TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
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「アート市民たち(コレクター他)」

金井訓志展@ギャラリー椿

2012年10月17日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 「当世若衆之図」と題された個展だけに、若者たちの人物アップの絵がズラリ。鮮やかな色にすっきりした線というは若者にぴったりです。線が金色に描かれている作品もあってピカピカパワフル。そんな金井さんの作品をパッとだけ見て浮かんだ言葉は、アメコミ、ポップアート。ところがよーく見ると、作品の中の若者たちの目からは、軽くこちらを一瞥しているようでありながらも、なんだか見透かされているような、達観したような、寛大さのようなものを感じずにいられません。不思議な魅力。
 30年前にギャラリー椿がスタートした時から、金井さんの個展は何度も開かれているそう。というわけで、昔からの作品が収まっているファイルが置いてありました。それをパラパラめくってみて驚いたのなんの。全く作風が違うんですもん。昔のほうが、色が複雑で線も繊細、構図も難しそうな雰囲気。とても同じ作家さんの絵とは思えません。それが、年を経るにつれ、色も線も構図もどんどんシンプルな方向へと進化しているようにみえます(あくまでシロウト感想)。強引に女性の顔でたとえるのなら、シワやシミやくすみというものが、作品から年々消え去って、若返っているような印象を受けるのです。うらやましいったらありゃしない。けれども若々しさは表面的なもの。見えるシワはなくとも、見えない向こう側どこかに年輪がギュッとひそんでいる。そんな進化の途を感じます。
 金井さんの作風の流れに、井上ひさしさんのエッセーだったかの一節をふと思い出したのでした。
「難しいことをわかりやすく、わかりやすいことを深く、深いことをおもしろく」 (山本理絵)    





※ギャラリー椿(東京都中央区京橋3丁目3-10 第1下村ビル1F 休廊=日曜・祭日)


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