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盆灯籠の税率は?

2020-07-31 00:02:47 | 秋田のいろいろ
もう8月、(月遅れの)お盆も近い。
秋田(+青森津軽、所によっては山形庄内や岩手でも)のお盆に欠かせないのが「盆灯籠(とうろう)」。
照明の灯籠ではなく、仏事やお盆らしいアイテムをかたどって着色したモナカの皮状のもので、それを盆棚に吊るす風習がある。「下げ物」や「とうろうっこが」転じたのか「トロンコ」などと呼ぶ土地もある。
※お盆専用の「盆棚」を作らず、単に仏壇に飾る家庭も今は多いだろう。宗派などの違いか無着色の白いものもある。山形県庄内では落雁のような素材のものもあるらしい。
2010年以来、何度か取り上げ、毎年シーズンには多くのアクセスをいただいている。

盆灯籠は、もともとは農家の副業として作られていて、後に地元の菓子メーカーが製造するようになったとのこと。
秋田県では地元の大手「たけや製パン」のものが広く流通する。青森県では弘前市の「かさい製菓」のものをよく見かける。そして、その両者は、商品名が「お盆とうろう」、中身も袋のデザインも同一。
たけやでは、秋田の授産施設に製造の一部工程(組み立てなど?)を委託している。
よく分からないものの、たけやとかさいで、製造工程の(全部もしくは)どこかが共通化されていると思われる。

秋田では多くはないものの、青森市の「種金 山野辺商店」もしくは「八甲堂」というメーカーの「お盆供養とうろう」が流通していた。袋も中もたけや・かさいとは別。
ところが、その山野辺さんは2018年で廃業してしまった。
昨2019年は、まったく同じものが、北津軽郡鶴田町の「サトウ商事」の商品として売られたので、権利や型が譲渡されたと考えられる。


さて、2020年も、7月半ばからスーパーで盆灯籠が並んでいる。
今年気になるのはその消費税率。

昨年秋から、酒以外の食品と新聞は軽減税率8%に据え置かれ、それ以外が10%に引き上げられた。
盆灯籠は、食品メーカーが、食べられる原材料で製造するし、お供え菓子など食品と同じ売り場に置くスーパーが多い。
しかし、袋には「食べられません」と注記される。栄養成分も賞味期限も表示されない。
たけや製パンなど各食品メーカーにとって、おそらく唯一の食べられない商品ではないだろうか。
なお、ほんとうに食べてしまう人もいるらしいが、たけやのものは2月とか冬の時点で形としてでき上がっており、密封されずに半年以上経つのだから、食べないのが無難でしょう。

軽減税率は、イートインorテイクアウトとか、ほぼ同じ成分でもサプリメントと薬で税率が違ってしまうなど、おかしな制度。
お盆関連では、お供え用の段重ねの落雁は、ちゃんと食べられる食品扱いだから3%なんだろう。
じゃあ、盆灯籠は?


我が家でも(形式的ながら)必需品だから、買わねばならない。
買った
30日はイオングループで5%引き、7月30日は木曜だから、イオン東北運営のマックスバリュ店舗なら「ごばばばーい」のポイント5倍デーでさらにお得。
今年の秋田市内のマックスバリュでは、たけやのものしか置いていないようで、値段も標準的なので購入。ここ数年は山野辺→サトウだったから、久しぶり。
税抜き表示のレシートは、
お盆灯籠 198
「※」が付いていないから、軽減税率対象外・10%だ。
198円だと、税込み217.8円。今回は10円値引いてもらって、税込み206.8円。

ちなみに、上のハーフベーコンに「会員様割引 5%」の前に「一般割引 5%」とあるのは、これもイオン東北運営マックスバリュ恒例「ハームハムハムソーセージ(略)ごパーオフ」の5%引き。歌詞にはないものの、ベーコンも対象。感謝デーと重複適用され、ポイントも5倍でお得。


買ってきた今年のたけやのお盆とうろうは、袋も中身も、これまでと変化ないようだ。
改めて見ると、たけやは「発売元」とされている。ヤマザキ系列の商品では「製造者」「販売者」表記が普通なので、珍しいけど、やはりたけやは直接製造には関わっていないことになろう。【8月1日追記・記載された電話番号は、フリーダイヤルのお客様相談室ではなく、本社代表電話番号。フリーダイヤル設定前に印刷したのか。】
価格は、今年はイオン以外でも税込み217円で売るスーパーが多い。昨年まではもっとバラついていた気がするけど… 来春撤退するので今年で最後となる、ザ・ガーデン自由が丘西武秋田店では、昨年までは、たけやより山野辺→サトウのほうが安かったが、今年は逆転して217円のたけやが最安。あと、マックスバリュでは、7月中頃当初はもっと高く、後から値下げしたようだ(旧イオンリテール店舗では最初から217円)。
【2021年8月8日追記・翌2021年は、マックスバリュは据え置き217円、総合スーパー・イオンはちょっと値下げして213円。】
【2023年8月14日追記・2022年も2021年と同程度の価格。物価上昇が著しくなって、2023年は260円程度に値上がり。】

