社会断想

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「大学卒業学力保証センター試験」?

2008年02月01日 12時00分34秒 | 社会断層
入り口と出口の品質保証  「大学入試の国際比較」コラムを読んで

2月に入って大学入試も本格化してきた今日この頃である。
たまたまWEB上のコラム「大学入試の国際比較」(大和総研公共政策研究所 宇野健司氏:http://www.dir.co.jp/publicity/column/)が眼についた。
以下抜粋を紹介すると、
「アメリカの大学入学には、かなり多面的な要素が考慮される。大きく分けて(1)高校での成績(日本でいう内申書の平均点と、学内順位)、(2)全国統一学力適性テスト(入学の1年前~3ヶ月前まで、年7回程度実施している。複数回受験しても良いが、その場合はそれまで受けた回の成績も大学に送付される)、 (3)推薦状、小論文、面接など、の3分野から総合的に判断される。(2)は主に国語(つまり英語)と算数(日本の中学校レベル)で、大学で学ぶのに必要な程度の学力が身についているかを判断するための適性テストなので、日本の大学入試問題ほど難しくはない。そのため有名大学に進学するためには、(1)や (3)も重要な要素となり、高校での学習態度や課外活動などにも力を入れる生徒が多くなる。

そのような背景もあって、アメリカでは予備校や塾などの受験産業はあまり発達せず、大学入学前のいわゆる受験戦争は相対的にあまり激化していない。(浪人をしても意味がないので、浪人生もほぼ存在しない。)むしろ、大学入学後のプレッシャーの方が大きく、1コマの授業ごとに数十ページの事前予習を週10コマ前後要求されるので、一週間に数百ページの読書が必要となる。また、大学院ではそのプレッシャーが一層きつくなる。

一方、アジアの国々はどうであろうか。中国の大学入試は、毎年6月に行われる「高考」(大学入試の全国統一試験)の一発勝負である。韓国も同様に「大学修学能力試験」のウエイトが非常に高く、試験当日は国をあげて受験生の輸送サポートをしたり、騒音対策のために飛行機の運航の規制をしたりするほどの気の使いようである。日本でも、推薦入試やAO入試は別として、難関大学の一般入試は、センター試験や2次試験のみの選抜となる。
結果として、これらの国ではアメリカとは反対に、予備校や塾などの受験産業が大きく発展し、受験戦争は加熱化し、大学入学前にプレッシャーのピークがやってくる。入学後はケース・バイ・ケースだが、日本の場合、大学での成績が就職には直結しないこともあって、特に文科系学部などでは勉強面では一息いれることが可能となる。」

大学全入時代とはいえ東京大学をはじめ国・公・私立の難関大学の入試競争の厳しさは変わらない。実質競争率数倍以上の大学における入学生の学力品質は或る程度保証されているであろうが、問題は卒業時の学力・人間力の保証は如何だろうか?
就職受け入れの企業を含めて社会全体が求めるのは「卒業時の学力・人間力」ではないだろうか?
つい先頃も「文科相の諮問機関である中央教育審議会が「各大学に責任を持って卒業者=学士の質・レベルを維持するよう求める」という記事が出ていたが、これなども「卒業時の学力・人間力」に対する危機感の表れではないだろうか?
こうなると「大学入試センター試験」ならぬ「大学卒業学力保証センター試験」なるものが必要になる?