朱蒙(チュモン)が見た日本古代史(仮題)

「朱蒙」「風の国」「善徳女王」・・・韓国発歴史ドラマを題材に日本史を見つめ直す

『ミシル 新羅後宮秘録』

2011年02月20日 | 善徳女王

なんと、こんな本があったとは。
2005年に韓国で出版された小説の翻訳版。ドラマ「善徳女王」の製作に少なからず影響を与えていると思われる内容だ。

以下、訳者あとがきより引用。

ミシルの名は、高麗時代に書かれた歴史書『三国史記』や、説話・伝説などを集めた『三国遺事』には見ることができず、『花郎世紀』にのみ登場する。

『花郎世紀』とは、704年に漢山州(ハンサンジュ:ソウル)都督となった新羅の貴族、金大門(キムデモン)が執筆したもので、そのごく一部が『三国史記』に引用されているが、長らく逸書とされていた。ところが1989年、戦前に日本の宮内省に勤務していた朴昌和(パクチャンファ)氏(1962年没)が同省図書寮で見つけて密かに書き写したとされる『花郎世紀』筆写本が発見され、韓国の歴史学者たちを驚愕させた。

というのも、その書には、花郎(ファラン:新羅の青年貴族集団)の指導者である風月主(プンウオルジュ)32人の伝記とともに、近親婚、私通、同性愛、多夫制度など、当時の新羅王族・貴族階級の赤裸々な姿が描かれていたからだ。そして、男性の英雄たちを差し置いて、そこに最も多く登場する名が、ミシルというひとりの女性であった。

本国でも見つからなかった『花郎世紀』が、なんと日本の宮内省に実在したということらしい。

小説はその『花郎世紀』をもとに執筆されたもので、冒頭には系図まで挿入されている。これによれば、ミシルの弟は”馬にのれない”美生(ミセン)だし、サダハム(斯多含)とソルォン(薛原)は同じ母から生まれた異父兄弟ということらしい。