社広報部は「弊社の主張が全面的に認められたと受け止めている」とのコメントを出した。






2016.7.28 19:50更新
【朝日慰安婦報道訴訟】
「不当判決だ」法廷騒然 原告側「戦い続ける」

http://www.sankei.com/affairs/news/160728/afr1607280025-n1.html

 「不当判決だ!」「今も海外で嫌がらせに遭っている人はどうなるんだ!」
 28日午後3時すぎ、東京地裁で最も広い103号法廷。判決理由の朗読が終わると、それまで静寂に包まれていた傍聴席からは多数の怒声が飛んだ。「傍聴の方々は退廷してください!」。裁判所職員も叫ぶ。脇博人裁判長ら3人の裁判官は顔をしかめながら法廷を後にした。
  平成26年に朝日新聞社が一部の誤報を認めて取り消した慰安婦報道をめぐり、国民2万5000人が日本国民としての名誉や人格を傷つけられたとして同社を 相手取って起こした訴訟。この日言い渡された判決は「朝日新聞の慰安婦に関する誤報で、名誉毀損(きそん)の被害者がいるとすれば、それは旧日本軍や大日 本帝国、日本政府だ。日本人一人一人の国際社会における評価が下がったという道理はないし、そのような事実を認める証拠もない」と認定した。
 報告集会で怒り爆発
 この判決について、原告側が東京都内で開いた報告集会でも原告らの怒りは収まらなかった。報告集会には数十人の原告や支援者らが詰めかけ、代わる代わるマイクを取った。
原告らは口々に「裁判官は世間知らずだ。日本人は海外で性犯罪者の子孫だといわれているのに、日本人の名誉が傷つけられていないとなぜ言えるのか」 「現在の日本人だけでなく、先祖の名誉を守るための戦いだ」「裁判長は最も日教組が強かった時代に教育を受けて育った世代だろう。長年の日教組教育の弊害 が司法にも現れているのではないか」「今日は裁判所が『新聞社は誤報を書いても責任は取らなくてもいい』と認めた記念すべき日だ」などと述べた。
 この裁判では昨年10月の第1回口頭弁論を含め、3回の結審した。
  原告側の代理人弁護士らは「在外日本人が海外で被害を受けていることを個別的に立証しようと準備していたが、結局は裁判所に白紙にされた。不公平な審理を 行う恐れのある裁判官の交代を求める『裁判官忌避』も申し立てたが、却下された。こちらの立証計画が十分に認められなかった。こんな判決であれば、提訴時 に書ける」などと裁判所を批判した。
 また判決が「一連の記事が掲載された時期から20年以上が過ぎており、平成27年の提訴時点で民法上 の損害賠償請求権が消滅していた」としたことについても、「誤報だと確定したのは(朝日新聞が誤報だと認めた)一昨年だ。それなのに請求権がないとされる のはおかしいのではないか」などとの意見も出た。
原告・被告真っ向対立
 原告側はこの裁判で、「朝日新聞は吉田清次氏 (慰安婦は強制連行されたと証言し、後に撤回)の証言に基づく記事を真偽の検証もせずに掲載した。その結果、『慰安婦を強制連行し、性奴隷にした』との日 本人に関する間違った認識が国際社会に広まり、日本国民の名誉や信用が傷つけられた」と主張。
 一方、朝日新聞側は「吉田氏の証言に基づく記事を取り消したとしても、慰安婦に強制の要素があったことは否定されない。報道で原告や国民の名誉が毀損された事実はない」と主張し全面的に争っていた。
 昨年10月の第1回口頭弁論では、渡部昇一・上智大名誉教授が「朝日新聞の社長が慰安婦の実態を誤解している国連など訪れ、訂正と謝罪することを望んでいるが、朝日新聞がそれをしないため、提訴した」と裁判の意義を強調。
  第2回口頭弁論では、豪州在住の日本人らが出廷し、「現実に豪州では日本人に対するヘイトスピーチや暴力、差別行為が起きている。朝日新聞は自らがまいた 反日の種を刈るべきだ」「朝日新聞は誤報を認めて謝罪するふりをしているが、英語版の記事では世界に向けて『慰安婦強制説』を発信している。こうした偏向 報道で、無関係な海外の日本人らが反日活動の矢面に立たされ、多大な被害を受けている」などと意見陳述していた。
 しかし、東京地裁判決は、こうした証言に基づく海外の状況に触れることはしなかった。
 原告側として報告集会に参加した衛星放送局「チャンネル桜」の水島総(さとる)社長は「勝利は簡単ではないだろうが最後まで戦う。控訴するとともに、新たな原告団を作って何度でも戦おう」と呼びかけた。





少女像撤去がすまないうちに、10億円拠出は間違いである。

2016-07-28 00:13:12 | 政治


外交の過ちには国内の国民の血が流れる。
その事は、竹島問題でも、慰安婦詐欺についても、日本政府は学んだ筈である。
日本政府内の弱気発言にはあきれ果てる。それは、日本の奨励を危うくする行為である。

少女像撤去がすまないうちに、10億円拠出は間違いである。


少女像の撤去前に10億円拠出? 政府内で弱腰意見浮上 韓国慰安婦財団設立で
2016.07.27
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160727/frn1607271549004-n1.htm


 慰安婦問題の日韓合意に基づき、韓国政府が元慰安婦支援を目的に設立する「和解・癒やし財団」が28日、正式発足する。日本政府内で、ソウルの日本大使 館前に設置された少女像の撤去前に、財団への10億円拠出を実施する検討がされているというが、そんな弱腰は許されない。

 財団の理事長には、5月発足の財団設立準備委員会で委員長を務めた金兌玄(キム・テヒョン)誠信女子大名誉教授が就任する見通し。財団は元慰安婦らの「名誉や尊厳の回復、心の傷の癒やし」の事業を行う。

 昨年12月の日韓合意は、安倍晋三首相によるおわびの表明と、元慰安婦を支援する韓国財団への10億円拠出が柱。少女像については、韓国が(1)日本の懸念を認識する(2)適切に解決するよう努力する-としていた。

 政府・自民党内では「少女像が撤去されなければ10億円は拠出しない」と認識されてきた。韓国の民間団体は現在でも、国内外で慰安婦像の設置を進めており、撤去前に拠出すれば歯止めが利かなくなるためだ。

