朱蒙(チュモン)が見た日本古代史(仮題)

「朱蒙」「風の国」「善徳女王」・・・韓国発歴史ドラマを題材に日本史を見つめ直す

ダイダラボッチの由来は大多羅ではないかという話

2011年10月10日 | 考察ノート

つまりそういうことである。

「大」の文字を日本では「だい、たい」と読むが、朝鮮半島内では「デ、ディ」と読むという話は以前、別の記事で検証している。

「大」に関する考察

つまり、ひとつの言葉が「だい」になったり「デイ」になったりというように変化する場合は、朝鮮半島との関連を疑った方が良いということ。

そして、国名の前に「大」をつけるのは、ドラマを観ていた人にとってはごく自然なことだろう。

大高句麗(デーコグリョ)、大百済。
新羅の場合は、大神国となる。

この場合の「大」はbigではなく、尊称としての意味合いと考えておいた方がいいだろう。わが国が戦前に「大日本帝国」と呼んでいたのも同じような慣習だろうと思う。(現在でも「大日本印刷」のように「大日本」がつく会社名は結構多い)

同じように多羅という名の前に「大」をつけた「大多羅」が、ダイダラやデイタラ、デイダラに変化していくのは容易に想像できることである。そして言葉の由来が古ければ古いほど、各地でいろんな変化をして残されていくことも十分にありうることだ。

では、ダイダラボッチが具体的にどのような事象を伝えるものか、という点については正直まだよくわからない。しかし、ここで見逃してはならない重要なポイントが、ダイダラボッチと製鉄の関係である。

特に西日本地域において、ダイダラボッチが一つ目の妖怪として描写されることがしばしばある。
古代の製鉄作業では、わずかな温度変化も見逃さないために長時間片目で炎を熟視しなければならず、一方の目を悪くする者が多かったのだという話もある。

製鉄に必要な火をおこすためには大量の木材が必要とされたわけだが、その大量の木材を運ぶのに使われたと思われる道具。もしくは砂鉄をふるいにかける際に使われたのは、藤のつるで編んだカゴだったという。(藤づるが生えなくなったという伝承)

そして、出雲地方を中心として古来から日本に伝わる製鉄の手法。ジブリの「もののけ姫」の中にも描写されるその製法はタタラ製鉄という名前である。(アニメの中では「烏帽子」がリーダーを務めていた製鉄の作業場所を「タタラ場」と呼んでいた)

すべての地域を検証したわけではないが、ダイダラボッチの伝承が残る地域には、古代、近くで製鉄が行われていたというケースが多いのではないかと思う。

ちなみに、製鉄の燃料として必要とされる木材は、「大量」と書いたがその多さは半端なものではなく、山ひとつを禿山にしてしまうほどのすさまじさだったらしい。このあたりに大男という伝承の起源がありそうな気もする。

 

ところで、朱蒙の時代に鉄が戦略的にどれほど重要なものであったかは、ドラマを観た人には容易に理解できることと思う。

鉄を作るために莫大な木材が必要だったということからすれば、温暖湿潤な気候で国土のほとんどが森林で覆われている日本列島に、大陸から多くの人々が進出してきたのは、歴史的必然だったとも言えるわけである。(だから、ヒョッポが日本にやってきていたとしてもおかしくはないわけだ。そして鉄を武器に圧倒的な権力を手中にした人々が後の古墳文化を作り上げ、さらには国の中枢へ入り込んだ蘇我一族につながっていったとも考えられるわけなのである)


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
一つの説として (通りすがり)
2011-10-26 22:24:08
田んぼの神様が、荒れ果て捨てられたのに怒り変化した。とゆうのもあります。
ゲゲゲの鬼太郎の中にあった話しは、それを元にしたそうです。
でん(田)がでぃになまって(うろ覚えですが)
るそうです。
返信する
Unknown (takizawa)
2011-10-28 07:24:30
いろんな説があって良いと思います。

ただし、このサイトの趣旨としては、何らかの根拠がある、あるいは根拠があると考えられる事象を取り扱っておりますので一応念のため。
返信する
Unknown (Unknown)
2011-12-14 23:37:59
「大」を日本で「だい、たい」と読むのも、朝鮮半島内で「デ、ディ」と読むのも漢音・呉音が由来なのでは…
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。