秋田市南部で日本海に注ぐ秋田県最大の河川「雄物川(おものがわ)」。
雄物川は河口近くで秋田運河と分岐する。元々は秋田運河が本来の雄物川(旧雄物川)で、分岐から河口までは「雄物川放水路」という1938(昭和13)年に完成した人造の川。
本流~放水路から運河が分岐する「新屋水門」の改築とその上を通る秋田市道の拡張工事が2009年に行われた。
久しぶりに、その近辺を歩いてみた。
水門から運河側
運河へ流れ込む水量は多いが、水はきれいに見える。その向こう岸に、草できれいに覆われた小高い丘ができていた。
以前の記事で少々触れたのだけど、ここには「三角沼」がある。地形図には名称が未掲載で、通称なんだろうか。でも、後述の国交省の整備事業では、当たり前のごとく「三角沼」と呼称されている。
三角沼は、雄物川放水路の堤防の外側、すなわち秋田運河側にあり、運河が袋状になってよどんだ部分。
普通の川なら、永年の浸食で流路が変わって三日月湖(河跡湖)になりかけなのかと思ってしまうけれど、ここはかなり人の手が入っているはず。放水路完成から80年弱でこうなるとは思えないけど、どういう成因なんだろう。
(再掲)西側から見下ろす三角沼。向こうのクレーンがあるのが水門。堤防の向こうが雄物川本流~秋田大橋
所在地は放水路と運河で挟まれた勝平(かつひら)地区の新屋船場町。しかし、船場町の本体は高台にあり、三角沼はその崖下。
実際には「三角」というより「細長い」形状。
Googleマップより地図と航空写真
湖沼がほとんどない秋田平野において、有名なものは高清水公園の「空素沼(からすぬま)」とこの三角沼ではないだろうか。どちらも、危険箇所として小中学校では近づかないよう指導されることが多かったはず。三角沼はブラックバスだったか魚がよく釣れるそうで、中学生の頃は密かに釣りに行った生徒がいたものだ。【22日追記・仁井田の「やぶれ沼」ってのも有名】
僕は釣りはしないし、堤防の道路から見たことしかなかった。崖下であるせいか、工場の裏を流れる運河のイメージからか、危険指定箇所だったからか、薄暗くじめっとした印象があり、好んで近寄りたくない場所であった。
ところが、今回、水門の向こうの三角沼付近が明るく開放的な雰囲気をかもし出していて、誘われるように行ってみた。
地元の人と国土交通省がワークショップを開いたり試行錯誤したりして、三角沼周辺を憩いの場所として整備しようとしていた話は知っていたし、水門工事の時にそれらしき工事も行われていたらしかった。それが終わって、供用されていたのだった。
堤防の道路から車も下りられるようになっていて、10台程度の駐車スペースがある。
上の航空写真でも分かるが、運河と三角沼の間のほぼ四角の土地を一周するように水辺の散策路があり、その中央部が芝生の丘。
丘の傾斜はなだらかで、難なく登れる。頂上はそれなりに平ら。
南・雄物川放水路方向。堤防があるので川面は見えない。中央左奥に美大のシンボルタワー、右奥に大森山
西・三角沼と船場町方向
北・運河下流方向
丘は雄物川放水路の堤防や船場町の住宅がある所よりは低く、別段見晴らしが良いというわけでもない。
この丘、昔からあったのか。造ったのなら無駄なような気がしたけど、こんな看板が。
「水防用備蓄資材」
この丘の下に、水防用資材が埋設されており、災害時にそれを使って水防に使うのだそう。岩ズリが2600立方メートル、土砂が20000立方メートル。
【22日追記】30年以上前の航空写真で確認したところ、丘の場所は草木がほとんどなく地面むき出しの平らな土地だったようだ。
丘は草以外に、
小さなネムノキ
ネムノキが好む環境だから、自然に生えた(実生)ようだ。数本あったけど、このまま大きくなるのかな。
下の園路周辺には、地域の人などが植樹したと思われる桜のほか、大きなネムノキなども。整備前から自生していた樹木を可能な限り残したようだ。
草刈りをしていた人がいたが役所とか業者の人ではなさそう。地元の人が手入れしているのだろうか。
散策路へ。
秋田運河
対岸は三菱マテリアルの裏側のはずだけど、木で隠れて工場の面影は薄い。
運河の水際に下りられそうな階段があるが、ロープでふさがれ「近くであそぶときは川に落ちないように注意してね!」との立て札。
川幅だけ見れば旭川レベルだけど、上記の通り流れは速く、水深もありそう。落ちたら本当に危ない。
長い1本のレール?
このレールは何でしょう? カヌー関係?
【22日追記】コメントで教えていただいた。ソリ競技「スケルトン」のスタートダッシュ練習設備とのこと。レールに車輪付きの板状の物を乗せてソリの代わりとするようだ。
北側の水辺【22日追記】ここが「舟着場」らしい
北側は運河と三角沼の境目のような所。カヌーをこいでいる人がいた。
流木が散在する西側。ここが三角沼本体
敷地南端から三角沼と奥に運河
公園(と呼んでいいのかな?)内は、晴天の休日の昼なのに、犬の散歩やスケボーをしに来た人などが数組いただけ。
秋田大橋上流側の雄物川河川敷
雄物川本体の河川敷では、たくさんの人が凧揚げとかいろいろしていたけど、三角沼はあまり知られていないということか。
道路が近いのに車の音はほとんどせず、静かな場所。火の使用とか制限事項があるのかもしれないけれど、のんびりひなたぼっこしたり、ピクニックしたりにはうってつけ。【22日追記】きれいに美しく整備され、手入れされて維持されており、好感が持てた。この状態を続けてほしい。また、悪臭もしなかったし、かつては三角沼部分で見られた不法係留船も一掃されていた。
これまでの三角沼のイメージがくつがえされた。
仮設トイレらしきものがあり、水飲み場、ゴミ箱、自販機などはなし。そう言えばベンチもほとんどなかったかも。
【2018年4月29日追記】記事をアップした2015年時点でどうだったかは不明だが、少なくともその数年後の時点では、ここは正式な「公園」であるようだ。当初は秋田市が管理していたものの、2017年度頃から国土交通省の管轄になった。公園の名称は、ネットの公的な情報でも表記ゆれが見られ、「勝平三角沼公園」「三角沼河川公園」などがあるが、まあ「三角沼公園」と言えば通じそう。
※三角沼の続きは、2025年6月30日の記事。
雄物川は河口近くで秋田運河と分岐する。元々は秋田運河が本来の雄物川(旧雄物川)で、分岐から河口までは「雄物川放水路」という1938(昭和13)年に完成した人造の川。
本流~放水路から運河が分岐する「新屋水門」の改築とその上を通る秋田市道の拡張工事が2009年に行われた。
久しぶりに、その近辺を歩いてみた。