 だが、政府内では最近、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射を背景として、少女像の撤去を条件とせず、韓国の取り組みを静観することで日韓関係の改善を目指すべきとの考え方が浮上。左派系メディアもこれを後押ししている。

 韓国は島根県・竹島を不法占拠し、東日本大震災後、いまだに福島など8県の水産物などを輸入禁止にしている。慰安婦問題をめぐり、日本人は「外交に善意は通じない」と学んだはずではないのか。




左派政党に値しない民進党と共産党 雇用政策を軽視した「ド素人」 高橋洋一

2016-07-26 01:14:23 | 政治

参議院選挙も終わり、その民意の訴えを聞く段階に至りました。

引き続いた東京都知事選挙の報道に多くは心を捉えられていますが、

左派政党に値しない民進党と共産党 雇用政策を軽視した「ド素人」 高橋洋一(嘉悦大学教授)
2016.07.19
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20160719/plt1607190851001-n1.htm

 参院選は野党共闘、とりわけ民進党と共産党の共闘で「安保法廃止」を掲げて選挙戦を進めている。ただし、共闘できるのは安保法廃止までで、廃止後については意見が分かれている。

 共産党は、自衛隊違憲、日米安保破棄という立場だ。さすがに民進党はこの非現実・丸腰路線にのれない。例えば、2015年と2016年の通常国会で、民主党は、有事でも平時でもないグレーゾーン事態に対処するため領域警備法案を国会に提出している。 (総合オピニオンサイト iRONNA)

 これに対して共産党は、「領海警備法案は、“グレーゾーン事態”における自衛隊の役割・権限拡大をめざすもので、安倍政権が集団的自衛権行使容認の『閣議決定』で確認した方向と同じ」として、対決どころか政権すり寄りだと民主党を批判した。

 今や、日本の領海には、中国の軍艦も侵入するようになっている。民主党の領海警護法案は個別的自衛権で対応できるとしてきたが、もはやその前提が崩れており、集団的自衛権による安保法が必要である。

 ところが、民進党と共産党の共闘では、目の前の領海警備についても見解に相違があり、民主党の領海警護法案ですら実行できなくなるというわけだ。これでは、中国軍艦の領海侵入を易々と認めてしまうだろう。

  共産党の志位和夫委員長は、中国軍艦の領海侵入に対して抗議するというが、国際社会で「口の抗議」だけでは意味がなく、その背後に実力行使できることが必 要である。共産党が自衛隊を違憲とする以上、最低限の自衛力の行使すら危うい。しかも、日米安保破棄という立場であれば、アメリカとの共同防衛もないの で、中国としてはいくら口だけの抗議を受けても何とも思わないはずだ。

 安全保障については、共産党の自衛隊違憲、日米安保破棄という非常識と民進党の中にある常識との乖離があるために、民進党と共産党の共闘では安保法廃止以後まともに機能しない。

 経済政策ではどうだろうか。実はこの分野で、民進党と共産党の違いは意外とない。とはいっても、民進党も共産党も国際常識からかけ離れた経済政策である。この点、安倍政権のアベノミクスのほうが、国際常識に近い。

 特に、金看板とすべき雇用政策において、民進党と共産党は同じように金融政策を否定するというひどい間違いを犯している。アベノミクスの第一の矢である金融政策について否定するあまり、雇用政策まで否定していることに、両党とも気がつかないのは滑稽である。

まず、金融政策について、民進党や共産党は雇用政策の基本であることを理解していない。金融政策を活用しない政党が先進国に存在するだろうか。世界標準から見れば、まともな金融政策を行わない民進党や共産党は明らかに雇用無視であり、左派政党に値しない。

  金融政策はマクロ政策の基本であり、それを駆使して雇用を確保する。その上に、適切な財政政策でGDPを増加させる。最後に、各種のミクロ政策をのせて、 成長を達成する。世界の左派政党は、そうしたマクロ経済を良好にした上で、成長の分配面に重点を置き、格差を縮小させることを目的とする。

 民進党や共産党の場合、いの一番の金融政策がないため、最終的な格差是正も、雇用の確保がなされない状態での話でしかない。

 金融政策は本来雇用政策なので、欧州では社民党や共産党のような左派政党が言い出すものだ。アメリカでも労働経済学の大家であるイエレンがFRB議長になって、雇用重視を実践している。民進党も共産党も、こうした海外の左派政党をもっと勉強すべきである。

  かつて、民進党の枝野幸男幹事長はテレビ番組で、金利を上げた(金融引き締め)ほうが経済成長すると言っていた。同じ番組に出演していた筆者は間違った政 策をテレビで公言するのは左派政党としてまずいと、とっさに思ったので、テレビで間違いを言うのはやめたほうがいいと枝野氏に苦言を呈したものだ。ところ が、枝野氏は改めるどころか、今でも同じ発言を繰り返している。これでは、民主党政権時代に、雇用が伸びなかったことは当然である。一方、安倍政権になっ て金融緩和したので、雇用は民主党時代と比較にならないほど改善した。

 こうした話をすると、民進党や共産党から、かならず雇用者数は伸びたが賃金が伸びていないという。これを聞くと、筆者はやっぱりわかっていない、この人たちに政権運営は無理と思ってしまう。

 経済政策として何より重要なのは、雇用者数の上昇、失業率の低下である。失業率は低ければ低いほどよく、ゼロが理想であるが、実際にはゼロにならない。 どうしても、雇用のミスマッチなどで、これ以上下げることができないという失業率が存在する。これを構造失業率という。失業率をこれ以上下がらない構造失 業率まで低下させると、今度は賃金が上がってくる。この順番が重要で、構造失業率まで低下させないと失業を解消できないのだ。金融緩和を否定した民主党政 権時代は、実際の失業率は構造失業率よりはるかに高かった。安倍政権では、現在失業率が3.2%と構造失業率と思われる2.7%の一歩手前まで低下してお り、アベノミクスのさらなる推進が経済政策として正しい。

 失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。さらに、生活保護の受給率も下がる。話題のブラック企業も求人が大変になって、自ずと淘汰されるだろう。いずれにしても、雇用者数、失業率は最も重要な経済指標の一つだ。

