硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「ストレイ・シープ」 第16話

2023-03-01 20:40:09 | 小説
それから数年後、世の中の大半の人が、スマートフォンを持つ時代になり、ガラケーを使い続けていた僕にも、故障という理由からスマートフォンへ移行せざるを得ない事態になった。
使用料を含めると倍以上の月額料金になるので、とても抵抗があったが、店員さんから、「もうすぐガラケーも使えなくなりますよ」という進言があり、これも時代のする事なのかと諦めて、スマートフォンを手にした。
しかし、ガラケーの故障の具合から、店頭でのデーター移行は不可能と診断され、さらに、「スマートフォンに慣れておくためにも自力で入力した方がよい」と、言われてしまったので、これも、仕方なしと思い、近くの書店でスマホの取説を買い、うんうん唸りながら、親族や仕事関係等の主要な人物を登録し、職場でもLINEを通して情報を交換する事になっているので、早速LINEをインストールし起動させた。

すると、瞬く間に知っている人やまったく知らない人からの友達登録がなされるので、怖気づいていると、翌日、「ナミ」からのLINEが届いた。
全く不可思議な世の中になったなと思いながら、恐る恐るラインを開くと、

「元気にしてる? 久しぶり! 」と、あった。

余りのなつかしさに、「久しぶり! 調子はどうですか? 」と返信。

LINEの使用は初めてなので、ドキドキしながら返信を待つ。すると、少し時間が経ってから、長文が送られてきて、その文面からは施設での奮闘ぶりが伝わってきた。
相変わらず頑張ってるんだなぁと、感心しつつも、彼女にとっては、「大きな力から託された役割」という想いもどこかにあるのだろうなと思った。