広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

竿燈間近・秋田駅

2009-07-29 20:43:45 | 秋田の季節・風景
竿燈(かんとう)を街角などに固定して設置する「置き竿燈」を紹介したが、基本的に祭り直前(7月下旬頃)から終了までの期間限定。
そんな中、秋田市内で1年中置き竿燈を見られる数少ない場所が秋田駅中央改札口前の「ぽぽろーど」。このブログでも何度かぽぽろーどの光景を紹介したので、その写真にも写っているが改めて撮影した。
西口方向。右が中央改札口
手前に斜めの竿燈と奥の赤い矢印の所、みどりの窓口前に小さめの竿燈が立っていて、計2本。

ここで竿燈のサイズを整理しておく。竿燈は演技者(差し手)の年齢に合わせて大きさが違う。以下、駅東竿燈会のサイトを参考にした。
 大若(おおわか):大人用のフルサイズ。長さ12m、重さ50kg、提灯は64×45cmのものが46個
 中若(ちゅうわか):中学生程度用。長さ9m、重さ30kg、提灯は48×36cmを46個
 小若(こわか):小学生用。長さ7m、重さ15kg、提灯は中若と同じものを24個
 幼若(ようわか):就学前~低学年用。長さ5m、重さ5kg、提灯は30×21cmを24個
僕も知らなかったけど、4種類あるといっても、提灯のサイズは3種類、提灯の個数は46個と24個の2パターンしかないことが分かった。

改めて駅の竿燈。
斜めの竿燈は大若。新幹線改札口の正面にあり、改札を出ると真っ先に目に入る
置き竿燈は地面と垂直に立っているのが普通。ここは天井の制約なのか斜めになっているのが珍しい。実際にはこんな中途半端な角度の竿燈はあり得ないが、夜は灯りがつくはずだし、写真のように昼間は窓からの光が提灯を透かせてなかなかきれい。
提灯の図柄だが、改札口から見える側は上2つに「七夕」と書かれている正式な配置。下の46個は「扇に日の丸」の佐竹家家紋であり、竿燈会の紋。
反対側
東口側から見える面は秋田市の市章。しかも竹の先端には、白い御幣がついている。まつり期間中の本番以外では旗を付けることが多いが、初めて御幣がついているものを見た。
これはかなり正式・公式なフォーマットの形態の竿燈だと思う。おそらく、自由通路の管理者(JR管轄ではない)である秋田市が、観光客歓迎の意味を込めて設置したものではないだろうか。

みどりの窓口前のは小若。てっぺんには日の丸の旗。
 
僕は今まで何気なく見てきて、ミカンの輪切りみたいな黒い方の提灯の図柄がよく分からなかったが、これは蒸気機関車の大きな車輪「動輪」のようだ。
裏は竿燈の提灯で一般的な赤文字の「若」。上の2つは「JR東日本」
というわけで、こちらはJR東日本が設置もしくは寄贈したものと考えられる。
※2012年のこの竿燈の設置風景はこちら


秋田駅西口を出て左側に、駅前広場に向かって建つJR東日本秋田支社の建物があり、その前には、今だけ置き竿燈(大若)が設置されている。

社員や関連業者などが出入りしていて、一般人は近寄り難いが、秋田駅からいちばん近い、立っている大若を見られる場所で人通りも少ないので、記念撮影に最適です。
2階まで届く高さで、竿燈の大きさが分かる
通常の置き竿燈は、前後左右から支えることが多く、棒やワイヤーが見えてしまうが、ここは後ろの屋根に立てかけるように設置しているので、すっきり見えるのもいい。
確かに動輪(右と左が微妙に違う?)
国鉄時代から制帽のマークや国鉄バスのエンブレムにもあしらわれていたそうだ。
緑のJRマークとかSuicaのペンギンに安易に走らず、黒一色の動輪にこだわるのは職人気質?
これは本物の提灯だ。北都銀行の置き竿燈の白い提灯とはもちろん違うし、町内などに飾られている提灯とも形が違い、上部がやや膨らんで丸みを帯びた形をしている。表面には亜麻仁油が塗られ、耐久性を高めるとともに独特の色合いになっている。
雨だったが、しっかりと水をはじいている
北都銀行さんの置き竿燈も来年はぜひ本物の提灯にしましょ。


再び秋田駅内。
今の時期、秋田新幹線で秋田駅に着いた人が、階段を上って中央改札口に向かうと、こういう光景。
中央右寄りの床の赤い部分は何だ?