 過去のデータからみれば、失業率を1%低下させることができると、自殺者を3000人程度少なくできる。実際に安倍政権になってから、自殺者は予想通り減少している。これは、民進党や共産党の経済政策ではなしえなかったことである。

 民進党と共産党の共闘は、安全保障でも経済でも安保法廃止後の展望がない。安全保障分野では、両者の意見は違うので、何もできないという状態になる。その隙に、中国が日本領海に進出し、日本の国益が損なわれるだろう。

  経済分野で、両党は意見が一致しており、世界の左派政党の標準である金融政策を否定する。その結果、雇用が確保できずに失業率も上昇し、結果として自殺率 や強盗の発生率が上昇するだろう。さらに、ブラック企業が再び跋扈するようになるだろう。自らの経済政策により左派政党の金看板である雇用の破壊につなが るのは、なんとも皮肉な将来である。 (総合オピニオンサイト iRONNA)



民進党が掲げる「専守防衛」とは「本土決戦・1億総玉砕」に等しい これぞ日本国憲法に反するではないか

2016-07-18 23:08:15 | 政治

民進党などが述べる専守防衛には、政治的企みが入っていると考える。
世界では通用しない独自の日本流専守防衛は、日本人滅亡を狙っている。




2016.7.18 11:00更新
【野口裕之の軍事情勢】
民進党が掲げる「専守防衛」とは「本土決戦・1億総玉砕」に等しい これぞ日本国憲法に反するではないか

http://www.sankei.com/premium/news/160718/prm1607180015-n1.html

参議院選挙の結果、憲法改正発議に必要な3分の2勢力を衆参両院で得た。現実的論議をおし進め、専守防衛をめぐる度を超した自虐・自縛的解釈を転換 する好機としたい。民進党は政策に《専守防衛》と《抑止力》を掲げる。《他国に脅威》を与えないとも。しかし、脅威の質にもよるが「他国に脅威を与えな い」専守防衛では、抑止力が機能しない。それどころか、国土の幅が狭い日本列島では「本土決戦」につながる。そんな危険な戦略が「生命尊重」を定める憲法 上、許されるはずがない。
 小欄がインタビューした退役英海軍大将は「危険思想」とまで断じている。封建時代において、いくさ上手の智将は 勝利を目的とした場合、味方の来援が期待できない情勢下で「ろう城」策は採らなかった。基本的に、味方来援までの時間稼ぎに過ぎぬからだ。だが、日本の自 主防衛をかつてないほど強く主張し始めた米国が米軍を急派する保障はない。全体、専守防衛に自虐・自縛的解釈をまぶし、「本土決戦」に追い込まれ、大日本 帝國でさえ回避した「1億総玉砕」に突き進もうというのか。
 そういえば、内応した裏切り者が城門を開け、敵を迎え入れたろう城戦も歴史上、少なくない。中国共産党は、日本の専守防衛堅持を大歓迎するが、日本国内の内応者が誰か、見極める必要がある。
世界に向かい「ろう城宣言」した日本
 《民進党政策集2016年》にはこうある。
 《専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念を今後も堅持します》
  他の野党や政府・与党も文書や答弁で似たような表現を使うが、わが国が世界に向かって「ろう城宣言」した側面が懸念される。なぜか。古来、ろう城戦には (1)堅固な城塞(2)味方の来援(3)旺盛な戦意-が不可欠だ。現代版ろう城戦=専守防衛でも(4)明確な戦略性(5)国家防衛に適合する地形の縦深性 (6)食料&武器・弾薬の補給=兵站の確保-などが問われる。
 結論を先に述べれば、日本はろう城=専守防衛に最低限必要な6要素をまったく満たしていない。専守防衛にもっとも不向きな国家だといえる。逐次説明しよう。
 (1)堅固な城塞 自衛隊の装備は優秀で、隊員の練度・士気も高い。反面、国防予算の不足で正面装備が優先され、正面装備を敵の攻撃より保護する地下壕や掩体壕(えんたいごう)が整備されていない。
  (2)味方の来援 共和党大統領候補の不動産王、ドナルド・トランプ氏(70)の主張に象徴されるが、内向きに傾斜している米国では、同盟国の自主的防衛 を求める論調が強まっている。国内外の情勢次第で、日本を軍事支援しない可能性が、かつてなく高いのだ。この点、日本の防衛態勢は米軍来援もノリシロに構 築されている。
(3)旺盛な戦意 自衛官だけに国家防衛を押しつける風潮が国民に見られる。国民全員で国家を守り抜く意志・覚悟が弱い。冷戦時、ソ連軍が侵攻して きたら「戦うことはせずに、白旗と赤旗を掲げて降伏すればよい」と、真顔で放言した進歩的文化人たちの置き土産が、いまだ完全に廃棄処分されていない。
