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たよりなき

2013-10-30 06:45:28 | 狂歌
<1-3の課題>  添削 青村豆十郎

・掛詞や縁語を入れて返歌
「大江山 生野の道の遠ければ 未だふみも見ず天の橋立」
小倉百人一首 小式部内侍
*四条中納言は狼狽して返歌も出来ずに立ち去ってしまい恥を掻きました。
四条中納言の立場となって、どんな歌を詠めば良かったのかを考え実作してみよう。

提出歌(青色):青村豆十郎添削句・模範句(茶色)>

たよりなき いづみ涌く地に いきそびれ 遠き夜道で たんごたべたり

井上さんの今回の狂歌は最後の「面白さ」を引き出すという部分の天性は強く感じられる、特に道草を表現した「たんごたべたり」という部分、とても面白い。
 しかし、まだ「詞の狂」「心の狂」「流れとリズム」、このテクニック部分が脆すぎる。そこがとても歯痒い出来になっています。

 このうち「心の狂」に関してはちょっと意識してみてくださいと作歌にあたって先に言っておけば大丈夫だと思います。「流れとリズム」もだんだん身に付いていくでしょう。しかし、「詞の狂」には苦手意識があるかもしれません。

 今回のコツは掛詞や言葉を「繋げていく」ことです。例えば「たよりなき」から始めたなら「手」とか「身」とか「我」とか直接それを受ける語を入れてそれを更に掛詞になるよう考えていく。
 例えば「頼りなき身」「実の無い噂」「噂を被る」「水を被る」「いずみの水」「水が涸れる」「離れぬ妖しさ」……
最後に繋いでまとめれば

たよりなきみのない噂かぶるのはいずみの水がかれぬ妖しさ
ここで余裕があれば少し構造などを推敲してやる。それで一首完成です。
他には「智恵の涌くいずみの水に濡れ衣をきてもおらない文探すかな」のように
「涌く」「泉」「水」「濡れ衣」「着て→来て」……という感じ。
繋いでいくという意味はご理解いただけたと思います。


 また、今回は最初に縁語と掛詞を講義しているので暗にそれを使えと言っているわけですが、使わないで別な詞の狂を用いて返すことも可能です。
 例えば「橋立も踏まずと我を咎め立て伊達酔狂の歌じゃないわな」のように「だて」の音の繋がりを使う方法です。


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