田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『三大怪獣 地球最大の決戦』

2015-12-21 00:00:23 | All About おすすめ映画

『三大怪獣 地球最大の決戦』(64)(1971.12.12.浅草東宝)

荒唐無稽な関沢新一の脚本

 この映画は、ゴジラ、モスラ、ラドンという既成の怪獣に加えて、三つ首の宇宙怪獣キングギドラが初登場した作品です。

 監督の本多猪四郎の演出、特技監督の円谷英二を中心とした特撮が素晴らしいのはもちろんですが、忘れてはならないのが脚本の関沢新一の存在です。

 ゴジラの身長が50メートルという設定に対しキングギドラは何と100メートル。これではゴジラ一匹ではとてもかないません。そこでキングギドラを倒すためにモスラの説得でゴジラとラドンが共闘するという力業を発揮します。

 また、ドラマ部分でも『ローマの休日』(54)を下敷きに、某国の王女に金星人が乗り移るというすさまじい技を繰り出します。王女を007は二度死ぬ』(67)でボンドガールになった若林映子が演じています。

 荒唐無稽という言葉は、まさに関沢脚本にぴったりの言葉ですが、これが理屈抜きに楽しいんです。平成のゴジラやガメラはどうも理屈っぽくていけません。

 60年代の東宝は、加山雄三主演の「若大将」シリーズのように、都会的でしゃれた映画を得意にしていました。この映画にもそうした風情が漂っています。

 ただの怪獣映画とバカにすることなく、思いっ切り60年代の雰囲気に浸って楽しんでください。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ひつじ村の兄弟』 | トップ | 『南の島に雪が降る』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

All About おすすめ映画」カテゴリの最新記事