日本に焦土戦の覚悟はあるのか?
 (4)明確な戦略性 防衛白書は専守防衛をこう定義する。
 《相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう》
  敵の先制攻撃で国土が焦土と化し、多くの国民の生命・財産が奪われる事態を覚悟しなければならない。敵の第一撃で壊滅的損害を被れば、反撃能力も奪われ る。かくなる圧倒的な危険と不利を甘受する「本土決戦」戦略を、国民の前に明々白々に打ち出していない。本当に《憲法の精神に則った戦略》なのか、検証す べきだ。
 スイスも「専守防衛的戦略」を採る数少ない国家の一つだが、イザというとき、全土の橋を落とし、トンネルを潰し、国土の焦土化をためらわぬ戦略を内外に宣言している。従って、スイス侵略には大きなリスクを伴う。抑止力効果は大きい。
(5)国家防衛に適合する地形の縦深性 敵の海空軍戦力が沖縄本島などが連なる東シナ海・南西諸島を突破すれば、あとは阪神~中京~京浜(首都圏) といった産業集積地までまっしぐら。(4)で触れたが、国土幅の狭い日本列島は、敵の第一撃の規模によっては反撃力さえ無力化される。
  (6)食料&武器・弾薬の補給=兵站の確保 日本の食料自給率は低く、輸入依存率が高い。四方を海に囲まれた日本は、シーレーン(海上交通路)を遮断され れば干上がる。(1)でも言及したが、少ない国防予算は正面装備に回され、弾薬のストックは心許ない。自衛官が自嘲気味に詠む川柳をひとつ。
 「たまに撃つ 弾がないのが 玉にきず」
理解されぬ「日本流専守防衛」
 以上、わが国に最も不向きな専守防衛の正体を記したが、他の民主国家に「日本流専守防衛」を理解させるには、相当のエネルギーがいる。
  ロンドン勤務だった2001年秋、アフガニスタンで米中枢同時テロに端を発した対テロ戦争が勃発し、戦況を把握すべく英国の国防省や情報機関に日参した。 その際、日本の参戦可能性を逆質問され、専守防衛を説明することが何と難しかったことか。自衛隊との接触経験のない欧州軍所属の米軍人も、一様にけげんな 顔をした。
ジョン・ウッドワード退役英海軍大将にインタビューした際も、専守防衛を理解してもらうのに、英国人助手の力を借りても1時間かかった。ウッドワー ド提督は、南大西洋上の英領フォークランド島がアルゼンチン軍に占領された紛争時、奪回作戦の総司令官だった。提督は開口一番こう語った。
 「英国の場合、外部の脅威にさらされたら、先制攻撃も含め軍事行動を起こさねばならない。迎撃は本土よりできる限り遠方で実施するのが、英戦略の基本を構成している」
“平和憲法”ではなく戦争誘発憲法
  そもそも島国の防衛線は隣接する大陸部の沿岸に引くことが軍事的合理性にかなう。大陸国家の侵攻意図を未然にくじき、海洋国家の存亡を決めるシーレーンの 安全を確保する戦略が求められるためだ。英軍が大陸の主要港を制圧できる外征戦力を有しているのは、こうした明確な戦略を受けている。
 日 本はまったく逆の方針を採る。専守防衛の自虐・自縛的解釈を続け、自衛隊は敵の敵策源地(基地)を攻撃できるミサイルや爆撃機、空母などを保有せずにき た。それゆえ、自衛隊の保有兵器に比べ長射程の兵器で日本を攻撃する《スタンドオフ攻撃》を敵が仕掛ければ、わが国はなすすべもなくいたぶられる。敵の兵 器は日本国土に着弾し、自衛隊の迎撃兵器は届かない…滅亡のシナリオだ。
 敵策源地を攻撃するのは、敵の侵略が不可避になった時点であり、憲法も政府答弁も敵基地攻撃を認めている。にもかかわらず、敵基地攻撃の手段を講 じない現状は、安全保障政策上の怠慢だ。敵基地攻撃兵器はあくまで「能力」であり、「能力」を行使するか否かは「意図」に基づいた国会の判断だ。自国の民 主主義に自信を取り戻さないでいると、国民の生活を犠牲にし、軍事費を湯水のように注ぎ込む中国の脅威を、自ら引き込む結果を生み出す。
 敵策源地攻撃は米軍の役割だとする「盾は自衛隊 矛は米軍」論を引き、日米安全保障条約を持ち出す向きもあろうが、既述の通り確固たる保障がてい減している。
 本来の専守防衛とは、侵攻してくる敵に大損害を強要する戦略と大戦力を持たねばならぬのに、日本には専守防衛を完遂するだけの戦略も大戦力もない。代わりに掲げるのが日本国憲法だ。前文にはこうある。
 《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した》
 国際社会は町内会ではない。こんなことを《決意》して何になるのだろう。日本国憲法は、戦争を回避する抑止力を著しく阻害する。“平和憲法”などでは決してなく、まさに戦争誘発憲法なのである。


