(お囃子と太鼓の音とともに現れて高座に座り、深々と一礼)
……ええー。最近は漫画やゲームの影響を受けて凶悪犯罪に走る少年たちが増えていると新聞・テレビで言っておりますが、まぁ、そんな連中は昔っからいたわけで。古くは小説に感化されたり、もっと大昔には夢のお告げとかでとんでもない行動を起こした間抜けな野郎もいたわけで…。
「おーい!ご隠居!ご隠居!開けてくんな!」(ドンドンドン!)
「誰だい、こんな明け方からやぶからぼうに家の木戸を叩く奴ぁ(しんばり棒を外して扉を開けて)……なんだい、武じゃねえか。どうしたんだい?」
「何にもいわずにオイラと結婚してくんな!」(がばっとご隠居を抱き締めて)
「ちょ、ちょっとお待ちよ。お前さん、寝ぼけているのかい?(武を引き剥がしながら)あたしゃ、もう年寄りだぜ、しかも男だよ?」
「そんなに慌てないで落ち着いてくんな、順だって説明すっからよ。だから結婚してくんな」(また抱きつこうとする)
「落ち着かないといけないのはお前のほうだよ!(ぴしゃりと武の頭を叩いて)寝ぼけるのはいい加減にしろってんだよ。まぁ、ともかくおあがり。話を聞いてやるから」
「へ!こりゃありがたい。寝ぼけているわけじゃないですぜ、ついさっきまで寝ていたんだから(家に上がらせてもらえば)……ええと、お茶菓子は?」
「そういうのは催促するもんじゃないんだよ。今、湯を沸かしているから少し待ちなさい。それで、一体どうしたんだね?」
「へ。じつぁ、夢のお告げを受けたんですわ。だから目覚めてすぐにご隠居の所へすっ飛んできたってわけでさぁ」
「お前さんね。夢のお告げなんてのは大半が思い過ごしなんだよ(袂から煙管を取り出せば火をつけて一服)で、どんなお告げを受けたんだい?」
「気がつけば、おいらぁ舞台に立っていたんだ。どうもおいらぁ夢の中では漫才師になっているようでなあ。しかも超売れっ子の一人漫談師らしいんだわこれが。なんせ、千畳はあろうっていう客席にずらぁ~~~っと客が寿司詰め状態になっていてなあ」
「ほぉ。お前さん、たしか落語の真似事をやるんだったね。でも漫才師なのかい。それは変わった夢を見たねえ」
「客席の向こうが霞んで見えるほどの大観衆の視線がおいらに集中しているんだ。おらぁもう緊張しちまってなあ、何から話していいのかわかんなくまっちまってよ!」
「ああ、そりゃそうだろうねえ。お前さん、そんな大勢の人間の注目を集めたことはないからねえ」
「どーしようどーしようと頭の中でグルグルひよこさんが回っているとだ。前のほうの席で一人の女の人が、そんなおいらを見てクスクスと笑っているんだ。これはしめたね!(パチンと膝を叩いて)あの女はゲラだ」
「ゲラ…ってなんだい?あたしゃ、どうも業界用語には疎くてねえ」
「簡単に言えば、笑い上戸ってこってすわ。風が吹いて箸が転げても笑う、芸人にとってはありがたい人種っすわ」
「でも、そんな連中ばっかりだったら芸人なんかいらないんじゃないかね?」
「ちげえねえ!で、夢の続きなんですがね。その人をいじってみたんですわ。いわゆる素人いじりというやつでね。おいらぁ、あんまりそういうの好きじゃないんだけど、こうなっては仕方がない!とにかくその客に話し掛けて笑わしたんだ。そしたら笑いの波がだんだんと周囲に広がっていってね!しまいには千畳敷きの客席がどっかんどっかんと笑いの渦よ」
「……話が読めないねえ。それとあたしの所に来るのと、どう繋がるんだい?」
「まぁ、そこで夢から覚めたんですがね。おいら思ったんですわ。素人弄りでしか笑いがとれないんじゃ、碌な芸人にはなれない。ならばせめて……」
「せめて…?」
「芸人ではなく、ゲイ人になってやろうと思って……」
おあとがよろしいようで…(深々とお辞儀をすれば太鼓とお囃子がなり、高座から降りる)
……ええー。最近は漫画やゲームの影響を受けて凶悪犯罪に走る少年たちが増えていると新聞・テレビで言っておりますが、まぁ、そんな連中は昔っからいたわけで。古くは小説に感化されたり、もっと大昔には夢のお告げとかでとんでもない行動を起こした間抜けな野郎もいたわけで…。
「おーい!ご隠居!ご隠居!開けてくんな!」(ドンドンドン!)
