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愛宕下橋を通るバス

2011-05-10 23:21:04 | 秋田の地理
秋田市のバス会社、秋田中央交通の公式サイトにダイヤ改正の告知が出ていた。
前から予告されていた、来週16日に開所する土崎の北部市民サービスセンター関連の改正についても出ていたが、それはまあ予想通り(機会があれば後日取り上げるかもしれません)。※その後、こちらの記事で取り上げました
予想外だったのは、7月1日に一部路線でダイヤ改正が行われること。(2か月も前に告知してくれるとは、この会社にしては用意周到だ)
対象は秋田市南東部方面の一部路線で、新設される路線がある。この記事では、このことを取り上げます。


回りくどくなりますが、まずは、秋田市南東部の路線バス事情を説明します。
秋田市南東部、牛島・仁井田(にいだ)方面への路線バスは、秋田駅西口-有楽町-牛島橋-新屋敷小路という、旧羽州街道・牛島商店街を通るコースがメインルート。秋田駅から国道13号線と合流する「二ツ屋下丁」辺りまでは、運行本数が多く、秋田市内でもバスが利用しやすい地域の1つと言える。

この方面は、以前は旧秋田市交通局(秋田市営バス)と中央交通が競合していた。
市営バスは南高校、大住団地・みなみ野、仁井田福島、上北手古野(この)など、中央交通は仁井田大野、旧雄和町・河辺町方面などへ行く路線を担当していた。市営バスは市中心部寄り、中央交通はより郊外部と棲み分けていたことになるが、その境界点の御野場団地へは両者が運行していた。
その後、いつの間にか御所野方面行きの路線ができ、交通局の廃止に伴う民間移管(競合解消)、雄和方面の2度(秋田市合併前後)の路線再編などを経て現在に至る。

僕はこの方面のバスはたまにしか乗らないが、この路線で気になることを挙げてみると、
1.路線再編が繰り返されたこととが災いして特に郊外部の路線網が分かりにくくなった
「牛島・13号線・横山・御所野」
例えば、御所野方面へ行く路線には、御野場経由、横山経由、四ツ小屋駅経由とかなんとかいろいろあり、いまいち把握できない。

2.ダイヤ設定が下手
このバス会社ではままあることと言えそうだが、ラッシュ時間帯でもないのに5分間隔で続行する時間帯があるかと思えば、20分程度間が開くこともある。
例えば、平日の秋田駅西口発下りは、
大住14:50、横山御所野14:55、福島15:00、仁井田御所野15:05
と5分間隔の運行が4連続(二ツ屋上丁まで)し、供給過剰。どれかが遅れて2台が続行することも珍しくない。
楢山広小路で大住行きと御野場行きが続行
一方、学校や買い物帰りの客が多そうな16時台は15:55、16:10、16:20、16:35と15分間が開くこともある。

3.一方通行の狭い旧道
楢山地区で一方通行路があるため、有楽町~牛島橋間の1キロ弱において上りと下りの経路・バス停の位置が離れていて、利用しづらい。
楢山南中町付近
また、一方通行区間を含む有楽町~二ツ屋下丁までの旧道は、道幅が狭く歩道がない。そのわりには歩行者・自転車や車の通行量が多いため危険であり、積雪時は道幅がさらに狭まって遅延しやすい。
積雪時の牛島東一丁目

4.遠回り
略図。緑の線がバス路線
牛島地区は秋田駅の南南東にあるので、線路沿いに南下すればよさそうなものだが、今まではそのような道路がなく、有楽町などかなり西側へ行って東へ戻る遠回りの「逆コの字」の経路になっており、距離・時間がかかる。
実際にバスに乗ってみると、もちろん北都銀行本店前や有楽町など西寄りで乗降する人も少なくないが、秋田駅前から牛島以遠まで乗り通す人の方が多い。
そういう人には、有楽町を経由するのは時間と距離の無駄ではないだろうか。