「人を殺す予算」発言の共産・藤野保史氏 憲法9条も「これは矛盾なんですよ」と言い切っていた

2016-07-18 23:02:31 | 政治

憲法の持っている矛盾は、憲法9条が憲法違反といわれる状態である。
人殺し予算発言は、いみじくも、共産党の憲法観を浮き彫りにした。

時代は、中国が国際法を身勝手に解釈している事実を明らかにした。
脅威の存在を、無視する訳にはいかない。



2016.7.18 14:00更新
【改憲始動(1)】
「人を殺す予算」発言の共産・藤野保史氏 憲法9条も「これは矛盾なんですよ」と言い切っていた

http://www.sankei.com/politics/news/160712/plt1607120004-n1.html

「民進党は残念ながら『安倍晋三政権の間は憲法改正をしない』と言っているが、建設的な対応とはいえない。好き嫌いではなく、子供たちの未来のためにどの条文をどう変えるべきか、(衆参両院の)憲法審査会で真剣に議論をしていくべきだ」
  改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」の議席を確保した参院選から一夜明けた11日。安倍晋三首相(自民党総裁)は党本部で記者会見し、改憲 論議の進展に期待感をにじませた。施行69年が過ぎた日本国憲法の不備は図らずも選挙中に表面化。改正は待ったなしといえる。
   ×   ×   ×
 「人を殺すための予算でなく、人を支えて育てる予算を優先させていく」
  共産党の藤野保史衆院議員は参院選まっただ中の6月26日、各党の政策責任者が集まったNHK討論番組で、防衛費に関してこう言い切った。与党はもちろん 共産党と共闘する民進党からも批判が相次ぎ、藤野氏は発言の責任を取り2日後に党政策委員長の職を辞した。選挙戦への影響を懸念した末の“更迭”だった。
 「人を殺す予算」発言が浮き彫りにしたのは常識からかけ離れた共産党独自の国防・自衛隊観にとどまらない。照らし出されたのは憲法9条の欠陥だった。
安倍首相は選挙戦の街頭演説で、藤野氏の発言について「自衛隊員へのとんでもない侮辱ではないか」と繰り返し激しく糾弾。民進党の岡田克也代表も 「不適切だ」と批判した。国会では激しい舌戦を繰り広げる両氏も、多くの国民と同じように国防や災害救助活動などに尽力する自衛隊の活躍を評価する方向性 は一致している。
   ×   ×   ×
 現実に追いついていないのは9条だ。2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記。素直に読めば自衛隊は“違憲集団”だ。共産党が「自衛隊は違憲」と主張する根拠となっている。
 わが国は安全保障関連法制の反対派が忌み嫌う「解釈改憲」で自衛隊の存在を正当化してきたのが実態といえる。防衛費が「国民の生命を守るための予算」である根拠とするためには、少なくとも自衛隊の存在を憲法に明記し、隊員の名誉を保証する必要がある。
  NHK番組に先立つ26日朝のフジテレビ番組。「自衛隊は違憲だが、これを解消するのは将来の課題だ」と持論を展開する藤野氏に対し、出演者が「個別的自 衛権を行使するときに命をかける自衛隊員がいる。その方々に『あなた方がやっていることは憲法違反だ』といえるのか」と詰め寄る場面があった。
 藤野氏の回答は明快だった。「だからこれは矛盾なんですよ」。矛盾に満ちた9条。その現実に気づかせてくれたのはほかでもない、「護憲」の旗を高らかに掲げる共産党だった。
   ×   ×   ×
 参院選で改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な議席を確保したことで、警戒心を強めているのが中国と韓国だ。
 中国外務省の陸慷報道官は11日、「日本が歴史の教訓を適切にくみ取り、アジアと国際社会の安全への懸念を重視することを希望する」と述べ、9条改正などへの動きを牽制した。
  中国国営新華社通信は同日付の論評で、「平和憲法を初めて改訂するための障害を一掃した。戦後70年守られてきた平和憲法がたちまちのうちに無になる可能 性がある」と指摘。安倍晋三首相は9条改正によって「一歩一歩日本を軍国主義の古い道へ引き戻そうとしている」と主張した。
 ある中国人研 究者はこう分析する。「中国の年間国防費は日本の3倍以上に達しており、中国政府や軍の主流は日本が単独で中国の軍事的脅威になるとは考えていない。警戒 しているのは、改憲によって自衛隊の動きがフリーハンドとなり、南シナ海などで米軍と協力して中国に圧力を強めてくることだ」
一方、同日付の韓国各紙は、笑顔を浮かべる安倍首相の写真を1面に大きく掲載し、「戦争ができる日本、改憲ライン確保」(朝鮮日報)などと報じた。
  東亜日報は同日付の社説で、「参院選勝利を起爆剤として、改憲に向けて手綱を引く可能性が高い」と指摘。「改憲は国内問題だとはいえ、帝国主義日本のアジ ア侵略の歴史とからみ、韓国と中国から警戒を呼ぶ素地がある。無理に改憲をすれば、北東アジアに深刻な葛藤を招くということを、安倍政権は肝に銘じるべき だ」と注文をつけた。
   ×   ×   ×
 こうした中韓の 反応に対して三重中京大学の浜谷英博名誉教授(憲法学)は、「現状は国会発議に向けて形式要件が整っただけだ。最終的に国民投票で憲法改正の是非を決める のは主権者たる国民だ。主権者の権利行使を阻害するかのような中韓両国の指摘は、彼らが最も嫌う内政干渉に過ぎない」と指摘。その上で、「中韓両国と異な り、日本は戦後一度も他国と軍事的に争ったことはない。自らの行動は棚に上げ、『日本が憲法を改正すれば危険な国になる』と主張するのはおかしい。日本が 主権国家であることを示すためにも、早急に国民が国民投票で権利を行使できる環境を整備すべきだ」と強調する。
   ×   ×   ×
 しかし、与野党の動きは鈍い。
自民党は平成24年に策定した憲法改正草案で「自衛権の発動は妨げられない」との姿勢を明確に打ち出し、「国防軍」の設置を盛り込んだ。
 にもかかわらず、自民党の高村正彦副総裁は今月5日のBSフジ番組で、憲法9条を改正する可能性について「10年先の将来は知らないが、(当面は)ゼロだ」と消極姿勢を隠さなかった。
 公明党の山口那津男代表も10日深夜、参院選で改憲勢力の「3分の2」議席確保が確実になると、「9条は大切にしていくべきだ。当面改正の必要はない」と強調。その後も改憲慎重派が少なくない公明党内に配慮した発言に終始した。
 安倍政権下の改憲に反対する民進党に至っては、参院選の公約に「9条改正反対」と明記した。岡田克也代表は、自衛隊の存在を憲法に明記する可能性も否定してきた。
 安倍首相は10日夜のテレビ東京番組で「(憲法の改正手続きを定めた)96条を変える、9条を変える、わが党はすでに全部示している。前文から全てを含めて変えたい」と意欲を示した。ただ、9条改正に慎重な他党を念頭に置いてか、こうも付け加えた。
 「どの条文をどう変えていくかは、3分の2を形成していかない限り、意味のない議論だ」
 ◇ 
 参院選の結果、改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を衆参両院で持つことになった。国民投票で主権者が改憲の是非を判断する環境が整った今、真の独立国にふさわしい国のかたちを問う。




日本共産党が「よい自衛隊」と「悪い自衛隊」を使い分ける狙いとは何か? 支離滅裂にみえる安保政策の正体は…

2016-07-16 01:30:42 | 政治

2016.7.12 15:00更新
【野口裕之の軍事情勢】
日本共産党が「よい自衛隊」と「悪い自衛隊」を使い分ける狙いとは何か? 支離滅裂にみえる安保政策の正体は…