「誰だい、こんな明け方からやぶからぼうに家の木戸を叩く奴ぁ(しんばり棒を外して扉を開けて)……なんだい、武じゃねえか。どうしたんだい?」
「何にもいわずにオイラと結婚してくんな!」(がばっとご隠居を抱き締めて)
「ちょ、ちょっとお待ちよ。お前さん、寝ぼけているのかい?(武を引き剥がしながら)あたしゃ、もう年寄りだぜ、しかも男だよ?」
「そんなに慌てないで落ち着いてくんな、順だって説明すっからよ。だから結婚してくんな」(また抱きつこうとする)
「落ち着かないといけないのはお前のほうだよ!(ぴしゃりと武の頭を叩いて)寝ぼけるのはいい加減にしろってんだよ。まぁ、ともかくおあがり。話を聞いてやるから」
「へ!こりゃありがたい。寝ぼけているわけじゃないですぜ、ついさっきまで寝ていたんだから(家に上がらせてもらえば)……ええと、お茶菓子は?」
「そういうのは催促するもんじゃないんだよ。今、湯を沸かしているから少し待ちなさい。それで、一体どうしたんだね?」
「へ。じつぁ、夢のお告げを受けたんですわ。だから目覚めてすぐにご隠居の所へすっ飛んできたってわけでさぁ」
「お前さんね。夢のお告げなんてのは大半が思い過ごしなんだよ(袂から煙管を取り出せば火をつけて一服)で、どんなお告げを受けたんだい?」
「気がつけば、おいらぁ舞台に立っていたんだ。どうもおいらぁ夢の中では漫才師になっているようでなあ。しかも超売れっ子の一人漫談師らしいんだわこれが。なんせ、千畳はあろうっていう客席にずらぁ~~~っと客が寿司詰め状態になっていてなあ」
「ほぉ。お前さん、たしか落語の真似事をやるんだったね。でも漫才師なのかい。それは変わった夢を見たねえ」
「客席の向こうが霞んで見えるほどの大観衆の視線がおいらに集中しているんだ。おらぁもう緊張しちまってなあ、何から話していいのかわかんなくまっちまってよ!」
「ああ、そりゃそうだろうねえ。お前さん、そんな大勢の人間の注目を集めたことはないからねえ」
「どーしようどーしようと頭の中でグルグルひよこさんが回っているとだ。前のほうの席で一人の女の人が、そんなおいらを見てクスクスと笑っているんだ。これはしめたね!(パチンと膝を叩いて)あの女はゲラだ」
「ゲラ…ってなんだい?あたしゃ、どうも業界用語には疎くてねえ」
「簡単に言えば、笑い上戸ってこってすわ。風が吹いて箸が転げても笑う、芸人にとってはありがたい人種っすわ」
「でも、そんな連中ばっかりだったら芸人なんかいらないんじゃないかね?」
「ちげえねえ!で、夢の続きなんですがね。その人をいじってみたんですわ。いわゆる素人いじりというやつでね。おいらぁ、あんまりそういうの好きじゃないんだけど、こうなっては仕方がない!とにかくその客に話し掛けて笑わしたんだ。そしたら笑いの波がだんだんと周囲に広がっていってね!しまいには千畳敷きの客席がどっかんどっかんと笑いの渦よ」
「……話が読めないねえ。それとあたしの所に来るのと、どう繋がるんだい?」
「まぁ、そこで夢から覚めたんですがね。おいら思ったんですわ。素人弄りでしか笑いがとれないんじゃ、碌な芸人にはなれない。ならばせめて……」
「せめて…?」
「芸人ではなく、ゲイ人になってやろうと思って……」
おあとがよろしいようで…(深々とお辞儀をすれば太鼓とお囃子がなり、高座から降りる)
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