田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

2018-03-18 19:05:04 | 映画いろいろ
英国版招き猫の物語



 ホームレスでジャンキーのストリートミュージシャン、ジェームズと野良猫のボブの奇跡の出会いを綴ったノンフィクションを映画化。気になってはいたが、見逃していた映画をDVDで鑑賞。

 日本でも『猫タクシー』やら『猫侍』やら、猫によって福を得る人間の様子を描いたドラマや映画が製作されているが、この映画は実話の映画化で、しかもボブ本人が出演?しているところに説得力がある。まさに、招き猫、福猫、癒やし猫の話だが、ボブの存在によって変わっていくジェームズの姿を丁寧に描き、ただの“猫依存映画”で終わらなかった点に好感が持てる。

 また、ジェームズが販売員になる『ビッグイシュー』の日本版では、以前よく原稿を書かせていただいたので、本場イギリスでの活動の様子が映るのを興味深く見た。

 監督は、主に80年代にハリウッドでそれなりの映画を撮っていたカナダ出身のロジャー・スポティスウッド。何だこういう丁寧な映画も撮れるんじゃないか、と少々驚かされた。

 ところで、かの『第三の男』(49)で助監督を務めたガイ・ハミルトンが「ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の足元にまつわりつく猫を撮るのが大変だった」と語っていたし、フランソワ・トリュフォーが映画製作の裏側を描いた『アメリカの夜』(73)にも、猫に演技をつける難しさを描いたシーンがあった。猫は気まぐれだから、ボブのような“名優”はなかなかいないのかもしれない。それにしてもボブみたいな猫が欲しいなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【ほぼ週刊映画コラム】『リ... | トップ | 『ナイト ミュージアム』3連... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画いろいろ」カテゴリの最新記事