田中雄二の「映画の王様」

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「BSシネマ」『A.I.』

2022-11-09 06:57:11 | ブラウン管の映画館

『A.I.』(01)(2001.6.17.ロサンゼルス)

 スティーブン・スピルバーグが、スタンリー・キューブリックの長年の構想を実現させたSF大作。近未来。スウィントン夫妻は不治の病に侵された息子の代わりに人間そっくりの子供型ロボットのデビッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)を手に入れるが、息子が奇跡的に回復し、デビッドは捨てられてしまう。母のモニカ(フランセス・オコナー)に愛されたい一心のデビッドは人間になるための長い旅に出る。

 



ロボット三題噺『アンドリューNDR114』『A.I.』『アイ,ロボット』(2006.2.12.)

 WOWOWでアイザック・アシモフ原作のロボット映画を続けて見る。どちらもロボット三原則という人間が勝手に作った法律に振り回されるロボットたちの悲哀が形を変えて描かれるのだが、思い出されたのはやはり手塚治虫の『鉄腕アトム』をはじめとするロボットものだった。

 『アンドリューNDR114』(99)(原題は『200年の男』)はロビン・ウィリアムズがもろにアンドロイドを演じて賛否を巻き起こしたいわく付きの映画だが、思っていたほど際物ではなかった。監督はクリス・コロンバス。

 アンドロイドが自我に目覚めてどんどん人間に近づいていく過程に、差別や差異、家族や恋愛、不老不死といった人間が抱える普遍のテーマが結構真面目に盛り込まれているからだ。

 同時期に作られたスピルバーグ+キューブリックの『A.I.』(01)の主人公が少年だったのと比べても、この映画は大人のアンドロイドが主人公だけにより生々しいものになっている。

 確かに、ウィリアムズの演技は今回も鼻につくところもあるが、見方を変えればこんな役を彼のほかに誰が演じられるのか、という言い方もできる。なにしろ漫画の主人公『ポパイ』(80)『ミセス・ダウト』(93)での女装、『ジャック』(95)の急激に成長する子ども…。彼の過去の映画歴を見ればこの役は決して不思議ではない。

 一方、『アイ,ロボット』(04)では、人間に反乱するロボットが描かれる。もっともこちらはウィル・スミスが刑事役のアクションもので、アシモフの原作はアイデア程度ということらしいが、これはこれで面白かった。CGもこういう話では威力を存分に発揮する。ここでもロボットに仮託した人間の悩みや不条理が描かれる。ロボットの顔がクリストファー・ウォーケンに似ていると思ったのはオレだけか。


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