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手形押ボタン通り

2020-08-27 00:01:38 | 秋田の季節・風景
手形陸橋東側、秋田市手形地区を抜ける県道28号線の続き。前回最後に、この通りに「多い」ものがあるとした。
地理院地図に加筆
↑左右の黄色い道が県道28号、その南側(かつ「十七流」表記付近より西側)が区画整理エリアなので、広めに掲載します。「NYNY」はパチンコ屋、「いとく」はスーパー。
上の地形図に、赤で西側から1から6までの番号を振ったのがその存在。
いとく前のカーブから西方向。奥の手形陸橋下の山崎町交差点まで800メートル
上の写真には、1~5が写っている。
信号機がずらりと並ぶのにお気づきだろうか。それだけなら、竿燈大通りとその裏通りなど各地にある。
ここがすごいのは、連続する6つの信号すべてが、押しボタン式(警察用語では送りがななしの「押ボタン式」が正式らしい)ということ。
「押しボタン式信号が6連続」なんて、全国的にほかにあるだろうか(誰か調べてほしい!)。【2022年8月27日追記・広島県呉市の国道31号に、850メートルほどに押ボタン信号が6つ連続する区間があるとのコメントをいただいた。】

さらにその6つ+両端2交差点の間隔の狭さ。
両端の押しボタン式でない「手形山崎町」と「広面小南(ひろおもてしょうみなみ。広面小学校の南側という意味らしい)」両交差点の間は1170メートル。その間に6つあるから、平均167メートル間隔。地図上で計測すると、
[手形山崎町]150m[1]110m[2]100m[3]120m[4]190m[5]380m[6]120m[広面小南]
1~5は特に密接していて520メートルに5つなので、平均130メートル。
「1キロに6つの押しボタン信号」とは、日本記録だったりして?!(誰か調べてほしい!!)

なお、6か所とも、脇道用の車両用感応式信号などがない、歩行者用信号と押しボタンが1組ずつ設置される、オーソドックスな押しボタン式信号。また、この区間に、信号機なしの横断歩道はない。
ちなみに、この区間のバス停は、手形東町・若葉町・野崎・赤沼入口・三吉神社入口と5つ(それでもやや多めで、最近の幹線道路に比べて間隔が短い)。
ラーメン屋は(当然間隔はまちまちだが)6つよりは多いよう(9店?)で、さすが激戦区。


横断歩道の設置間隔について。
法令では決まっておらず、要はケースバイケースなのだが、警察庁「交通規制基準」には示されている。
「横断歩道の間隔は、市街地においては、おおむね100メートル以上、非市街地においては、おおむね200メートル以上とする。ただし、通学・通園児、高齢者、身体障害者等の横断する場所や商店街等で歩行者の横断が特に多い場所においては、設置間隔を短縮することができる。」
ここは100メートル以上が適用できるであろうから、基準範囲内でしょう。
信号機の設置間隔については、特に基準はなさそう。



ところで、千秋トンネル通りの元秋田銀行保戸野出張所前(鷹匠橋西側)、あるいは外旭川アンパス通りの野村交差点東側の押しボタン式信号を横断したことがあるだろうか。
ボタンを押してもなかなか青にならず、とても待たされる場合がある。

なぜなら、すぐ隣にある通常の交差点の信号機のサイクルと連動しているから。
ボタンが押されると、隣の交差点(菊谷小路北端、野村)の同方向と同じタイミングまで待って、信号が変わる。交差点間で車両が詰まってしまわないためだと思われる。

手形の6連続押しボタンでは連動などせず、めいめいにボタンに応じてすぐ変わるようだ。
車両がつかえることはない、もしくはラッシュ時などは元から渋滞気味でつかえても差し支えないという判断なのだろう。連動させると費用がかかるだろうし、待ち時間が長いと信号無視で渡られるおそれもあるだろうし。
※ただし、この区間に限らず、誰かが渡り終えて歩行者用信号が赤になった直後にボタンを押した場合は、ただちに反応せず、一定の間隔(数十秒)を置いてから青に変わる「遅延タイマー」は設定されているのが一般的。