折しも昨年夏、愛宕下橋とその周辺の道路が開通し、秋田駅から牛島まで最短経路でほぼ線路沿いに南下できるルートできた。
一方通行はないし、道が広いので冬も安全に運行できそうだし、時間と距離の短縮になりそう。
ここに路線バスを走らせたらいいんじゃないかと考えていて、いつか当ブログで記事にしようと温めていたのだった…(その下書きを元に当記事を書いてます)



このほどの中央交通の告知を見ると、7月から「雄和線(楢山愛宕下橋経由)」というのが新設される
なんと愛宕下橋を通る路線バスができるのだ!
秋田市内で新しくできた道路を通る新たな路線バスができるのって、久しぶりだと思う。市営バス廃止後では初めてかもしれない。
平日は下り4本、上り5本、土日祝日は上下3本ずつだが。

詳細な経路はよく分からないが、判明しているのは、
秋田駅西口-楢山愛宕下-二ツ屋下丁-切上-四ツ小屋駅前-雄和市民センター(正しくは市民サービスセンター)
秋田駅発の下りは、愛宕下橋を過ぎて、秋田銀行牛島支店の交差点を左折して旧道に合流して踏切を渡るのは確実だろう。バス停で言うと牛島東五丁目から合流する。

問題は秋田駅西口と愛宕下橋の間のルート。考えられるのは次の2つ。
上の図を抜粋して加筆。赤い線が新路線の予想

1.駅-有楽町-楢山広小路-楢山本町(ト一屋前)-愛宕下橋
2.駅-明田地下道西交差点-築地下丁(南中前)-愛宕下橋

1だと、有楽町周辺の利用者も拾うことができるが、現在とあまり変わらず遠回りになる。「楢山本町」は1日1本の「大回り線」のバス停。
2は、かなりの距離と時間の短縮になりそう。
ただし、明田地下道西交差点南側のわずか200メートルほどの間だけなのだが、拡幅されず道幅が狭いままなので渋滞しがちで、運行の支障になるかもしれない。また、大町地区への最寄りである「北都銀行前」や買い物客に便利な「買物広場」バス停は通らない。
「築地下丁」までは築地経由の小型バス路線(と大回り線)と重複する。

ルートはどっちだろう。いろいろ妄想してみた。
まず、現在の旧道経由で約3.5キロある秋田駅西口~秋田銀行牛島支店前までの距離を上記ルートで計測してみると、1では約3.9キロと少し遠くなってしまう、2では大幅に短縮されて約2.6キロ。

時刻表を見ると、愛宕下橋経由で秋田駅西口-二ツ屋下丁が、下り11分、上り13分かかることになっている。
現行の旧道経由では同区間が下り16分、上り17分、また、同一区間と見なせる柳原(イオン秋田中央店前・13号線)経由の秋田駅西口-南高校前でも同じ。

愛宕下橋経由では、現行より5分も短縮されているので、おそらく上記「2」ではないだろうか。
信号待ちも少ないと思われ、南中の前まで来てしまえばあっという間に牛島に着いてしまいそうだ。


あと気になるのが、どこにバス停ができるのか。
まったく初めて路線バスが通ることになる、市立築山(ちくざん)小学校脇から楢山愛宕下にかけては、適切な場所に設置すれば、便利になりそうだ。

そして運賃。
上記「2」の経路だとすれば、1キロも短くなるから、うまくいけば1区間分くらい安くなったりしないだろうか。
そうなれば、時間ととともに運賃面でもメリットが生じる。
現在は秋田駅前から牛島橋~牛島東五丁目の間は250円なのだが…

なお、250円区間の「牛島東一丁目」バス停にほど近いのが、JR羽越本線の羽後牛島駅。
バスなら秋田駅から13分かかるが、電車ならわずか3~4分で140円なので、JR利用者もいるものの、いかんせん列車本数が少なく、1時間に1本あるかないか。
JRももっと本気を出してもいいと思うが、バス会社も早くて安い愛宕下橋経由を増発すれば、利用者が増えそうな気もするのだけど…