反対から
竿燈の装飾がされている。奥の赤じゅうたんは置いておいて、まずは手前に立っている竿燈。
これが最小の「幼若」。てっぺんには御幣も旗も付いていない。あまり重くないし、簡単に固定するためだろう、キャスター付きの台に乗っている。何かの転用か、もしかしたら技術力に定評のある秋田総合車両センター(旧土崎工場)の特製かもしれない。

そして赤じゅうたん。
後ろの背の低い竿燈。提灯が16個しかない、実際はあり得ない竿燈。でも提灯は幼若用のもののようだし、あまり違和感はない。
 
なぜか外国人のマネキン。
大人が持っている提灯は、おそらく竿燈関係者が会場を歩く際に持つもの。この提灯と着ている半纏は、JR秋田支社の竿燈会メンバーが使うのと同じ本物だと思う。
子供は右手に竿燈を上げている。紙製の極小サイズだが、てっぺんには御幣らしきものもある。
 
この装飾の後ろには仕切りがあり、向こうは在来線エリア。その上には、特大のなまはげのお面が2つ、1年中飾られている。それにしても御幣も旗もない竿燈は何となくしまりが悪く見える。
幼若の提灯は「若」でも動輪でもなく、秋田市章と蕗の葉を重ねたデザイン。どこかで見たことがある。幼若の提灯は、市販の手提げ提灯用の提灯を使う町内もあるので、入手が難しいのだろうか。
【8月7日追記】蕗と秋田市章を合わせた紋は「秋田市役所竿燈会(市職員の竿燈)」のもの。上の黒の秋田市章だけの提灯は「秋田市竿燈会(竿燈参加団体をまとめる組織)」のもののようです。後日記事にします

季節ごとに手の込んだ装飾をする弘前駅ほどは力が入ってないが、お祭り気分を盛り上げ、観光客を歓迎するアイテムがあるのは楽しい。
※この装飾は秋田新幹線改札内にあるので、見るためには、新幹線に有効な乗車券・特急券または入場券が必要です。在来線のきっぷでは入れない場所です。

在来線の通路にはD51型蒸気機関車554号機の模型がある
高さ30センチ位だが、とても精巧。これは秋田総合車両センターが技術継承のために製造したもののはず。554号機というのは1941年にセンターの前身、国鉄土崎工場が最後に製造したD51のナンバー。
これが提灯に描かれる動輪(右側の3つの大きな車輪)

赤と黄色のパラソル、ババヘラアイスもいる!
また自由通路を西口へ向かって、駅ビル「トピコ」の入口。
ここにも竿燈の提灯が飾られていた
右から川尻本町、西馬口労町、下肴町、(照明で見にくいけど)上鍛冶町、上米町二丁目、南通り。
数ある町内からなぜこれらが選ばれたのかよく分からないが、せっかくだから、説明を書くとか、観光客にも「提灯の図柄の楽しさ」を分かってもらえるようにできないだろうか。
提灯はNHK跡地のものは寸胴だったが、こちらは実物と同じ真ん中が膨らんだもの。
絵柄も微妙に違い、NHK跡地と比べて、
下肴町のエビは触覚が長く、背景の青が濃くてグラデーションになっている。西馬口労町の天馬は羽の筋や目つきなどが違う。

ローソンの看板が店舗によって微妙に違うように、同じ町内の提灯でも微妙に絵が違うことがあるようだ。次回も紹介します

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3 コメント

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意外と (あどれ)
2009-07-30 21:27:49
竿燈祭りの雰囲気作りをしてるんだね、秋田市。
でもマネキンが・・・ここまでして半纏を見せる必要があるのでしょうか?ね・・・

私は自分の育った町内の提灯より、なぜか父親が居た秋田市のマークの提灯に懐かしさを覚えます。やっぱり自分より親の活躍してた姿を見ていた幼少期の思い出のほうが印象強いんだろねー。
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やはり駅には必要 (mugi-shochu)
2009-07-30 21:46:47
駅や空港など、県外客が最初に降り立つ場所には必需品ですね。
ましてお祭りとなれば、盛り上げ過ぎということはないと思います。
どうせなら、ぽぽろーどにも全町内の提灯を飾ればいいのに・・・
もちろんBGMとして竿燈の囃子が流れていた?
返信する
コメントありがとうございます (taic02)
2009-07-30 22:14:34
>あどれさん
マネキンは…弘前駅の影響を受けているのかもしれませんが、もう一工夫ほしいところ。
うちの町内は竿燈に出ないし、身内に参加者もいないので、提灯の紋は、僕は単純に絵のインパクトだけで判断してしまいます。お多福とか餅つきとか。
僕はお囃子は本囃子よりも移動時の「流し」のメロディの方が竿燈気分になります。これも竿燈に出る町内の近くで育った子供の頃の記憶なんでしょうね。

>mugi-shochuさん
お囃子は流れてなかった気がします。
青森駅や弘前駅では駅中に「金魚ねぶた」がぶら下がってとても華やかです。秋田でも提灯をたくさん飾るのもいいですね!
ぽぽろーどは祭り期間中は出店が出て賑やかになるでしょうけど、もっと「竿燈をやってます!!」というインパクトがあってもいいかもしれません。一大イベントなんだから。
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