手形のこの通りに、押しボタン信号が連続する理由は?
・交わる道から流入する車はさほど多くないので、押しボタンでない通常の信号機を設置するほどではない。
・一方、県道の交通量が多く、横断歩行者も一定数いる場所なので、信号機なしの横断歩道では無理・危険。
・以前は西側(3・4間のパチンコ店付近以西)が3車線で、時間で進行方向が変わるリバーシブルレーンであったので、特に危険。
・一直線の道路に、あえて信号機を多く設けることで、運転者に緊張感を持たせ、スピードの出しすぎを抑止する。
といったところか。
3番の押しボタン信号を西側から
上の写真の少し東(奥)側から手前方向がリバーシブルレーンだったはず。手持ちぶさたなゲート状の物体には、車線数や走行可否を示す標識類が設置されていたはず。

密接している西側は、地図を見ると分かるように、北方向の小道はどれも秋田大学方面につながっているので、特に大学生の横断が多いと感じる。
ここで押しボタン信号の数を減らしてしまうと、横断歩道以外で横断したり、常にボタンが押されっ放しになったりしてしまうのかもしれない。数を増やして、うまく分散させているのかも。
2013年3月撮影。西から6番、その奥が広面小南。北都銀行広面支店は今はない
間隔が広い東側は、スーパーのいとく(5と6の間)があり、その来店者などの横断者も多そう。しかし、いとくの真ん前には信号がない。道路がカーブしているので、信号や横断歩道を設置しづらいのだろう。その結果、信号でないところを横断する人がいる。カーブだし、駐車場に出入りする車もあるし、危ない。

とりあえずは、6連続押しボタン式信号でも、問題はないのではないだろうか。
市街地に横断歩行者がいて当然。歩行者は面倒がったり遠慮したりせずボタンを押して渡り、運転者はゆとりを持った運転をお願いしたい。


さて、この通りは、子どもの頃から車でたまに通る程度。どこに何があったなど細部は記憶になく、昔はちょっと違う雰囲気で、気がついたら現状になっていた。
今は電線が地中化され、歩道はブロック敷きで融雪装置があり、街路灯や信号柱は茶色で統一されている。いつ、そうなったのか?

ここは、三吉神社前の旧道のバイパス的位置付けではあるが、道路そのものはそこそこ古い(今の広面小南交差点まで)。1971年の地形図では、現在と変わらなそうな線形。
その後、1991年に手形陸橋の第1段階の拡幅・リバーシブルレーン開始があり、その前後だろうか広面小南交差点以東(横金線交差、谷内佐渡方向)がバイパス化された。
1990年代中頃辺りは、もっとごちゃごちゃした街で、横型の普通の信号機だったような気がする。

そんな時、参考になるのが、設置された信号機の製造年月。
この区間では、制御器や押しボタン箱も含めて、近年交換されてしまったものもあるが、電球式の信号も残っており、それは道路改良時に新規設置されたままの可能性が高い。
※事故や故障による早期交換、あるいは在庫品や転用品の可能性(後述)もあり、断定はできない。

電球式が多く、位置的に銘板が確認しやすい、歩行者信号機を調査。
ここの歩行者用は、上や下から見た断面が三角形=背面が2面の、小糸工業(現・コイト電工)製のものが多いので、一括で設置されたかと思いきや…
太い数字が製造年。細いのは製造番号の一部
現存する電球式だけで2001年12月、2002年12月、2003年8月製と、近接ながら3回に分けて製造されていた(図中「S63」は別。後述)。2002年製と2003年製が向き合うものもあった。
製造年月が同じでも、製造番号が飛び飛びになっているのは気になるが、西・手形山崎町寄りのほうが新しい。
東側はLED式に交換済み(昨年交換されたばかりのものも)だが、さらに東の広面小南交差点には、同じ形状で「平成6年4月」製=1994年とだいぶ古いのが残っている。
したがって、東から西へ進んだ融雪設置など工事の進捗に合わせて、段階的に信号機が発注・設置されたと考えられる。

