先日たまたまテレビで韓国語講座をちらっと見たのだが、朝鮮語にも濁音はやはりあるようで、「濁音、半濁音という概念がない」というのは間違いのようだ。
それでも、日本語のようにカ行とガ行、タ行とダ行、パ行とバ行がはっきり区別されないという例はいくらでもある。
以前ドラマ「ヨンゲソムン」を観ていたとき、戦闘シーンなどでよく「大高句麗」と叫ぶ場面があったが(「偉大なる高句麗」ぐらいの意味だろうか)、これなども聴き方によっては「デーコグリョ」とも聞こえるし「テーコグリョ」とも聞こえるという、どっちつかずの印象が強かった。
KARAの隠れた名曲に「同じ気持ち(Same Heart)」というのがあるが(このPVの中のドラムをたたくNicoleがむちゃむちゃ可愛い)、原題をアルファベット表記にすると[ttok gateun mam]、しかし、これをカタカナにしてみるとやはり「トッ カトゥン マム」という感じだ。
ついでにいえば、KARAのメンバーのク・ハラの苗字「ク」は漢字表記では「具」で、最近のプロフィールではアルファベットでKoo HaRaとされることが多いが、2010年2月に来日した際のライブ(KARA 1st showcase in Japan)のオープニング・フィルムではハッキリGu Haraと書いてある(写真)。
というわけで、以下のような一般論が導き出せる。
(1) 朝鮮語のgの音は日本ではkに転化しやすい
(2) 朝鮮語のdの音は日本ではtに転化しやすい
(3) 朝鮮語のbの音は日本ではpに転化しやすい
※(3)については逆ではないか、という話もあるが、例えばプサン→ブサンのような例がある。
そこでだ。
Gaesomunという名の人が日本に来て自分の名前を名乗ったとしよう。
頭のgは転化してkになるという法則をあてはめ、かつ、頭に強いアクセントを置いて発声してみると、おそらく聴いた人にはケスムゥン、カスムンのように聞き取れたのではないか。これに表音文字としての漢字をむりやりあてはめ「柯須彌」と表記。のちの人が漢字から読み取ったものが「かすみ」となったというわけである。(おそらく)
ヨンゲソムン(淵蓋蘇文)が『日本書紀』において伊梨柯須彌(いりかすみ)と表記されているのはたぶんそういうことである。
ちなみにヨン(淵:Yeon)の方は「エル」に近い発声だったのかもしれない。
(※ここで重要なのは、7世紀の東アジアにおいても日本と朝鮮半島ではそれぐらい言葉(発声)の違いがあったということ。)
いりかすみの「いり」は淵を高句麗語で訓読みしたもの、「かすみ」は蓋蘇文を同じく高句麗語で音読みしたものらしいです。
韓流ドラマにも興味があるのでいろいろ教えていただければと存じます。
同じ漢字でも国と時代によって読み方は少しずつ違うようですね。
高句麗語というのがどのような言語だったのか興味深いところです。