当方は歴史の専門家というわけではないし、ましてや政治に関してはまったくの素人である。
しかし、韓国歴史ドラマを観ているうちに、少なくとも「外交」というのがどういうものか、どれほど難しいものかといったことは、それなりに理解してきたように思う。
近代以前において・・・つまりは「飛行機」というものが発明される前の時代(ましてや通信ネットワークなど存在しなかった時代)には、やはり、海に隔たれた国というのは、それだけで防衛上有利だったといえる。
大陸にある国々は、常に隣国との関係に最大限の注意を払わなければならなかったわけである。
大国との力関係、周囲に存在する諸国との軋轢。
同盟するのか、敵対するのか、あるいは見せかけの友好関係を築くのか。
そこにはさまざまな選択肢がある。
プライドだとか、義理人情が通用する世界でもない。
私情も義憤もときには捨てなければならない。
屈辱に耐え忍ばなければならないときもある。
すべては、最終的に国益にかなうかどうかなのである。
そこに必要なのは冷徹な損得勘定のみ。
たとえば、ドラマ「朱蒙」において。
・高句麗建国後、弱体化したプヨが生き残るため、宿敵であるチュモンの同盟の申し出を受け入れたテソ。
・そして、後には国力を強めた高句麗に対抗するため、長年の宿敵であった漢(ヤンジョン)とまで同盟を結ぶことにしたクムワ王。
たとえば7世紀の東アジア。
徹底的に唐に対抗する高句麗(ヨンゲソムン)、その高句麗と一定の距離を置きながらも連携し表向きは唐に従う振りをする百済(義慈王)。一方で唐に対し土下座外交といってもよいほど擦り寄った姿勢をみせたのが新羅の金春秋(キム・チュンチュ)である。しかし、結局のところ三国統一を成し遂げたのは新羅であり、それゆえ武烈王(金春秋)は太宗の称号を得ることになったのだ。
何が良いか悪いかという単純な話ではない。
歴史上勝ち残らなければ、結局は負けという冷酷な現実である。
まったく個人的な意見(極論)であるが、日本の政治家はみな「朱蒙」か「善徳女王」あたりを観て勉強した方がいいのではないかと思ったりもする。