LED化は、6番5番は歩行者用・車両用とも完了。4番は車両用だけがLED化(おそらく中古転用品)。
※LED化と同時に、背中合わせ両面設置だった車両用は、警察庁の指針に従って、1方向に付き1台の片面設置になった。
冒頭と同じく5番から1番方向。手前2つがLEDの片面設置
5番は新品の低コストLED片面で「押ボタン式」表示板も新品。4番が転用LED片面、以降は電球式両面。

西側が未更新なわけで、これは、単純に少し新しい信号機だから後回しというだけかもしれない。でも、それよりも、区画整理に連動して、県道の歩道も改良されるようなので、その時まで待って取り換えるつもりではないだろうか。
あるいは、区画整理の結果、流入する道路の位置や幅が変わり、信号機・横断歩道の位置そのものが変わるということも、なくはないかもしれない。
※広面小南に古いのが残っているのは、忘れているのかも【27日補足・あるいは気まぐれで未交換】。秋田県警では珍しくない。まあ、機能としては問題ないでしょう。


この区間の歩行者用信号機12台。
LED化前をストリートビューで確認したものも含めて、上記のように小糸工業製が多く、9台あり、いずれも吊り下げ式。
小糸の吊り下げ
残り3つ、4番の北、5番の南、6番の北は別タイプだった。5、6は交換済みなので4だけ現存。
4番を東から。右側がそれ

交換済み2つも含めて、以下のような状況だった。

吊り下げでない、上下からアームで取り付ける一般的な設置方法(抱えこみ設置)。信号機自体も小糸製ではない形状。信号柱は、背が低くて飾りがない。
1番と2番でも、同じような信号柱だが、柱自体が少し違い、信号機も小糸の吊り下げ。
したがって、東寄りの初期施工区間の、低い柱だけ、違っていることになる。

この低い柱は、歩行者用信号機と押しボタン箱のためだけの柱なので、細い柱の頂部に歩行者用信号機を串刺しする「自立式歩灯」にしても良さそうな環境だが、秋田県警はそれを好まない。40年近く前、今の竿燈大通りが電線地中化された当初はあったのだが、いつの間にか通常設置に変えられ、秋田市街地には皆無。

4番北の信号機は、昭和63年1月、京三製作所製。交換済みの2台は形状は同じだったが、製造時期やOEMなどでメーカーは異なる可能性がある。
道路整備時期と比べて古いし、京三製新品は秋田市内には多くない。どこかの中古品で、元は普通のグレーだったボディを茶色に塗り直していると思われる。

やはり2000年代前半に整備された南大通りでも、中通総合病院入口の押しボタン信号の片方が類似した環境で、同様の手法(平成7年日本信号製で緑塗装)が取られている。
ボディの色落ちは進んでいるものの、機能は問題がなさそうだから構わないけど、新品を発注すれば良さそうなのに、何かの制約があったのか、節約したのか?
【31日追記】今年春(昨年度末)、交換された旧国道の歩行者用信号機でも、他は新品なのにアームが違う1か所だけ転用品(ここは京三だった)だった。今でもなお、違うアームの少量注文はしづらいのかな。