【8月8日追記】いただいたコメントによれば、たけやの盆とうろうは、秋田の最中種メーカーが製造しているとのこと。
また、青森の紅屋商事のドラッグストア「メガ」の折込チラシによれば、今年も以前同様、青森県内の店舗ではサトウ商事の、秋田県内の店舗ではたけや製パンの灯籠を棲み分けて販売。価格はどちらも税込み約217円。

【2023年2月8日追記・サトウ商事の製造風景が報道された】
2023年2月7日、NHKが青森放送局が「お盆の時期つり下げて飾る「お盆とうろう」作り本格的に始まる」として、製造風景を報道してくれた。東北地方の話題として、秋田県でも放送。以下、抜粋。
「お盆の時期に、墓の前や仏壇につり下げて飾る、「お盆とうろう」と呼ばれるもなか作りが、青森県鶴田町で7日から本格的に始まりました。」
「「お盆とうろう」は、もち米とコーンスターチを材料にしたもなかで、津軽地方や下北地方では、野菜や果物などの供物の代わりに墓の前や仏壇に飾って、お盆を迎える風習があります。」

「鶴田町にあるサトウ商事は、県内で唯一、「お盆とうろう」をつくっている業者」
「作業は着色した生地を蒸し上げたあと冷蔵庫で冷やして固めてから2センチほどの大きさに切ってチップ状にします。
これを専用の金型に入れて、ゆっくり焼き上げると花や仏像の形をしたもなかができ、2つのもなかを紙のひもでつなげると「お盆とうろう」が完成します。」

「作業は、5月下旬まで続き、20万個から30万個のお盆とうろうを作って、県内をはじめ、一部に同じような風習が残る北海道や秋田県などに出荷する」

大変詳しく伝えてくれ、貴重な製造シーンを見ることができた。
秋田で製造されるとうろうも、福祉施設によって冬のうちから製造されると聞いていたが、それはくっつける作業のようだった。全工程を初めて知ることができた。
青森ではここが唯一と報道された。たけや製パンのものと同一のとうろうを売る、弘前の「かさい製菓」のものは、秋田で作っているとのコメントをいただいていたが、それを裏付ける。(以上追記)


津軽地方では、お盆にお墓に供える折り詰め「法界折」があり、スーパーでも販売される。秋田市内でもまれに販売される。
それも「食べられません」扱いのものもあるので、やはり10%課税なのかな。

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4 コメント

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きれいだけど飾れない (あんなか)
2020-08-01 03:06:31
この話題が載るともうそんな季節と感じますね。
私の家はいっこう構わんという宗派で盆灯籠は飾らないです。
親戚は禅宗だったりで仏壇に飾っていたりしますが情緒があって良いなあと。
秋田市では授産所、今は地域活動支援センターと言いますが略して地活。
地活にもいろいろありまして大都会では利用者達同志で将棋やおしゃべり、入浴もさせて貰って居場所になる地活I型やII型が多いですが
秋田は作業をさせる地活III型です。
此処で日本酒の瓶結束バンドや盆灯籠を作成してます。
1時間工賃が100円でお弁当代が300円くらいかな、
1日通所してもお弁当を食べて帰りにコンビニでお菓子や缶ジュースでも買えば1日の稼ぎはそれで消えます。
この他に障害者施設としては就労継続支援B型というのもありますが基本的にやってることと待遇は同じに見えて私には違いは分からないです。
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飾っているけど分からない (taic02)
2020-08-01 19:40:31
我が家は禅宗ですが、ろくに意味も分からず、ひととおり飾っておけばいいだろうという、信心深いとは言えない家系でして…(ブログ用に調べたり、新しい住職の説明でやっと分かってきました。)
たけやの灯籠の製造過程を知ったのは、原油価格が高騰した時、施設の暖房代のやり繰りに悩んでいるという、報道でした。
今は少なくなったでしょうが、家庭の主婦が内職していた作業とも重なるかもしれません。買い叩かれてしまっているとは言い過ぎかもしれませんが、考えさせられます。
今後はコロナの影響も多少なりともあるかもしれませんね。
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Unknown (Y)
2020-08-07 05:57:31
秋田の事詳しく書かれて勉強になります。

たけやのとうろう製造は地元の最中種(もなかだね)業者に委託してますよ。
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どうもありがとうございます (taic02)
2020-08-08 00:05:45
そうですか、本体は秋田製だったのですか。
組み立ても秋田ですから、全行程を秋田県内でやっていて、かさい製菓分は、たけやから供給されいるということかもしれません。
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