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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

吉原本町

2012-02-15 23:10:03 | 旅行記
静岡旅行記。※前回の記事
雄大な富士山を見るため、富士市を訪れた。富士市は、富士宮市と共に富士山にもっとも近い街と言えるだろう。
以前も何度か触れているけれど、改めて富士市を紹介する。
富士市は静岡県東部の人口25万の特例市。静岡県内では、浜松、静岡に次いで3位の人口。市内には製紙工場が多くトイレットペーパー生産量は日本一で、自動車関連の工場もある。駿河湾に面した「田子の浦港」や富士川もあり、富士川を境に商用電源の周波数が変わる。富士川対岸の富士川町を2008年に編入したので、市内で50ヘルツと60ヘルツが混在することになる。

富士市の鉄道網はちょっと複雑。

富士市の大きな駅は、東海道本線(在来線)の「富士」駅と東海道新幹線の「新富士」駅。
新富士は在来線との接続のない新幹線単独の駅で、富士駅とは直線で1.4キロほど離れている。

富士市には「中心市街地」が2つあり、1つは富士駅周辺。もう1つが旧東海道「吉原(よしわら)宿」だった「吉原本町」で、富士駅からは直線で3キロほど離れている。吉原宿は江戸時代に津波の被害を2度受け、その都度内陸に移ったのだそうだ。ちなみに、いかりや長介は戦争中に吉原へ疎開していた。富士市役所も吉原本町寄りにある。
【2021年10月26日訂正・追記】1995年にNHKで放送された「BSおはよう列島 ふるさと旅列車 いかりや長介 〜静岡県 富士市〜」を見た。Wikipediaも合わせれば、疎開先は吉原ではない富士市内。終戦後も留まり、高校進学、製紙工場就職も富士市。1959年に上京。親はそのまま残ったので、実家が富士市ということになり、番組で訪問(岳南鉄道比奈駅から行っていたかな)していた。


このように、富士市は駅や市街地がだいぶ分散していることになる。
これらを結んで路線バスが走っているし、東海道本線の富士駅の1つ東隣「吉原」駅からは吉原本町方面へ行く私鉄「岳南鉄道」が出ている。


今回はとりあえず吉原本町付近にあるバスターミナルへ行きたかった。
本当なら、吉原で降りて岳南鉄道に乗り換えるのがベストだと思うが、たしか以前吉原駅に降りた時、コインロッカーがなかったと記憶している。富士駅なら確実にロッカーがあるので、富士まで行って荷物を預けてからバスに乗ることにした。

富士駅は北側が表口だが、正面には王子製紙の工場がでーんと構え、その左に商店街がまっすぐ伸びている(前回の記事の写真参照)。
その近くに、2年前に秋田店に先駆けて閉店した「イトーヨーカドー富士店」があった。※以前の記事
電車の窓からも見えるのだが、そこは、
すっかり更地になっていた

富士駅北口のバス乗り場はあまり大きくはないものの、案内所の窓口があった。
富士駅と吉原本町方面を結ぶバスは、昼間はおおむね毎時4本以上は運行されている。吉原本町にあるバスターミナル「吉原中央駅」行きと、そこを経由して各地に向かうものがある。経由違いがいくつかあるようだが、運賃は同額(300円)で時間もそう違わない(約20分)ようだ。
この路線はじめ、富士市内を走る路線バスの多くは富士急行系列の「富士急静岡バス」。他に同系列の「富士急シティバス」と山梨交通系列の「山交タウンコーチ」というバス会社も少し走っている。
塗装は富士急共通。新しい大型バスが多いが、このような古めの中型バスもいた
富士急系列のバスでは、PASMOとSuicaが運賃の支払いに使える。(整理券方式なので、乗車時と降車時の2度のタッチが必要)
乗った感じでは、ICカード利用者はそれほど多くない気もしたが、静岡でパスモが使えるのが意外。僕もSuicaで乗車したが、整理券を持たなくていいし、小銭の準備もいらないのが、とても楽ちん。ただ、運賃が高めなので残額には注意を。