“手形通り”は“押しボタン信号通り”で、今後は南側の区画整理に伴う、歩道再整備(+信号機交換)に注目。
2021年始の強風によるここの信号機への影響

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8 コメント

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広島に6連続! (taic02)
2022-08-27 23:05:09
はじめまして。
「誰か調べてほしい」などと無責任に書いてしまいましたが、よくぞ見つけてくださいました。
やはり6連続ですか。呉は850メートルほどの区間なので、秋田よりも密(かつ等間隔な傾向?)ですが、カーブやトンネルがありますね。駅や住宅もあるため、黄色点滅では漫然運転やスピードが出てしまいがちだったかもしれません。
広島も秋田も、ほとんどの地元住民は6連続であることは意識していないのでしょうね。
ちなみに、秋田で電球式のままだった西側2つは、歩道工事に合わせて、2021年末に転用のLEDに更新されています。車両用は両面から片面に減らされたので、若干、風景が変わっています。
貴重な情報をありがとうございました。
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見つけました! (Tgh1)
2022-08-27 20:49:58
はじめまして。Tgh1と申します。楽しく記事を読ませていただきました。押ボタン式信号機6連続、見つけました!国道31号(広島県)、呉市天応「梅木町」信号を開始地点として北上し、「大屋橋北詰」信号までです。広島県は押ボタン式信号は待機時幹線黄色点滅方式が多いので、かつてはこの区間黄色点滅6連続で壮観でした。どうも最近は日中は青黄赤サイクル通常動作をしていますが、押ボタン自体は設置されており夜間押ボタン式のような運用になっているのかもしれません(未確認)。もちろん、この記事に出てくる区間のほうがインパクトがあると思います。
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広面小南 (taic02)
2020-09-06 19:33:50
「こみなみ」と読んでしまって無理ありませんよ。
まず、「施設名+方位」の交差点名は、他県に比べて秋田では少ない気がします。
こういう場面で「小学校」を「小」と略すのは、やや不適切だし、設置時期からして英字併記もできたはずで、それならまだ伝わったと思うのですが。
横金線のマックスバリュの交差点は、位置的に「広面小北」でも良さそうなのに、無名なのも気になります。
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Unknown (名無し)
2020-09-06 05:23:24
本題とあまり関係ありませんが、“広面小南”の読み方について、今まで「ひろおもてこみなみ」だと勘違いしていました(^^; 
小南という地名があるのかと思いきや、広面小学校の南側という解釈なんですね。
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渡れそうだけど (taic02)
2020-08-29 20:58:47
5・6に限れば、むしろ「横断歩道が遠い場所」になってしまうかもしれません。
いとく前から西方向を向いたケーブルテレビの道路ライブカメラの映像でも、渡ろうとしてなかなか渡れない人が映ることがあります。
片側2車線以上なら最初からあきらめる人が多いでしょうが、1車線だと渡れると思ってしまいますね…
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Unknown (sats)
2020-08-28 23:44:02
5・6間は確かに間隔広いですね。
ちょうど写真に写っているラーメン屋に行く時、指定駐車場(いとく隣の月極駐車場)に停めて歩こうとするとちょうど両信号の中間地点。
車が途切れるタイミングで渡ろうにも、交通量が多くてまず途切れません。結局信号まで歩いて遠回りした方が確実なんですよね。
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手形の街と道 (taic02)
2020-08-28 00:12:04
昔はここ経由経法大行きなんかもあり、中央交通の縄張りという印象でしたが、ある程度は市営バスも通っていたようです。バス停も共用タイプだったし。
やはり秋大生あっての街なんでしょう。元田んぼだった土地をアパートにしたとかありそう。
手形山崎町交差点が、昔は道路配置が違い、秋田銀行横から南へ行くのが狭いのに交通量が多い道でした。雑然としていました。改善されたのも区画整理の一環なのでしょう。
三吉神社前から秋大方向が、二輪車を除く一方通行でしたっけ。四輪車には一通でも狭い道ですが、一通は昼間だけで夜間は対面通行なので、大変そうです。
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Unknown (FMEN)
2020-08-27 00:24:43
昔どっかで見た古写真では、片側1車線で追い越し禁止のイエローラインで市営バスがのりいれていたようでした。
信号が多いのはかわりませんが。
大学生の数見てると確かに危ない。増税まではいとくやセブンイレブン入るとイートインが学生ばかり。
特に赤沼蛇野よりも広山田側にアパートがたくさんあります。
なんか全然街が違い活気も段違い。
以前紹介してくれたたまねぎ、ムーミン、サグラダファミリアもこの界隈の学生向け。
さらに秋銀の南道が近年まで狭くて、途中ダートになっていたはず。
これは通ったとき覚えてます。
赤沼の細い道は秋田にはめずらしい二輪を除くの標識があります。
県外からの学生や参拝に配慮したのかな。
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