ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平の驚くべきシーズンが終わった。155試合に出場し、打者としては、打率こそ257だが、138安打、26二塁打、8三塁打、46本塁打、100打点、26盗塁、投手としては、防御率3.18、投球回数130回1/3、9勝2敗、奪三振156という、二刀流でとんでもない成績を残した。
大谷は、イチローとは違った意味で、メジャーリーグに革命を起こしたと言っても過言ではない。とはいえ、その活躍があまりにもすご過ぎて、現実のものとは思えないような、不思議な感覚に襲われたのも事実だ。変な話、映画や漫画を見ているような感じがしたのだ。
そんな大谷の活躍を見ながら思い出したのが、ロバート・レッドフォード主演の『ナチュラル』(84)だった。
この映画でレッドフォードが演じたロイ・ハブスは、最初は投手としてメジャーリーグを目指したが、ある事故に巻き込まれて挫折し、中年になってから打者としてメジャー入りし、活躍するという設定だった。
で、若きハブスが、田舎から都会に出る途中、列車が立ち往生し、乗り合わせた強打者と対決して三振に取るシーンがあった。ジョー・ドン・ベイカーが演じたこの強打者は、ベーブ・ルースをほうふつとさせたが、ルースは左打ちなのに、なぜか右打ちだった。
そういえば、『フィールド・オブ・ドリームス』(89)でレイ・リオッタが演じた“シューレス”・ジョー・ジャクソンも、本来は左打ちだが、リオッタも右で打っていた。監督のフィル・アルディン・ロビンソンによれば、「彼はゴーストだから、かえって逆の方がいいと思った」ということだったらしい。
イチローは、ヒットメーカーとしてタイ・カッブやジョージ・シスラーを呼び戻したが、大谷は二刀流としてルースを呼び戻した。長い間メジャーリーグを見てきたが、まさか日本人選手がこんなことを起こす日が来るとは思いもしなかった。
結果的に、野茂英雄はスライキから、イチローは薬物問題から、そして大谷はコロナ禍から、メジャーリーグを救ったとも言えるのだ。
松井秀喜「とうとう日本人がメジャーリーグでも長距離打者に」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4412c1a1ad61173f1473a5db87839d4e
大谷翔平とベーブ・ルース、そして映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1ba43b752319e46cb2dc1588df7e0de4
ロバート・レッドフォードの『ナチュラル』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/fc10c087633f1430b7c01acb90aa8d9e
「ここは天国かい?」「いや、アイオワさ」『フィールド・オブ・ドリームス』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a48b2e38bd226790df17b00b55bd9b87
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