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社会断想

諸々の社会現象にもの申す
中高年者・定年退職者向け

70才超が「13才のハローワーク」を読む

2005年06月10日 16時22分20秒 | 大定年時代
超70才が「13才のハローワーク」を読む

「13才のハローワーク」という本がある。450ページを超える大部の本である。
筆者は作家の村上龍氏で数々のベストセラーを出している。但しこの「13才のハローワーク」は小説ではないが、かなりの規模の書店でも買えなくて、オンライン・ショップで中古書をやっと手に入れたぐらいなので、かなりの売れ行きの本であろうと推察している。
筆者は云う。「いい大学に行って、いい会社やいい官庁にはいればそれで安心、と云う時代が終わろうとしている。それでも、多くの学校の先生や親は、勉強していい学校に行き、いい会社に入りなさいと云うと思います。いい会社に入っても安心なんか出来ないのに、どうして多くの教師や親がそういうことを云うのでしょうか。それは、多くの教師や親が、どう生きればいいのかを知らないからです。勉強していい学校に行き、いい会社に入るという生き方がすべてだったので、そのほかの生き方がわからないのです」
世の中の親や教師のすべてが,そうであるとは思わないが、大方の指摘としては的はずれではないと私は思う。
さて70才超の私が何故に、13才の少年少女を対象とした本を読む気になったか?
私たちグループは「意欲ある定年OBがその経験・技術を生かしての就業を支援」するというNPOを立ち上げている。その関係で定年OBやリストラや自己事情による早期退職者と面談することが多い。
その面談の中での当方の必須の質問は「何が得意ですか?どういう仕事がしたいですか?どういう仕事が好きですか?」で質問者の期待は、これらの3つの質問が=イコール記号で結ばれることである。
3つの質問がほぼ同義に収斂する人と、そうはならない人が当然いる。同義の人は、どちらかというと現場に近いところで、専門職として過ごしたようだ。
同義にならない人は前職の企業ではゼネラリスト上級管理職としてキャリアを積んできたとの印象である。我々としては前者の方が話が進めやすいと思っている。

村上龍氏は「自分の好きな仕事で飯を喰い、生活する」がこれからの生き方であると主張しているわけである。そしていい放しでなく、「好きなこと」とそれに相応しい「職業、仕事」を列挙、整理し、13才の少年少女に分かる言葉で解説している。
私がこの大部な本を読む気になったのは「好きなこと」の30あまりのカテゴリーと、それに対応する約500種の職業と解説文である。
そして思ったことは、これは13才の子達のためだけでなく、高校、大学新卒者から「迷える大人達」のためのガイドブックである。



NPO

ものづくり先生 2007年問題

2005年06月07日 09時43分07秒 | 大定年時代
ものづくり先生の養成
2007年に団塊の世代が大量に定年を迎えるにあたって、製造現場での技術の伝承が難しくなるとの危機感が云われている。所謂「2007年問題」である。
というわけで経済産業省と東大は協力して「ものづくりインストラクター養成スクール」を年内に設立し、「ものづくり先生 」の養成に乗り出すという記事が朝日新聞に出ていた。
趣旨ははなはだ結構である。しかし、私のように中小企業経営に多年携わってきた人間にとっては、文中に気になる表現があった。
それは「大手メーカーのベテラン技術者を・・・・・」、「卒業後は自社(この場合現に所属する大手メーカーらしい、筆者注)に戻って後進を指導し、退職後は中小企業などで指導を続けて貰う・・・・、東大は卒業者を登録し、中小企業の求めに応じて派遣する組織・・・・・」
以上の文中に出てくる大手企業 vs中小企業 との対比表現である。この文脈からみると1)「ものづくり先生」に相応しいベテラン技術者、技能者は大手企業に存在する。
2)技術技能の継承で問題なのは中小企業である。
ということになるが、継承されるべき技術、技能の持ち主は大企業、中小企業を問わず普遍的に存在する。また技術技能の継承問題が存在するところの製造現場は大企業、中小企業を問わないと思う。勿論その深刻度は中小企業側により大きいかも知れないが。
この記事を書いた記者またはこの施策の当事者に「大企業の技能者・技術者は中小企業のそれらより常に優秀である」との先入観があるとすれば、改めてもらいと願う。

第2の人生における満足度を如何に高めるか?

