田中雄二の「映画の王様」

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『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』

2021-09-09 20:13:43 | 映画いろいろ

『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(80)(1981.11.2.蒲田パレス座.併映は『未来元年破壊都市』『宇宙の七人』)

 神を否定し、人間の中に永遠を見つけ出すという考えに取りつかれた一人の科学者(ウィリアム・ハート)が体験する奇妙な出来事が描かれる。

 出だしの、ドラム缶状の装置に入った男の姿からすでに異様さが漂う。この科学者が実験を繰り返すうちに、筋肉がもりもりと盛り上がり、体中に毛が生え、揚げ句は類人猿になって街中を走り回るのだから、いやいや驚いた。あのケン・ラッセルが監督なので、ただのSFでは終わるまいとは思っていたが、まさかここまでとは…。

 また、この映画には、さまざまな要素が含まれている。科学者の身に起こる変化や、彼が見る幻覚はSF+ホラー、彼と妻(ブレア・ブラウン)との愛情のもつれはラブロマンスといった具合に。

 そして、ラスト近く、最後の実験を試みた科学者が、時空を遊離するシーンは、明らかに『2001年宇宙の旅』(68)を意識したと思われる。

 ただ、この映画が『2001年宇宙の旅』と異なるのは、進化を超えたところに存在するのは愛だけだと結論づけているところ。くせ者のラッセルにしては、いささか甘さを感じさせるラストの処理だが、ラブロマンス的に捉えれば、当然こういう結末になるだろうし、SFや精神世界的に押し通せば、『2001年宇宙の旅』の世界にたどり着くのだろう。

【今の一言】『レミニセンス』を見ながら思い出したのがこの映画。支離滅裂な映画だったが(当時の自分の記事も支離滅裂)、今見直したら、40年前よりは深く理解することができるのだろうか。ドラム缶状の装置はアイソレーション・タンクと言うらしい。


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