富士駅前では5~6人ほどがバスを待っていた。JRから乗り継いだ人は少なそうで、ほとんどが地元の人っぽい。バスは駅を出て商店街を進む。
ところで、
吉原中央駅の時刻表の隣にあった路線図・運賃表。秋田にもこういうのがほしい
帰ってきてから写真を見て気づいたが、富士駅から500メートルほどの2つ目のバス停「富士銀座」から吉原中央駅まで乗ると250円。50円も安い!
秋田でも山王十字路、大町四丁目、総社神社前、笹岡入口とか、弘前でも中央通り二丁目とか大幅に値上がりするバス停があるんだよね。しかも、最近は車内の運賃表示器は「運賃が変わるバス停名」ではなく、「次のバス停名」が表示されるようになってきている(秋田中央交通ではごく一部の車両だけだが)ので、どこで上がるか分からないし。
【16日追記】富士急静岡バスは初乗りが150円。富士駅直前で50円値上がりするとはいえ、富士駅-吉原中央駅の距離の割に300円は高いようにも感じた。
ちなみに、初乗り160円の秋田市において、秋田駅(特記以外は西口)からの運賃が300円を超えるのは、新屋線:茨島四丁目、川尻割山線・新屋西線:上下水道局前、牛島方面各路線:二ツ屋上丁、神田線:神田、新国道経由各路線:日産サティオ前の各バス停以遠。
手形山団地線、泉ハイタウン線、桜ガ丘線(東口発)などは終点まで乗っても300円未満。
そう考えると、やっぱり富士駅-吉原中央駅300円はなんか高いな…


商店街を抜けると、住宅街のような道。正面または【18日訂正】左に、富士山が大きく見える。
秋田のように曲がりくねってはいないものの、住宅の間の狭い道を進むような区間もある。
「ロゼシアター」という文化会館のそばや総合病院、市役所前などを通り、乗ってくる人がちらほら(降りる人は少ない)。市役所前あたりからは郊外の幹線道路のような広い道で、ロードサイド店も並ぶ。
突然、道が狭くなり、家屋が密集する古くからの商店街っぽい道に変わり、また狭い道へ入ったかと思うと、終点「吉原中央駅」に到着した。


ところで、このバスターミナルは「吉原中央“駅”」という名称。
でも、鉄道が接続しているわけでも、昔は鉄道があったわけでもない。国鉄バスでも「自動車駅」、「バス駅」というものがあったが、それと同じようなものだろうか。

駅には5つのバス乗り場とタクシー乗り場、それに待合室やきっぷ売り場もある。
それらは、道路に浮かんだように島状の「ロ」の字型に配置されており、横断歩道を介して商店街へつながる。というか、横断歩道の上にバスが停まるような配置で、なんとも不思議な光景。
 
駅は壁はないけど(温暖だからね)、すっぽりと屋根で覆われている。屋根は一部が半透明の三角屋根で、柱は錆びていたりして、昭和の趣き。
バスターミナルの一角にあった、
「富士山にQ」で「ふじきゅう」=「富士急」?※これが正式なロゴなんですね。公式サイトにも出ていた

駅の時計には
「時計・宝石は富士急百貨店」
富士急百貨店は沼津駅前にあるようだが、ここから買い物に行く人はいるのかな。

駅からバスが来たのと反対側を見る
吉原中央駅の東には、アーケード付き商店街が続く。
吉原中央駅前の交差点の信号機に付いていた地点名は、
「中央駅」
秋田みたいに、なぜか1方向にしか表示がなかった。

アーケード側から見た吉原中央駅(写真左奥)
上の写真におもしろいものが写っているにお気づきでしょうか。

それは正面の信号機。宙に浮いているように見える。
ワイヤーを渡して、それに信号機を吊り下げている!
「懸垂式」と呼ばれるもので、存在は聞いていたが、実物は初めて見た。
秋田市にもあるようなまとめてアームからぶら下げた信号機も珍しいが、これも変わっている。※秋田のようなものも「懸垂式」と呼ぶ場合があるようだが、より正確には「集約式」だろうか。
【2023年5月8日追記】静岡県では、ここのような信号機をワイヤーに吊り下げて設置することが、たまに行われていて、静岡市清水区など県内のほかの場所にも複数存在するとのこと。信号柱が立てづらい環境の場合、他県では長いアームに設置することが多いが、静岡県警はワイヤーも主要な選択肢のようだ。