2005年05月31日 17時42分11秒 | 大定年時代
第2の人生における満足度を如何に高めるか?
第3回
日米英3ヶ国のプレ・セカンド層(現在既に定年後の第2の人生を歩んでいる人に対して、これからセカンド・ライフに入ろうとする層)に就労意向を尋ねたところ、就労を希望した人たちの割合は日本82%、米国77%そして英国52%であった。さらに日本では「週の何日かの「フルタイム+完全フルタイム就労」の合計が51%であり、これに対して米国10%、英国16%であった。日本が極めて高い。
反対に「仕事をしたくない」は日本18%、米国23%そして英国44%であった。
現セカンド・ライフ層で働いている人たちの「働いている理由」を調査すると、3国共に「収入を得たいから」が半分を超えている。また日米では「社会とのつながりを持ち続けたいから」も過半数を超えている。即ち就労の理由は経済的なものと精神・心理的な側面が重要なファクターであるとしている。
プレ・セカンド層の就労意向を持つ人に「希望する仕事の内容」を尋ねると「今までの経験を生かせる仕事」に日本54%、英国42%と最も高く、米国では「収入よりも好きな仕事をしたい」が45%で高い%を示した。
さらに日本では「職住近接」で収入より「好きな仕事」を希望する率も40%を超えている。
このプレ・セカンド層の就労意向を持つ人に「希望するワークスタイル」を尋ねたところ、「或る程度時間に余裕を持って働きたい」が日本74%、英国50%であった。
余り時間に縛られたくなく、趣味生活もエンジョイしながら、且つ社会とのつながりも長く持ちたい、生涯現役でいたいというのが大半の願いではないだろうかとしている。
我がNPOテクノリンクでの、主としてセカンド・ライフに入った直後の人たちとの面接
聞き取りでも同じような意向がくみ取れたのである。

ハートフォード生命保険株式会社調査報告を参照しました。
http://www.hartfordlife.co.jp




























NPOテクノリンク

生涯現役フォーラムを聞いて

2005年05月30日 11時14分50秒 | 大定年時代
生涯現役フォーラムの講演をきいて
5月28日(土)「生涯現役人生にどう取り組むか」との趣旨によるフォーラムが飯田橋近くの東京都仕事センターであったので傍聴してみた。
主宰団体は「日本生涯現役推進協議会」と関連団体である。
4人の講師が関連したテーマでの話をしたが、正直この手の話は往々にして話し手の自慢噺が多いのだが、講師の一人の話は参考になったので概要を紹介したいと思う。
講師は某大学で「生涯学習」の研究に取り組んでいる、なんと30才そこそこのうら若い女性で博士号所有者である。(紹介パンフレットより)
この年齢で生涯学習の主たる対象である「中高年者の何が分かるの?」と多寡をくくった気分で聞いている内に「おやおやこれは実に真面目な実践による研究結果」であると認識を改め、先入観でものを捉えてはいけないと自戒した。

講師の話の中心テーマは「プロダクティブ・エイジング」である。私は不勉強で今までこの「プロダクティブ・エイジング」なる言葉を知らなかったのであるが、講師の解説によると次のようである。
「高齢者の心身機能の低下や役割の喪失が強調されすぎていることへのアンチテーゼとして、高齢になっても多くの分野で活躍し、成長を遂げる主体的な高齢者」ということで、米国国際長寿センター理事長のロバート・バトラー博士によって提唱されたものである。
換言すれば「生産性を保持した状態で高齢期を生きることである。即ち、有償労働力として働く、またはボランティア活動を推進する、家族を援助する等、個人が可能な限り自分自身の自立性を維持する個人の能力」との考えである。
わがNPOテクノリンクも同じような考えで運営してきている。
次に高齢者に対する従来的な考え方、捉え方に対して「プロダクティブ・エイジジング」の考え方の対比表がありその一部を示す。
    従来の考え          「プロダクティブ・エイジジング」

衰え               成長・発展
疾病               健康・幸福
収容施設生活と依存        自治、自立、相互依存
変化に対する不適応        変化に対して柔軟に適応
学習意欲がない          知的好奇心旺盛で学習意欲充分
死に対する準備          毎日の生活をエンジョイ
社会からの撤退          社会的従事
チャレンジをさける        チャレンジに向き合う
過去に拘る            これから何をしようかと考える
年齢相応の行動    年齢に拘らない行動
受け身              与える立場、ボランティア活動

講師 聖徳大学生涯学習研究所 専任講師 斉藤ゆか氏の講話及び論文から 

NPOテクノリンク

第2の人生における満足度を如何に高めるか?

