田中雄二の「映画の王様」

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『花嫁はどこへ?』

2024-10-02 11:25:41 | 新作映画を見てみた

『花嫁はどこへ?』(2024.8.18.オンライン試写)

 大安吉日のインド。育ちも性格も全く異なる2人の女性プール(ニターンシー・ゴーエル)とジャヤ(プラティバー・ランター)は、それぞれの花婿の家へ向かう途中で、同じ満員列車に乗り合わせる。しかし2人とも赤いベールで顔が隠れていたため知らぬ間に入れ替わり、そのまま別の嫁ぎ先に連れて行かれてしまう。

 予期せぬ旅を通して新しい価値観と可能性に気づいたプールとジャヤは、周囲の人々を笑顔にしながら、生まれて初めて自分自身の手で人生を切り拓いていく。

 インドの人気俳優アーミル・カーンが製作を手がけた、ベールが鍵を握るヒューマンコメディー。監督はカーンの元妻のキラン・ラオ。

 全編を貫くのは、フェミニズムと家族愛。エンターテインメント性の高いストーリーを通してさまざまなテーマを提起し、インドの文化・風俗を知らしめるという意味では、映画の効用を感じさせる。

 2人の女性の成長と自立が物語の核となるが、彼女たちを取り巻く、刑事や駅の屋台のおばさんといった脇役たちのキャラクターも面白かった。

 その中でも、この映画の本質をついたようなこんな会話が印象に残った。

「女は機会をもらえないの? なぜ無力でいろと」(プール)
「怖いのさ。女にとって男はそれほど必要じゃない。でも女がそれに気付いたら、男たちはおしまいさ」(屋台のおばさん)

 『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』(16)『エンドロールのつづき』(21)に続いて、インドの広大でアバウトな鉄道事情が分かる描写も印象に残った。


【インタビュー】『花嫁はどこへ?』アーミル・カーン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/81a3bea91920ff786318083cd1aca596


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