突然出てきたプラチナNISA。
まだ、制度ができていませんが、今の情報から、なんじゃそりゃ?と思っている人も多いでしょう。わたしもその一人です。
ポイントは2つ。
(1)対象は、65歳以上の高齢者である。
(2)毎月分配型投資信託を運用できる。
(1)については、年金生活に突入する年齢で、NISAの積み立て分を取り崩しにかかるところに待ったをかける内容です。
確かに、長年積み立ててきた資産を取り崩し、年々少なくなっていくのを見るのは精神的なストレスになります。そんなことをしなくても、お金が自動的に入ってくるならそれに越したことはありません。
そこで(2)の毎月分配型投資信託です。
これを買っておけば、毎月決まった額が、貯金通帳に振り込まれ、年金+配当金の豊かな老後を送れるのです。
しかし、ちょっと待ってください。
NISAに詳しい人は、おかしいことに気が付くでしょう。
そもそも、NISAって、毎月分配型投資信託を買えないことにしたのは、その運営に問題があるからであったはずです。つまり、信託報酬(運営の手数料)が高すぎて投資効率が悪く、積み立てて資産を増やすには不向きだということでNISAから締め出されたような扱いになっていたはずです。
それが、なぜ、高齢者にだけ許されるのでしょう。
高齢者ならこう考えるだろうことが予測できます。
もう余命いくばくもないから、生きている間、配当金をもらえれば、元本はどうなっても良い。インデックス投資を取り崩すと言っても、死んだときゼロ以下になっていることはあってはこまるから、ある程度余裕を見て取り崩すだろうからと。
ならば、面倒なことを考えず、効率が悪かろうが毎月配当をもらえた方が気楽だし、老後の生活の計画も立てやすいから良いでしょう。
毎月分配型投資信託の信託報酬(手数料)が高いのは当たり前で、毎月清算して分配金を払うのだから、そりゃ、高くなります。
景気が悪く値下がりしても、ちゃんと分配金が払われますが、それは元本を切り崩し返してくれるだけの特別配当で、そもそも税金が掛からないのですから、その月はNISAの恩恵を受けないことになります。
これをタコ足配当と言い、タコが自分の足を食べているだけで、何の利益にもなっていないことを皮肉られているわけです。
しかし、資産を管理するのもめんどうだし、増えなくても良いからキャッシュフローがプラスなら問題ないという考え方もわかります。
しかし、甘い!
毎月分配型投資信託の特別分配(タコ足配当)がつづくと、元本が目減りしていきます。そして、ある月、突然、分配金の減額が通知されるというのは、ありふれた光景なのです。
信託手数料が高く元本が減りやすいく値下がりしやすいからです。それに加え、毎月の分配金が安くては誰も買ってくれませんからライバルの他の投信より高めに設定しないと経営が成り立ちません。そのため無理がある分配金を設定するのが普通です。そのため、さらに元本が減りやすい宿命にあるのです。
65歳から90歳までの25年間に、この減配が何回来るか。10年に一度くらいの周期で来ると言われている○○ショックのたびに減配していたとして、3割減配が2回来ると仮定すると、分配金が半額になる可能性が普通にあると考えられます。
それでも良いよという人はあまりいないのではないでしょう。
なぜ、政府が、このような制度を設けようとしているのか、理解に苦しみますが、どのような修正が加えられ導入されるか、または廃案になるか興味深いです。