2005年05月27日 09時27分41秒 | 大定年時代
第2の人生における満足度を如何に高めるか?
(ハートフォード生命保険会社調査より)http://www.hartfordlife.co.jp
第2回
前回はセカンドライフに対する期待度の日、米おとび英の違いについて述べた。
特に日本では自己実現と知人・友人関係に対する期待度が現セカンドライフ層とプレセカンド・ライフ層とも米英のそれよりもかなり低いとデータは指摘している。即ち日本ではセカンド・ライフ層の期待とプレセカンド・ライフ層における予測期待も「社会との関わりが希薄である」としている。
米英では社会貢献・地域活動・名声名誉や生涯学習が現在も将来も重視されているが、日本では「家族」中心となっており、セカンド・ライフにおいて自分のあり方へのビジョンを描きにくいのかも知れないとしている。
プレセカンド・ライフ層に来るべきセカンド・ライフに対しての考えを聞くと、日本では「出来るだけ先に延ばしたい」即ちなるべく長く現役に留まりたいとする人が33%、アメリカでは逆に一日も早くセカンド・ライフに入りたいとする人が49%、イギリスでは30%となっている。
セカンド・ライフに対する夢は、日本では「旅行」「趣味を楽しむ」が共に70%以上、アメリカではこのほかに「ボランティア活動 ・地域貢献」も40%程度を示している。
日本における「ボランティア活動 ・地域貢献」は28%。
イギリスでは「旅行」「趣味を楽しむ」および「ボランティア活動 ・地域貢献」も日米に比して極端に低くなっている。夢も特にないとの回答が一番多いのは現役とセカンド・ライフの節目を余り意識していないからか?
第3回は三国のワークスタイルについて。

日米英三国の定年前後の意識

2005年05月24日 18時11分26秒 | 大定年時代
第2の人生における満足度を如何に高めるか?

最近偶然にある外資系保険会社が行った、「日本、米国および英国における定年後のセカンド・ライフ」についての意識調査の結果をWEB上で発見した。調査は2004年。
(注) ハートフォード生命保険会社 http://www.hartfordlife.co.jp
それによるとこの三国の定年世代の勤労観、人生観や各国の社会保障制度の違いからくるセカンドライフのとらえ方が大きく違うところ、似通った点などが浮き彫りにされ、非常に興味深いものがあったので爾後3回にわたって紹介します。、且つ私見をまじえます。
第一回
セカンド・ライフの現在の満足度とプレセカンド・ライフ層の期待満足度の各国の違いと、日本特有の意識

この 調査は日本、米国及び英国の45才~64才の男女を対象としている。この年齢にした理由はセカンド・ライフに入った直後の人と 直前の人(プレ・セカンド・ライフ)のセカンド・ライフ満足度と直前世代の予測満足度をを比較しようとの意図があったとしている。
又この先進三国を選んだのは、ともに高齢化率が10%を超えており、且つ年金制度を中心とした社会保障制度がそれぞれ異なり、この違いがセカンド・ライフに対する意識にどう反映するか、有意の考察が出来るとしている。
現在セカンド・ライフを送っている人とこれからの所謂プレセカンド・ライフの生活満足度をアンケート調査をしたところ
セカンド・ライフの満足度は 日本73%、イギリス76%、米国 68%となっている。これに対してプレセカンド・ライフでは 日本25%、英国29%、米国46%となっている。各国ともセカンド・ライフ層とプレセカンド・ライフ層とのギャップが大である。
各国とも年金の今後がやかましく論議され、先行きを厳しく考えているのだろう。
特に日本と英国はこのギャップが大きい。
経済的満足度以外の自己実現面の満足度を一例として見ると、米英のセカンドライフ層と、プレセカンド・ライフ層のそれは余り差がなく且つ日本のそれに比べて倍近く高い%が出ている。これは日本において自己実現の出来る場が求められていることを示唆しているとこの調査は述べている。
このことは我々の主宰するNPOテクノリンクでの就業希望者との面談を通じても実感できることである。NPOテクノリンク

失ったアイデンティティを取り戻せ

2005年05月13日 14時34分15秒 | 大定年時代

人はそれぞれ何種類ものアイデンティティを持っている。
まず家族・親族、出身地・故郷 、出身学校・同窓会、所属した企業・機関・団体、職業さらには趣味同好会等に係わるアイデンティティを持つ。
アイデンティティの多寡はその人の生き甲斐、生活の充実度や逆に寂しさに直接関係すると思う。
その中で、現役時代は所属している企業・機関へのアイデンティティが一番意識されるものであろう。例えば、曰く「どちらにお勤めですか?」に対して「某々会社です、営業をしています」と返事をする。ごく日常的な会話の中でお互いのアイデンティティを確認しあう。
これが定年その他で現役を引退すると元アイデンティティとなり、月日が経つと元アイデンティティは自他共に意識をしなくなるか色あせたものになる。
代わりに重みをますのは出身郷里の会や出身学校の同窓会である。時々同窓会の幹事を押しつけられる私の経験でも、現役時代には出身郷里会や同窓会の通知状に返事も寄越さない常習者が引退後はせっせと顔を出すようになる。つまり余暇時間がたっぷり取れるようになり、失った アイデンティティの代わりを確かめたくなるのだ。
「ふる里をめざす六部の気の弱り」諸国回遊に疲れた六部が自分のアイデンティティを確かめるために自然とその足をふる里に向けると諧謔したものである。
いろんな機会をつかまえて自己のアイデンティティを確かめましょう。