アーケードの商店街を歩いてみた。

古い建物が多く、空き店舗・空き地もあるが、それなりにお店はある。衰退が著しい秋田市中心市街地と比べてしまうからかもしれないが…
町の果物屋さんが生フルーツを使ったゼリーの店として有名だったり、ご当地グルメ・B級グルメで知られてきた「つけナポリタン」の店なども。
つけナポリタンって、昔から富士市に存在するのかと思っていたが、2008年にテレビ東京の番組と吉原商店街が企画開発したものなのだそうだ。今回は食べなかったけど。
アーケードのすき間に富士山

バスターミナル・吉原中央駅から600メートル東に進むと、アーケードの東端。
そこに、商店街の中にしては大きくて立派なビルがあった。
右側のビル
これは、「東京電力富士支社」だった。
なるほど。静岡県内でも50ヘルツのエリアは東京電力の管轄なわけだ。
東北電力では「支店」や「営業所」という組織はよく聞くが、「支社」というのは耳慣れない。東北電力の支社は、会津若松支社1つだけで「発電・変電・送電・配電・販売までの全ての組織を包括」しているという。東京電力では支社がたくさんあるが、業務内容は同じだろうか。(富士支社の建物は、秋田市山王の東北電力秋田支店や広小路の秋田営業所と大して変わらない規模に感じた)
東京電力といえば、昨今の事情により、厳重な警備が敷かれているイメージがあった。でも、この日は休業日だったとはいえ、富士支社の前には(関係者も部外者も)誰もいなかった。
東電富士支社・アーケード末端のすぐ先が踏切
これが岳南鉄道線。
踏切の向かいに小さな建物があり、それが、
吉原本町駅
思ったよりずっと小さな駅。ホームは1本だけで、弘南鉄道大鰐線の「弘高下」駅あたりにどことなく似た雰囲気。
これではバスの吉原中央駅のほうが立派だ。吉原本町商店街の両端に、バスと鉄道の駅があることになる。
吉原本町駅は日中は駅員がいるそうで、1時間に上下2本程度、首都圏のお下がりの電車が走るほか、沿線の工場でできた紙製品などを輸送する貨物列車もある(が先行きは明るくないような話もある)。
岳南鉄道も富士急行の系列会社で、1998年まではバス部門もあったそうだが、富士急静岡バスへ移管されている。

いつか岳南鉄道に乗ったり、つけナポリタンも味わってみたいが、今回は吉原中央駅へ戻ってバスに乗る。続きはこちら
※中心部のバス「ひまわりバス」についてはこちらで少し取り上げています

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4 コメント

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ありがとうございます (taic02)
2015-11-04 22:24:08
どこの街でも、地元の人には見慣れて当たり前なモノが、よそ者(あるいは物好き?)には珍しいことがあるものです。
吉原中央駅の光景は興味深く、今でも印象に残っています。いつかまた、おじゃまして新たな発見をさせてもらいたいです。
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Unknown (しじゅうから)
2015-11-04 11:09:53
富士市在住の者です。吉原中央駅付近にある信号機、富士急百貨店提供の時計など、着眼点がおもしろく驚きました。
返信する
おじゃましました (taic02)
2012-05-05 22:36:42
昔は活気があった場所なのだろうなと、なんとなく感じました。
今は中央駅より西側の国道139号線辺りの郊外型店舗に賑わいが移ってしまったようですね。

富士も秋田も他の多くの地方都市も、どこも似たような状況なのでしょう。
秋田市の木内も昔はまさに街の賑わい・楽しさの中核だったのですが、今は単なる衣料品店。周辺も空き店舗だらけで、夏完成の再開発事業は成功するのか不透明で、昔の賑わいが夢のようです。

富士市は秋田市よりは活気を感じましたし、岳南鉄道それに富士山と興味をひかれるものが多く、また訪れてみたいと思っています。
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故郷は遠きにありて思うもの ()
2012-05-05 21:58:19
富士に行かれたんですね。昔の中央駅はとても賑やかで、バスの到着出発の案内放送も流れていたりと活気がありました。本町駅の近くにはヤオハンがあり、すごい集客力でしたね。電車が到着するとたくさんの人達が足早にヤオハンや本町通りに向かっていた時代。街に出るって楽しみがありました。時代を感じます。富士山だけは変わっていないようですね。。。。いつか秋田の木内って百貨店に行ってみたく思っています。。。。
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