http://www.sankei.com/premium/news/160712/prm1607120005-n1.html

民進党の“安全保障政策”は政党として何を考えているのかわからず「支離滅裂」だ。寄り合い所帯故に統一した思想・理念に欠け、終始一貫「支離滅 裂」を修正できぬ路線は、まったくブレていない。「きたるべき日」に備え、民進党に比べはるかに軍事を学び、精通しているとお見受けする日本共産党の場合 はどうか。理論武装する共産党の安全保障政策は、基盤部分では「理路整然」としているが、現実的政策段階で乖離が発生し、結局「支離滅裂」に陥る。《共産 主義・社会主義をめざす》とする党の綱領や思想が邪魔をするのだ。
 従って、安全保障政策に踏み込むと、防衛費=殺人用予算の本音?が漏れ出す。問い詰められるとなかなか言わないが、勝手に話させるとうっかり秘密をしゃべってしまう哀れを、わが国ではこう表現する。
 「問うに落ちず語るに落ちる」
 ところが、小欄の認識は甘すぎた。「支離滅裂」の蓄積は、やがて“とある構想”へ「理路整然」とエスカレートしていく…
共産党用語の豊富なボキャブラリー
 それにしても、共産党が次から次へと繰り出すボキャブラリーは実に豊富。「海外派兵型の兵器」なる独特な表現まで出没し始めた。
 新聞社に入りたての新人時代、分かり難い記事を書くと鬼デスクに「小学校高学年(デスクによっては中学生)でも分かる記事を書けっ!」と、しばしばカミナリを落とされた。
この点、共産党機関紙《しんぶん赤旗》は、奈辺に狙いがあるのかはあずかり知らぬが、気味が悪いほど丁寧で、分かりやすい。しかし、参議院選挙で民進党との協力「民共合作」を打ち出した後は、俄然分かり難くなった気がする。
  例えば、6月30日の《知りたい聞きたい/共産党は軍事費 どう考える?》なる記事。2016年度の当初予算に防衛省が計上した防衛費が、沖縄県の米軍基 地や米軍再編関係経費を含め5兆541億円にのぼり、史上初の5兆円の大台を突破した事実を報じた。その上で、安倍晋三政権下で、防衛費を押し上げた主な 原因を《海外派兵型の兵器購入費》と断じ、《削減》せよと求めた。 
 記事では、兵器を《国内型》と《海外派兵型》に完全に分けていた。一瞬、国民に向ける兵器を《国内型》、外国を侵略する際に投入する兵器を《海外派兵型》と区別したのかと思いギョッとした。結果は、半分ハズレで半分アタリだった。
 赤旗によると、《海外派兵型》兵器の定義は《政府が従来から採ってきた「専守防衛」の建前を超えて、海外への侵攻を可能にする機能や、高い攻撃能力をもつ装備》。《たとえば》と、具体例を並べる。
  《いま自衛隊が導入を進めている最新鋭のF35ステルス戦闘機(1機あたり約181億円)は、レーダーに見つからずに他国へ侵入でき、高い敵基地攻撃能力 をもつのが特徴です。また、無人機グローバルホークの導入で、他国領土内の偵察が可能となります。米海兵隊のような“殴り込み”作戦に使う垂直離着陸機 V22オスプレイ(同約112億円)や、水陸両用車(同約7追億円)なども念頭に置いています》 
 そして、赤旗は装備導入の目的を解説する。
 《「日本防衛」や「離島防衛」という名目で導入が進められており、もちろん兵器自体に「海外派兵型」や「国内型」の区分があるわけではありません》
  赤旗が名指し批判した装備はいずれも中国人民解放軍の東シナ海侵出への備え。実際、沖縄・鹿児島両県の接続水域・領海に6月、初めて人民解放軍海軍の軍艦 が侵入。同時期、中国空軍の戦闘機はこれまでの「暗黙の限界線」を越えて、緊急発進(スクランブル)した航空自衛隊の戦闘機に攻撃動作を仕掛けた。
 中国軍の侵攻が現実味を帯びる中、「日本防衛」や「離島防衛」は《名目》ではなく、差し迫った《戦略目的》だ。共産党用語を借りるのなら、まさに《国内型》兵器に該当する。
共産党の高い学習能力
 そして次の一文《もちろん兵器自体に「海外派兵型」や「国内型」の区分があるわけではありません》が、共産党の学習能力の高さを証明する。
 仮に、海外を重点的ににらむ兵器が存在するとすれば、戦略性の極めて高い原子力潜水艦や長距離爆撃機、長距離ミサイルなどであろう。が、共産党は現時点で自衛隊が獲得する優先度・可能性の低い兵器ばかりだとの、現下における安全保障政策上の限界を知っている。
 知った上で赤旗は、既述したF35ステルス戦闘機/垂直離着陸機V22オスプレイ/無人偵察機グローバルホークなどの自衛隊導入兵器に置きかえ、紙面上でこんなロジックを作った。
 《(安倍晋三政権が昨年強行した安全保障関連法制は)戦争法と直結し、自衛隊をより海外展開できる態勢へと転換させる》
 侵略の《意図》を持つ安倍政権は、侵略の《能力》を持つ自衛隊を動かし、外国を侵略するようになる-とでも言いたげな論理構成だ。
 《意図》と《能力》の関係については後述するが、自衛隊が有する《海外展開できる》装備をすべて無くしたら、日本は丸裸同然になる。
 海上自衛隊の全護衛艦や、武器・弾薬&武装自衛官の投射に使う航空自衛隊が6月に配備した輸送機…は、どれもこれも海外に派遣できる。逆に、《“殴り込み”に使う水陸両用車》は、輸送のプラットフォームなしでは海外に展開しようがない。
