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ピッツァ&ピッツァ終了

2022-08-26 19:16:52 | 昔のこと
高度経済成長期以降、技術革新や生活の変化に合わせて、数多くの新しい食品が現れた。しかし、平成末期~令和まで数十年生き残った商品であっても、ここ数年で製造終了や販売地域縮小されるものがちらほらある。1968年発売の明治のスナック菓子「カール」は、2017年からは西日本限定発売になり、1921年から90年以上売られた明治のタブレット錠菓「カルミン」は2015年で製造終了など。
これもまた、時代の変化。

今回は、明治の冷凍ピザが生産・販売終了になるという。上記例示も含めて、全部明治だな…
6月23日配信の「食品産業新聞社ニュースWEB」より。
「明治は2022年度いっぱいで冷凍ピザの生産を終了する。」
「現行の生産ラインは操業から30年以上が経過し老朽化が進む一方で、同社冷凍ピザの売上は減少傾向が長年続くため、設備の更新を断念した。」

「「明治レンジピッツァ&ピッツァ2枚入」は冷凍ピザ市場でシェアトップの商品であるため、市場への影響に配慮して段階的に販売を終了する。2022年9月から販売地域を東名阪エリアに縮小し、2023年2月末に全国での販売を終了する。」

「茨城工場を立ち上げた1976年当初から「ピッツァ&ピッツァ」(当時はオーブントースター調理)の製造を開始した。」
「「明治レンジピッツァ&ピッツァ2枚入」は2001年発売。発熱シートを付けて、レンジでも香ばしく仕上がるようにしたのも明治が初。」
「同社の冷凍ピザ事業は46年で、その歴史に幕を下ろすことになる。」
かつては、3枚入りなど他のピザもあったようだ。
製造設備更新を見送ったのは、チルド(冷蔵)やスーパーのデリカ(惣菜やベーカリー)のピザの普及も理由とのこと。


というわけで、多くの地域でまもなく購入できなくなる。
「明治の冷凍ピザ」と言われてもピンとこなかったが、「昭和からある家庭用冷凍ピザ」となれば、思い出がよみがえる。ネット上でも同様の声があるが、「生まれて初めて食べたピザが、冷凍ピザだった」というもの。宅配ピザもスーパーの惣菜のピザもなく、イタリア料理といえばスパゲティーだった頃の話。我が家では、日曜の朝によく食べていた。

普段買ってないのになくなるという理由で買うのは、商品やその常連客に対して失礼(鉄道の“葬式鉄”と同じこと)ではあるが、8月中旬に、ハッピー・ドラッグ(ウエルシアグループ)で300円強で買ってきた。その時点では在庫は通常。
2枚が上下に重なっているので分厚い袋
冷凍ピザはほぼ買わないから、5年以上ぶり(もっと今風の別商品)か。その時、オーブントースターでなく、電子レンジ加熱に代わっていたことが衝撃だった。
一般に、オーブントースターより電子レンジのほうが庫内が広いから、電子レンジ用ピザのほうがサイズは大きくできるだろう。
おいしさのヒミツ
↑上面をオーブンで焼いているとのことだが、下側は焼かずに冷凍してあるってこと?
1枚ずつトレイに入って個包装
1枚125g、345kcal。
加熱前
袋から出して、紙トレイごと500W3分、600W2分20秒。
加熱後(加熱前の写真と180度反対側)
所定時間レンジ加熱しても、チーズがあまり溶けない。それでも充分熱くなっているので、こんなもんなのでしょう。
サラミがほとんど隠れるほど、トマトソースがかかっているのが特徴的。【27日訂正】特徴的なのは、サラミがチーズよりも下にあって、多くが隠れていること。そしてトマトソースの量が多め。

ピザ生地は、6等分できるように切れ目が入っていて、容易に分割できる。厚めでしっかりしているが、中は比較的ふっくら。
トマトソースの味の主張が強く、ピリッとややスパイシーな感じも。4種のチーズ使用を売りにするわりには、相対的にチーズが控えめ。サラミやピーマン、コーンも存在感が薄い。分割した時、チーズがびろーんと伸びるよりも、ソースが垂れるほうに注意しないといけない。

昔食べた思い出のピザとは、だいぶ違う。
生地は薄く、そもそも四角かった気がする(オーブントースターの狭い庫内を有効活用できる)し、サラミやピーマンの存在感が強く(ただしサラミは少なめ)、トマトソースは控えめだったはず。
明治でリニューアルされた可能性もあるが、かなり違うので、他社製品だったのかな。
でも、今主流のピザと比べれば、マイルドというか日本的で昭和的というか、ピザを知らない日本人向けの「入門用ピザ」みたいなところは共通するかも。

定義は知らないが、こういうのを「ミックスピザ」と呼ぶのでしょう。なお、マルハニチロの冷凍ミックスピザでは、チーズの上にサラミが載っている。そのほうが主流では。

意外だったのが商品名。「ピザ」でなく「ピッツァ」である。1976年の発売開始時からそうだったのだろう。
名称欄も「ピッツァ」
21世紀に入ってからなら、「ピッツァ」表記も浸透しているが、それでも日本人で「ピッツァ」と発音する人はあまりいないだろう。サンドウィッチマンの宅配ピザのコントで「ピザじゃなくてピッツァです」とこだわる配達人がいて、それで笑いが取れるのだから。

