田中雄二の「映画の王様」

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『東京暗黒街 竹の家』

2021-05-15 10:07:35 | 映画いろいろ

『東京暗黒街 竹の家』(55)

 川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』を読んでいたら、またまたこの映画のことが書かれていたので、再見してみた。

 山梨で軍需列車が襲われ、多量の武器弾薬が盗まれる。米軍警察のハンソン(ブラッド・デクスター)は、捜査官のエディ(ロバート・スタック)を東京に派遣し、事件に関係があると思われるサンディ(ロバート・ライアン)の組織に潜入させる。

 富士山の見える鉄道(富士急か?)、山口淑子が住む佃島(川に浮かぶ木造の家=だから竹の家)、組織のボス・ロバート・ライアンが牛耳るパチンコ店、最後にスタックとライアンが対決する浅草松屋屋上のスカイクルーザー、国際劇場、日比谷、横浜港、鎌倉…。日本で大々的なロケを行っている。監督は“B級映画の巨匠”サミュエル・フラー。

 風俗や生活描写のおかしさ、日本語がまともに話せない日本人(演じているのは多分アメリカ在住の日系人や軍属)が多数登場するなど、公開当時、国辱映画と呼ばれたのもうなずけなくはない。ただ、後の『ブラック・レイン』(89)もそうだったが、外国人の目から見た日本のイメージや、邦画とは一味違う撮り方(アングル)という点では興味深いものがある。

 この映画、潜入捜査官を描いたフィルムノワールとしては甚だ締まらないが、今となっては、当時の風景や風俗の記録映像として貴重なものに変化した。酒じゃないが、寝かせることで味わいや価値が変わるということか。


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