 むしろ日本は55年体制中、政治の圧力で、航空自衛隊の一部航空機の航続距離にあえて制限を課したり、税金を投じてわざわざ戦闘能力を取り外したり、まともな国家ならおよそ理解不能な愚行を繰り返した。 
「意図」と「能力」で決まる国家の侵略性
 そもそも、国家の侵略性は《意図》と《能力》で決まる。戦略と戦力と換言しても差しつかえないが、4類型に大別される。
 (1)侵略意図も侵略能力もナシ
 (2)侵略意図がなくて侵略能力アリ
 (3)侵略意図があっても侵略能力ナシ
 (4)侵略意図も侵略能力もアリ
 (1)と(2)は基本的に安全だ。(3)は警戒・監視が必用だが、全力で整備すべきは、(4)に属する中国などへの対抗力だ。中国に対し、わが国は(2)が示す報復力=抑止力を保有する戦略が望まれる。
 そもそも、国家の独立や国民の生命・財産を守る上で、敵性国家を上回る▽より重厚な戦力▽より広い作戦行動域▽より長い作戦行動時間を求められるのは当然だ。そうした《能力》を侵略に使うか否かは《意図》が決定する。
 以上が、共産党が目のカタキにする「悪い自衛隊」である。では「よい自衛隊」があるのか? これがある。
  「災害の救援などで頑張っている」自衛隊だ。「心から敬意を表す」と、共産党の藤野保史氏(46)が6月28日に語っていた。NHKの討論番組(6月26 日)で、防衛費が「人を殺すための予算」だとする暴言を受けた反省?会見の席上であった。「人を殺すための予算」で活動する自衛隊は「殺人組織」、自衛官 は「殺人犯」ということになり、藤野氏に「敬意を表す」と持ち上げられても、何だかナア…。
 藤野氏の会見に同席した小池晃書記局長(56)も自衛隊は「違憲」と、「理路整然」と言い切った上で付言した。
 「違憲だとの立場は変わらないが、国民の合意がない限りすぐになくすことはできない。『かなり長期にわたって』自衛隊は存続する」
 「(急迫不正の事態や大災害時で)自衛隊には働いていただく」
 6月30日の赤旗も《軍事費の42.5%は自衛隊員の給与などに充てられる人権・糧食費ですが、人件費を削ったり、軍事費そのものをなくしたりするよう主張したことは、一度もありません》と胸を張る。ということは、自衛官削減には反対?
 小欄は、憲法を改正して自衛隊を「国軍」として正確に位置付けたいと何度も書いてきたが、軍事費を大切にする共産党は「どんな形の軍隊」の創設を目指しているのか?
  いずれにしても、憲法違反の自衛隊を『かなり長期にわたって』“容認”するつもりらしい。ならば憲法改正が筋で、自衛隊容認は共産党が連呼する《立憲主 義》に反する違憲行為ではないか。立憲主義などと、大仰でアカデミックな言葉をろうさずとも「支離滅裂」がピタリとはまる。
 と、小欄に不安がよぎった。ひょっとして「支離滅裂」ではなく「理路整然」とした、共産党による深謀遠慮ではないのか…と。共産党の自衛隊に対する「支離滅裂」な立ち位置は、「歴史に学んでいる」と感じたのだ。
  第二次世界大戦(1939~45年)後、ソ連が支配する東欧各国では「反ファシズム」のスローガンやムードの下、主義主張や政策の違う各党各派が「共有で きる政策」で妥協し、政権を樹立した。《統一戦線》の誕生である。共産主義や社会主義、民主主義の寄せ集めで、それぞれのイデオロギー・ブロック内でも党 派に分裂していた。この中で、仮に共産主義を唱える政党をA党としよう。
 A党は少数派だが、まず共産主義内の各派をまとめあげ党勢を拡 大。続いて社会主義の中で共産党に近い左派に近付き、影響力を行使し、場合によっては吸収合併する。次第に、触手を社会主義右派→民主主義左派とのばし、 国政の中で発言力を急拡大。政情や軍部との関係次第で、政権を支配するに至る。
参院選をめぐる野党共闘をほうふつさせる。日本共産党は当初《国民連合政府》を樹立し、政権掌握までの間合いを詰めようと謀った。真っ先に狙われたのが、思想・理念でまとまりを欠く寄せ集めの民進党だった。
  さすがに、民進党内の保守派は「シロアリみたいなもので、協力したら土台が崩れていく」と強く警戒した。そこで、ソ連が支配した東欧各国同様、「反ファシ ズム」を意味する「反アベ」「反安全保障関連法」など「共有できる政策」を提案した。同時に、自衛隊を「時限容認」して、民進党をおびき寄せ、抱きつい た。
 あとは簡単。思想・理念・政策共に「親戚筋」に当たる社民党や生活の党などと選挙共闘を組んだ。
民進党が渡ったのは「ルビコン川」ではなく…
 共産党関係者には、言葉を継ぐほど、何をいわんとしているのか「支離滅裂」になる特性が認められる。普通なら、正体が隠れるのだが、あら不思議。「支離滅裂」の蓄積で、やがて「理路整然」とした正体が見えてくる、とは。
  自衛隊を憲法違反と位置付け、自衛隊の解消+日米安全保障条約破棄を明確に打ち出す共産党に抱きつかれても、手をほどこうとしない民進党。ついに「民共合 作」で「ルビコン川を渡った」。いや、後戻りできぬ状況というより、崩壊への序曲か。自死への一里塚であるのなら「さんずの川を渡った」ことになる。