定年退職についての世界趨勢についての調査 英国HSBCの調査より

2005年05月12日 12時14分26秒 | 大定年時代
定年退職についての世界趨勢についての調査
英国の銀行HSBCが世界の10ヶ国・地域で定年退職についての調査を行い、このほどその結果を発表している。日本経済新聞がその概略をWEB上に載せている。
それによると80%が定年退職制度に反対、可能な限り働くべきだと回答している由。
高齢化対策としては増税や年金減額でなく、退職年齢を引き上げるべきだとの回答が半数近くしている。また定年が延長されたら仕事一筋でなくレジャーや生涯学習を取り込んだライフスタイルを考える人が多かったとしている。このことは我がNPOテクノリンクの趣旨でもある。
付随して面白い?或いはぞっとするようなデータ が記載されているので紹介する。
著作権の問題があるがちょっと勘弁して貰いましょう。
各国の平均年齢の推移
国・地域     平均年齢1960 2040
ブラジル 19 39
カナダ 26 46
中国 22 43
フランス 33 44
香港 23 49
インド 20 35
日本 26 53
メキシコ 18 39
英国 35 44
米国 30 39

なんと我が日本がダントツで高齢化のすさまじさをこの予測値は示している。
日本の女性よ、2人以上子供を産みなさい、また政府は安心して子供を産み、育てられる環境整備のための立法措置をとるべきである。社会も協力すべきである。

HSBCの原文は
http://www.hsbc.com のニュース欄にある。
NPOテクノリンク

定年OBは中小企業を目指せ

2005年05月07日 11時55分29秒 | 大定年時代
スペシャリストかゼネラリスト か?

定年後再び就職又は就業を考えるとき、ゼネラリストかスペシャリストのどちらが有利かという問題がある。
「ゼネラリストとスペシャリスト」さんざん言い古されてきた語彙である。
今更取り上げるのも気恥ずかしいほどであるが、就職、就業の対象を中小企業に絞って考えると、絶対に「スぺシアリスト」が有利であると考えるし、わがNPOテクノリンクで扱った案件からもデータが示している。
また経産省の調査でも、人材ニーズは専門職・技術職の伸びが大きい(18%増)にもかかわらず充足率(50%強)は最低と出ている。
また専門能力・実務経験を求めての業務委託へのニーズが大幅に増えている(51%)一方充足率は29%と低い。
以上の需給ギャップは逆に今後の可能性・チャンス性を示唆するもので再就職・就業を考えている定年OBはその経歴のなかでの専門性・実務経験を整理し、場合によっては、もう一度磨きなおすとか適宜の資格を取得すべきであろう。
前職の地位・企業バックグランドはあっさり捨てよう。
(就業=専門能力を生かして個人的に企業より業務委託を受ける、臨時にプロジェクトにある限定期間参加する等)NPOテクノリンク

定年OBの就職・就業

2005年04月25日 14時34分21秒 | 大定年時代
定年OB 続きその3
前回は定年 OBが再び就職乃至就業を考えるとき、対象企業を中小企業にすべきだと述べた。その理由は中途採用の求人先は中小企業の規模50人以下が圧倒的に多く、且つ充足率が低いというデーターがあるからである。(経産省調査資料による)
さらに雇用形態が多様化しているとその資料統計は示している。
正社員としての雇用比率が1割も減り、「業務委託」の形態が増加しているという。
「業務委託」ならば委託された業務を責任を持って遂行すれば良いわけで在宅勤務や出勤時間の自由度も得られやすいと考えられる。但し委託された業務を遂行出来る技術・技能・経験が問われるわけである。まさに業務年齢を重ねた定年OBにこそ相応しい雇用形態ではなかろうか。
前職における企業規模や地位に拘らず、これからは自分が培った技術・技能や業務経験に拘り新天地として中小企業を対象に考えるべきと思う。
そのためには、もう一度自己の得意技能・経験等を分析、整理しておき、明確に表現できることが必要であろう。
わがNPOで定年OBの相談を受けるとき、自分の得意分野・やりたいことなどを明確に表現できない人がままある。前職が大企業でその会社内の地位もかなりの所まで上った人にこの傾向があるようだ。経産省資料NPO