まして45年前。そもそも「ピザ」さえ知らない人が多かったはず。
昭和末の時点では、「ピザパイ」と呼ぶことも多かった。
それは、「ピザ」だけだとナニモノか(食べ物かどうかさえ)理解できず話が通じないため、ある程度絞りこめる「パイ」を付けたのだと思う。「コリー犬」「ビーグル犬」「ふじりんご」「清見オレンジ(厳密には清見タンゴールなのだが)」「セリオンタワー」などのように。
そんな頃、「ピッツァ」なんて発音できない人もいたかもしれない。一方で、“舶来物”らしいオシャレな名前ととらえられたかもしれない。

※コメディアン・古川ロッパ(古川緑波)はグルメでもあり、1955年の「ロッパ食談」で「僕は然し、イタリー料理なら、ピザ・パイで、キャンティーってとこ」と記している。ごく一部の食通限定だろうが、日本にも古くからピザがあり、ピザパイも古い言葉ではあるようだ。


ピッツァ&ピッツァと同じ1976年に製造や制作が始まり、今も定着しているものをWikipediaから拾ってみた。順不同。
ヤマザキナビスコ(現・ヤマザキビスケット)「チップスター」、ヤマト運輸「宅急便」、日清「日清焼そばU.F.O.」と「どん兵衛きつねうどん」、石屋製菓「白い恋人」、テレビ朝日「徹子の部屋」等々。
連載終了している秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」連載開始、役目を終えた日本ビクター(現・JVCケンウッド)の家庭用VHSビデオデッキ発売も、この年。僕もほぼ同い年。短いような長いような45年という時に、なんとも言えない感慨を持たずにいられない。

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9 コメント

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安価でうまかったのに (FMEN)
2022-08-27 22:52:54
ツルハあたりでよく買ってました。
セブンは倍ぐらいの値段するのに。
代替品はアクリフーズのやつかローソンかな?
伊藤ハムのはレンジ不可能だし。
しかもチーズきにしなくて温められるからうまいこと。
2枚一気に温めて箸でわしわし食うのが良かったです。
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トップになるのは (taic02)
2022-08-27 23:25:45
1枚でも多そうだけど、ぺろっと食べられます。
明治がシェアトップだったそうで、明治亡き後どうなるかですね。昨今の情勢から値上げもありそう。
スーパーのベーカリーの小分けピザが、見切り品で安くなったところを買うのもまた、いいものですけれど。
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Unknown (Unknown)
2022-08-28 19:49:28
商品のラインナップが減るのは非常に残念。
取捨選択の時代なのでしょうか。

> アクリフーズ

いわゆる、農薬混入事件があった影響でマルハニチロ水産に吸収合併されたので、現在はマルハニチロ本体の事業かと。
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チョコレートは (あんなか)
2022-08-28 21:02:25
明治と言えばかつては川崎にデカいチョコレート工場がありました。
川崎駅北口のソリッドスクエアや34階建てのタワーマンションなど中高層ビル群のある辺りです。
夏になると川崎駅に甘いチョコの香りが漂ってきたものです。
その所為か1985年12月に開局したFM横浜最初のCMが明治のCMでした。
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コメントありがとうございます (taic02)
2022-08-30 23:17:08
>Unknownさん
大手企業であっても、需要があって売れているから、安泰というわけにもいかなくなっているみたいですね。
たしかに、今はマルハニチロから発売されています。

>あんなかさん
明治製糖の工場として、まさに明治時代から存在していたようですね。多摩川にレンガ造りの護岸壁が残っているとか。明治製菓工場は1989年まで。
大宮~上野の新幹線沿線にも、明治のほかロッテの工場もあります。こういう工場って郊外にあるイメージですが、大消費地のそばというか中にも、あるのですね。
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川崎から始まった疑獄 (FMEN)
2022-09-01 02:09:17
あの「リクルート事件」が明治製菓関連会社の川崎跡地取引から始まったんですよね。
街中工場だと大都会はビールなイメージでは。
キリンの生麦工場(箱根駅伝では順位争いがやばいときしか映らない)、今はなくなりましたがサッポロビールの恵比寿工場、アサヒビールの浅草工場(ウ○コビル)とか。
食中毒起こした雪印旧大阪工場も町工場や拘置所が近くにあり、なんか旧川尻工場のような雰囲気も。

秋田市で給食に明治が採用されないのは、ゆかりがないからでしょうか。
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Unknown (Unknown)
2022-09-01 20:03:22
そもそも、明治製菓は製薬専門のMeiji Seikaファルマとなった関係で、それ以外の部門を継承した明治乳業が現在の株式会社明治となったので、重複部門の整理の意味もあったかもしれません。

スノーブランドも、冷食はアクリフーズを経て、マルハニチロとなりましたし、牛乳も一旦切り離されたものの、系列化した雪印メグミルクとなったので、かなりの紆余曲折があったかと。
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Unknown (とき)
2022-09-04 17:00:13
田舎にビザ屋がなく、これが初ピザだった記憶です。なんかおもいでが詰まってて、無くなる前に食べたいものです。
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初めてのピザ (taic02)
2022-09-04 22:44:42
やはりそういう方が多いのでしょうね。
今ならまだ在庫がありそう。間に合うかと思いますよ。
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