ソドンヨ(薯童謡)はネットの無料配信で初回を見ただけである。詳しいストーリーは知らない。
しかし、話の骨格として百済の武王と敵国である新羅のお姫様との物語りということで、アジア版ロミオとジュリエットのようなものなのかなと推測している。
いや、そんなことはたいしたことではないのだが、問題はその新羅のお姫様が新羅第26代真平王の娘だということである。ということはつまり、「善徳女王」で言うところのトンマン、チョンミョンの姉妹ということになるからだ。
ところが、正史である「三国史記」には善花(ソンファ)姫に関する記述はまったくない。
そして、「三国史記」にも「三国遺事」にも無視されたミシルが記述されている「花郎世紀」にあっても、善花姫の記録はいっさい無いらしい。
唯一、「三国遺事」の武王の条項の中に、いわゆる「薯童説話」として善花姫は登場する。
新羅の真平王の第三王女、善花〔あるいは善化とも書く〕が、眉目(みめ)麗しいという話を聞いて、髪を剃り(坊主の姿)、(新羅の)都にやってきた。そこで薯(いも)を街の子供らにやって食べさせたら、みんながついてきたので、童謡を作り、うまいことをいって彼らに歌わせた。その歌は次のとおりである。
善花公主(王女)の君 そっと嫁入れなされて
夜には薯童(マトン)さまを 抱きしめて立ち去る。
ハッキリと「真平王の第三王女」と書いてあるくらいだから、やはりトンマン、チョンミョンに続く3番目の王女だったということになると思うのだが、どうにもスッキリしない点が多い。
ドラマ「善徳女王」にはソンファ姫の存在はまったく表現されていないし、ドラマ「ソドンヨ」のキャスティングを見る限りチョンミョンは登場するがトンマンは登場しない(らしい?)。
「花郎世紀」の記録によれば、真平王には、王妃であるマヤ夫人のほかに10人近くのお妃様がいたようで(その中にミシルも含まれる)、単に「真平王の娘」ということだけだったら3人どころかもっと多数の娘が存在しただろう。(たとえば、ミシルとの間に生まれたのは宝華公主)
しかし、「王女」というからには王妃であるマヤ夫人との間に生まれた娘ということでないとおかしい。
その割りに史実上の扱いが悪過ぎないだろうか?
一般に、薯童謡(ソドンヨ)という説話自体は李丙博士の解釈から史実ではないとされる。
つまり、
- 武王の時代に百済と新羅とは対立関係にあった
- 両国間に通婚の事例がない
ゆえに、武王についての歴史的事実ではないということになるのだが、この点に関してはひとつ疑問を投げかけておきたい。
というのは、百済の王女が新羅に嫁いでいる事例があるのである。「三国史記」にハッキリ記録されていることだ。それも武王の時代からさほど遠くない真興王(チヌン大帝)の時代のことなのである。(「三国史記」の新羅本紀、百済本紀双方に該当の記述がある)
新羅本紀 真興王14年(553年)
冬10月、百済の王女を娶って小妃とした。
百済本紀 聖王31年(553年)
冬10月、王女が新羅〔王〕に嫁した。
再び「花郎世紀」の記録によれば、真興王にも思道皇后のほかに何人かの妃がいたようだが(もちろんミシルも含まれる)、しかし百済から来た王女に該当するような人物は見当たらない。
そもそも妃と小妃では待遇がまったく違うのかもしれないが(よくわからない)。
いずれにせよ、敵対している国だからこそ婚姻関係を結んで保険をかけるというのは、古代社会では普通に行われていたことである。(ドラマ上の設定だが「朱蒙」のなかでもテソは漢のヤンジョンの娘を妃にしたではないか)
薯童謡(ソドンヨ)の説話自体が架空のものであったとしても、ソンファ姫は確かに存在したのではないか(・・・というか、その方が興味深い)。
ところで、ソンファ役の女優さん、誰かに似ているなあと思っていたら田中麗奈?
最初はちょっととまらないかなと思っていましたが、なかなか面白くなってきました。こちらのブログで「ソドンヨ」を知って見始めました。私も「善徳女王」もしっかりみてたのでソンファ姫の存在が気になっていました。
更新楽しみにしています^^
最近仕事が忙しくてなかなか新しいドラマを観る余裕が無いのですが。
次のネタでもご紹介していますが、現在韓国で放送中の「ケベク」にもソンファ登場しているようです。
日本で放送が始まったら是非観たいですね、