と、以上は妄想でした。
経路・運賃については、いずれ明らかになるのだから、待ちましょう。
【7月6日追記】運行が開始された。経路はやはり「2」の明田地下道西交差点~築地経由。愛宕下橋の北に「築山小学校前」という停留所が新設された。
橋の南側は、改正前から走っている「有楽町・牛島・城南中学校前経由日赤病院線(旧上北手線荒巻・古野方面を短縮した路線)」と同じ道なので、既存の「楢山愛宕下」「牛島東三丁目」を使う。ただし、両路線で上りと下りの方向が逆になる。運賃は秋田駅-楢山愛宕下間は愛宕下橋経由が250円、有楽町経由が290円と新路線の方が安いが、秋田駅-牛島東三丁目(秋田銀行牛島支店の手前)ならどちらの路線も250円
秋田駅-牛島東五丁目以遠間の運賃は、従来の有楽町・牛島橋経由と同額
【8月10日追記】上記の楢山愛宕下までの運賃は、その後、どちら経由でも250円にサイトのデータが修正された。詳しくは運行開始後の記事(この記事末尾のリンク)をご覧ください。


秋田市内では、次々に新しい道路ができるが、そこを通る路線バスはなかなかできない(市営バス時代はそうでもなかったのだが)。
それによって、市中心部の住宅地にも関わらず「バス空白域」を生じさせ、市民のバスへの無関心を引き起こしていたとも言えると思う。

既存路線に比べて時間短縮や運賃引き下げが可能になる場合もあるのだから、思い切って路線を新設したり、既存の経路を見直すことも必要だと思う。
ほかには例えば茨島・大住アンパス経由の路線なども想定できそう。



さて、もう1つの7月の新設路線は、「わだ線(横山経由)
大川反車庫(秋田営業所)-秋田駅西口-二ツ屋下丁-横山-イオンモール秋田-和田駅
という経路。なぜかひらがなで「わだ線」。JR奥羽本線の和田駅は、旧河辺町中心部にある。
これは現在の「横山経由御所野線(牛島経由)」をイオンモール秋田-和田駅で延長するもの。時間帯もほぼ変わらず、平日4往復(現在と同じ)、土日祝日2往復(現在は3往復)運行される。

ところで、考えてみれば、この2つの新設路線は、秋田市中心部と秋田市雄和地区や河辺地区を結ぶことになるのだが…

この方面の路線網は僕は詳しくないのだが、最初に書いたとおり、以前は牛島経由で雄和・河辺へ向かう路線があった。
しかし、2009年10月に不採算などのため雄和・河辺方面の全路線が廃止・再編され、秋田市が運行する「秋田市マイタウン・バス南部線」に転換したはず。(国際教養大学関係の路線を除く)
牛島経由の路線はすべて旧秋田市内で完結することになり、最遠でもJR奥羽本線四ツ小屋駅前かイオンモール秋田(当時のバス停名は「新都市交通広場」)が終点となり、雄和・河辺へはそこでマイタウンバスに乗り継ぐ必要が生じていた。

市町合併により雄和や河辺がせっかく秋田市の一部になれたのに、秋田市中心部との直通バスがなくなるとは皮肉だけど、住民の立場になれば不便だろうなと思ってはいた。
しかし、2路線の新設は、廃止から2年経たないうちに、秋田市中心部と雄和・河辺を結ぶ路線が復活するということだ。住民からの要望があったのだろうか。

そうなると、現在のマイタウン・バス南部線との兼ね合いもあるだろうから、そちらでもダイヤ改正があるのかもしれない。
それにしてもバス会社というよりも秋田市の交通政策のせいかもしれないが、なんか場当たり的なことを繰り返しているみたいで、心もとない。

なお、これらに関連して、7月1日付けで御野場方面や御所野方面の路線で一部時刻変更がある。

※マイタウン・バス等の変更についての続きはこちら
※運行開始後の様子はこちら

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