改憲4党で参院「3分の2」が実現、公明党がブレーキ!? 民進党は軌道修正、岡田克也代表「『安倍政権の間は憲法改正しない』という言い方していない」記事のタイトルを入力してください(必須)

2016-07-16 01:29:39 | 政治


2016.7.15 00:05更新
【改憲始動(3)】
改憲4党で参院「3分の2」が実現、公明党がブレーキ!? 民進党は軌道修正、岡田克也代表「『安倍政権の間は憲法改正しない』という言い方していない」

http://www.sankei.com/premium/news/160715/prm1607150006-n1.html

自民党の谷垣禎一幹事長「一緒にやってもらえませんか」
 平野達男参院議員「分かりました。こちらこそお願いします」
  元復興相で無所属の平野氏は12日午後、自民党本部4階にある幹事長室を訪問し、谷垣氏からの入党要請に二つ返事で快諾した。改憲に前向きな自民、公明、 おおさか維新、日本のこころの改憲4党で、憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」議席に届いた瞬間だった。平野氏は憲法改正をめぐる対応でも、自民党の 方針に従う考えを示した。
 自民党は立党以来、「自主憲法制定」を党是に掲げている。憲法改正を目指す安倍晋三首相(党総裁)は「3分の2」が見え始めた先週末、「これでフリーハンドが得られる」と周囲に心境を吐露していた。平野氏の入党により、その悲願は現実に近づきつつある。
 ×   ×   ×
 ただ、そうした思いは、与党内で共有されてはいない。されていないどころか、連立を組む公明党は憲法改正のブレーキにもなりかねないのが現実だ。
 公明党は日本国憲法を高く評価し、時代の変化に合わせて条項を加える「加憲」を主張している。平成25年の前回参院選では、公約に加憲対象として「環境権」などを明記していた。
ところが、自民党内で環境権の創設を目指す声が上がり始めると、「環境権は国土開発の足かせになる可能性もある」(幹部)と慎重姿勢に転じた。今回の参院選の公約は、憲法改正に触れもしなかった。
 「国民に選択肢を示す争点として成熟していない」(山口那津男代表)との理由だが、「改憲が現実味を帯びるとブレーキを踏む」との見方は改憲勢力内で根強い。
 公明党は支持基盤に改憲慎重派を抱えるため、自民党とは距離がある。とりわけ9条をめぐっては、自民党と同じ「改憲勢力」とみなされることに抵抗感を隠さない。
 「(改正の)中身の話はこれからだ。1、2年でどうこうという話ではない」
 衆院憲法審査会の委員を務める斉藤鉄夫幹事長代行は11日の民放番組で、こう発言。公明党が憲法改正の“抵抗勢力”になりかねないことを示唆した。
 ×   ×   ×
  改憲4党が参院で「3分の2」議席を獲得したことで民進党がぐらついている。憲法改正をめぐる政党間協議から取り残されることを警戒し、党内からは「議論 に応じるべきだ」との声が続出。岡田克也代表に至っては「安倍政権下の改憲は認めない」としてきた前言を突如撤回した。
「『安倍政権の間は憲法改正をしない』という言い方をしているわけではない。首相の憲法に対する考え方を明確にすべきだということを申し上げている」
  岡田氏は14日の記者会見でこう主張した。しかし、昨年1月の民主党代表選で岡田氏は「安倍政権である限りは憲法改正の議論をしないというのが民主党の考 え方であるべきだ」と強調。また、28年度の民進党党活動方針は「安倍政権による憲法改悪の野望をストップ」と掲げており、方針転換は明らかだ。
 軌道修正の背景には民進党の訴えを却下した厳然たる国民の審判に加え、岡田氏の方針に違和感を覚える党内の動きがありそうだ。
 民進党には9条改正などを訴える前原誠司元外相ら改憲派が少なくない。維新の党出身の青柳陽一郎衆院議員は「3分の2は安倍政権で臨んだ4回の国政選挙の結果だ。国民の選択を受け止めなければならない」と強調し、憲法論議に応じるべきだと主張する。
 また、ある党幹部も「『肉を切らせて骨を断つ』の覚悟で議論に応じて意見を反映させるべきだ。“敵前逃亡”では世間から卑怯だと思われる」と強調。こうした“空気”は着実に岡田氏を揺さぶっている。



【阿比留瑠比の極言御免】 「中国が攻撃動作」これが日本の現実 危機を直視せず「ヘイト」で集う野党の愚

2016-07-11 08:42:41 | 政治

織田邦男氏の明かしたことと、共産党藤野保史氏が「人を殺すための予算」とテレビ放送で言った事は衝撃である。

野党4党が民共合作といって、安保法廃止を言うことは、日本にとっては障害でしかない。
機器を度外視した政策は、まったく意味を持たない、むしろ、危機を増大させるだけである。



2016.6.30 11:30更新
【阿比留瑠比の極言御免】
「中国が攻撃動作」これが日本の現実 危機を直視せず「ヘイト」で集う野党の愚

http://www.sankei.com/premium/news/160630/prm1606300006-n1.html


29日の産経新聞朝刊1面(東京版)で、2つの記事を読んで、深い感慨を覚えた。中国軍機が東シナ海上空で、航空自衛隊機に「攻撃動作」を仕掛けて いたことを元空将の織田邦男氏が明かしたことと、防衛費について「人を殺すための予算」と発言した共産党の藤野保史政策委員長の辞任が並んで報じられてい た。
 この2つは、まさに現在の日本が直面する現実と、それを直視できない野党多数派の現状を象徴していると感じたからである。
 中国はこのところ、海軍の情報収集艦が鹿児島沖の領海に侵入するなど、軍事的攻勢を強めている。北朝鮮は中距離弾道ミサイルを連射し、22日の発射実験は成功したとされる。
  しかも頼りの同盟国・米国では、在日米軍の駐留経費の全額負担を日本に求めるなど、東アジアの安全保障に関心が薄いトランプ氏が有力な次期大統領候補と なっている。こんなタイミングで、共産党は自衛隊を憲法違反と断じ、まるで人殺しが仕事であるかのような発言をしでかした。
 「藤野氏が辞めざるを得なくなるぐらいマイナスの影響が出ているのだろう。それだけ世論的な反発があったということだ」
 自民党幹部がこう述べるように、共産党の自衛隊観は国民の実感とかけ離れたところにあるらしい。ただ、その点はその共産党と参院選で共闘し、安全保障関連法の廃止を高く掲げる民進党も同じだろう。
 危惧するのは、彼らが今そこにある危機から目をそらし、ひたすら相手に「ヘイト」(憎悪)をぶつける感情論に流れているように見えることだ。
 「国会周辺では、アイム・ノット・アベという言葉がはやって、みんなでそれを口ずさんだ。ウィー・アー・ノット・アベだ。私たちみんなでノット・アベではないか」
 民進党の安住淳国対委員長は8日、新潟県長岡市での4野党合同演説でこう述べ、「ノット・アベ」を参院選の合言葉にするよう呼びかけた。野田佳彦前首相も22日の三重県伊勢市での街頭演説で同様に訴えかけた。
 「今回の選挙は、安倍(晋三首相)さんに退陣を迫る選挙だ。『アイム・ノット・アベ』を束ねて『ウィー・アー・ノット・アベ』。1票1票を結集し、大河のうねりをつくり日本の政治を変えていこう」
 そこでは政策よりも、主に安倍首相を好きか嫌いかが問われている。民進党では、岡田克也代表も「安倍政権下での憲法改正は認められない」などと、属人的な理由で改憲論議を拒んでいるが、それは公党のあり方としてどうなのか。
 少し前の話になるが、3月13日付の日経新聞朝刊に民進党に衣替えする直前の民主党について、秀逸な記事が載っていた。「民主ABA路線鮮明」との見出しで、「ABA」とは「Anything But Abe」(アベじゃなければ)を意味する。
 記事は、民主党が党内の意見対立を覆い隠すため、「安倍政権の下で」という条件をつけて、改憲や米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの諸政策への反対で意思統一を図っていることを指摘していた。
 だが、本来政治は誰がやるかではなく、何がなされるかこそが問われるべきだろう。喫緊の諸課題に目をつむり、特定個人へのヘイトで結集といわれても、国民には何の関係もない。(論説委員兼政治部編集委員)