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共産党「人殺し予算」発言のボディーブロー

2016-07-02 23:01:33 | 政治


共産党の綻びを見てしまった。この綻びを覆い隠してはいけない。
選挙対策と言う方便を許しては成らない。


共産党「人殺し予算」発言のボディーブロー
辞任をしてもダメージは消えそうにない

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安積 明子 :ジャーナリスト
2016年06月29日
http://toyokeizai.net/articles/-/125030

テレビの討論番組で防衛予算を「人を殺すための予算」と述べた共産党の藤野保史氏が6月28日夜、党本部で会見を開いて政策委員長を辞任することを表明した。
藤野氏は京都大学を卒業後、穀田恵二氏と吉井英勝氏の秘書を務め、2003年に党中央委員会の政策委員に就任した党エリートだ。2014年の衆院選では北信越ブロックで当選を果たし、今年4月からは当選1回生ながら日本共産党中央委員会政策委員長に抜擢されている。

わずか2カ月で辞任

このように順調に出世していくかに見えた藤野氏だが、わずか2か月後には失言のためにその地位を去らなければならなくなった。それまで共産党の将来を担うホープと目されていたのに、藤野氏はいったいどこで躓いたのか。
それは6月26日に放映されたNHKの日曜討論だった。参院選特集として番組の放送時間は通常より15分延長され、9党の政策責任者が経済や社会保 障、さらには憲法改正などを巡って議論を深めるはずだった。問題が発生したのは各政策責任者が“暮らし”について議論していた時だ。藤野氏は「軍事費は戦 後初めて5兆円を超えた。しかし人を殺す予算ではなくて、人を支えて育てる予算を優先していくべき」と述べたのだ。
この発言に、共演していた他党の政策責任者たちが驚愕した。

自民党の稲田朋美政調会長と日本のこころを大切にする党の和田政宗政調会長は「防衛費は国を守るためのものだ」と抗議し、公明党の石田祝稔政調会長やおおさか維新の会の下地幹郎政調会長も、「“人を殺す予算”というのは訂正した方がいい」と批判した。
しかし藤野氏は番組内で発言の訂正も撤回もしなかった。その表情からは、事態の重大さを認識できなかったように見えなくもない。
「いやむしろ、自分は正しいと確信していたようだ。公明党の石田氏が藤野氏の発言を窘めた時も、『だって軍事費でしょ』と言い返していた」
同番組に出演して一部始終を見ていた和田氏はこう証言する。

自民党がすかさず攻撃

この騒動を攻撃の機会としてとらえたのが自民党だ。
「朝のテレビ討論はひどかった。共産党は大切な自衛隊のための予算を“人殺しのための予算”だと言い張った。番組が終わってしばらくして、批判が多いので取り消したようだが、当たり前。この人たちに力を与えてはならない」
討論番組の放送日当日、参院選の応援のために兵庫県入りしていた安倍晋三首相は初夏のまぶしい日差しに目を細めながら、藤野氏の発言を引き合いにし て野党共闘を厳しく糾弾した。菅義偉官房長官も28日午後に三原じゅん子氏を応援演説した際に、藤野発言を「“民共合作”の無責任さの象徴」と批判してい る。
こうした激しい逆風に耐えきれなくなったのだろう、藤野氏は政策委員長辞任を決意。28日朝に志位和夫委員長にそれを告げ、持ち回りの常任幹事会で正式に了承された。
「深く反省し、お詫び申し上げる」
28日午後10時から共産党本部で開かれた藤野氏の辞任会見には、小池晃書記局長も陪席した。

「今回の藤野氏の発言は、党の方針と矛盾する」――。藤野氏の辞任にともない政策委員会代行を兼任することになった小池氏はこう述べた。
しかし小池氏は「災害支援活動は大きな役割を果たしている」と自衛隊への評価を装いつつも、「自衛隊は違憲だという党の立場は変わらない」と言明。さらに「急迫不正の侵害や大災害があった場合には、自衛隊には働いてもらう」と述べたのだ。
こうした理屈は自民党にとって、格好の批判の材料になった。安倍首相は「『お前は憲法違反だ』と言って存在を否定しつつも、大災害には出動させ、急迫不正の問題が発生すれば命をかけろというのでは、あまりに自衛隊に気の毒だ」と応援演説する度に強調している。
そもそもなぜ“防衛”という言葉から“殺人”が結び付いたのか。藤野氏からは「言葉足らずだった」とする以外の具体的な説明は聞かれなかった。しか し2011年3月に発生した東日本大震災で活躍して以来、自衛隊は危険をかえりみず、救難に勤しむ存在だと一般的に認知されている。ましてや福岡県出身の 藤野氏なら、4月に起こった大地震で被災した同じ九州の熊本県や大分県に自衛隊が派遣され、懸命な被災地支援が行われていた実態を十分知り得ていたはず だ。

あくまでも参院選対策

むしろ今回の政策委員長辞任の理由は、もっぱら参院選対策に尽きるのではないか。26日の「防衛費は殺人予算」発言以来、共産党本部や藤野氏の事務所には多数の苦情が寄せられた。中には強く議員辞職を迫るものまであったと、藤野氏自身が辞任会見で明らかにしている。

こうした国民の強い反発に、藤野氏をこのまま政策委員長として留めておけば選挙で不利になると指導部は読んだのだろう。実際に、埼玉、神奈川、愛 知、大阪の各選挙区の共産党候補は当落線上にいる。「これで50万の比例票が共産党から消えた」などという話も飛んだ。さらに青森や岩手、新潟、山梨、愛 媛、大分などの1人区では、自民党と野党統一候補が大接戦を繰り広げている。問題を早く終息させないと、今後の選挙戦の展開に大きなダメージを与えかねな い。
2013年の参院選、2014年の衆院選で党勢を伸ばした共産党は、思わぬところで綻びを見せてしまった。うまくこれを乗り切れるのか。政界に吹く風は一瞬のうちにその方向を変えるということを、各政党関係者は忘れてはならない。