運河へ流れ込む水量は多いが、水はきれいに見える。その向こう岸に、草できれいに覆われた小高い丘ができていた。
以前の記事で少々触れたのだけど、ここには「三角沼」がある。地形図には名称が未掲載で、通称なんだろうか。でも、後述の国交省の整備事業では、当たり前のごとく「三角沼」と呼称されている。
三角沼は、雄物川放水路の堤防の外側、すなわち秋田運河側にあり、運河が袋状になってよどんだ部分。
普通の川なら、永年の浸食で流路が変わって三日月湖(河跡湖)になりかけなのかと思ってしまうけれど、ここはかなり人の手が入っているはず。放水路完成から80年弱でこうなるとは思えないけど、どういう成因なんだろう。

所在地は放水路と運河で挟まれた勝平(かつひら)地区の新屋船場町。しかし、船場町の本体は高台にあり、三角沼はその崖下。
実際には「三角」というより「細長い」形状。

湖沼がほとんどない秋田平野において、有名なものは高清水公園の「空素沼(からすぬま)」とこの三角沼ではないだろうか。どちらも、危険箇所として小中学校では近づかないよう指導されることが多かったはず。三角沼はブラックバスだったか魚がよく釣れるそうで、中学生の頃は密かに釣りに行った生徒がいたものだ。【22日追記・仁井田の「やぶれ沼」ってのも有名】
僕は釣りはしないし、堤防の道路から見たことしかなかった。崖下であるせいか、工場の裏を流れる運河のイメージからか、危険指定箇所だったからか、薄暗くじめっとした印象があり、好んで近寄りたくない場所であった。
ところが、今回、水門の向こうの三角沼付近が明るく開放的な雰囲気をかもし出していて、誘われるように行ってみた。
地元の人と国土交通省がワークショップを開いたり試行錯誤したりして、三角沼周辺を憩いの場所として整備しようとしていた話は知っていたし、水門工事の時にそれらしき工事も行われていたらしかった。それが終わって、供用されていたのだった。
堤防の道路から車も下りられるようになっていて、10台程度の駐車スペースがある。
上の航空写真でも分かるが、運河と三角沼の間のほぼ四角の土地を一周するように水辺の散策路があり、その中央部が芝生の丘。
丘の傾斜はなだらかで、難なく登れる。頂上はそれなりに平ら。



丘は雄物川放水路の堤防や船場町の住宅がある所よりは低く、別段見晴らしが良いというわけでもない。
この丘、昔からあったのか。造ったのなら無駄なような気がしたけど、こんな看板が。

この丘の下に、水防用資材が埋設されており、災害時にそれを使って水防に使うのだそう。岩ズリが2600立方メートル、土砂が20000立方メートル。
【22日追記】30年以上前の航空写真で確認したところ、丘の場所は草木がほとんどなく地面むき出しの平らな土地だったようだ。
丘は草以外に、

ネムノキが好む環境だから、自然に生えた(実生)ようだ。数本あったけど、このまま大きくなるのかな。
下の園路周辺には、地域の人などが植樹したと思われる桜のほか、大きなネムノキなども。整備前から自生していた樹木を可能な限り残したようだ。
草刈りをしていた人がいたが役所とか業者の人ではなさそう。地元の人が手入れしているのだろうか。
散策路へ。

対岸は三菱マテリアルの裏側のはずだけど、木で隠れて工場の面影は薄い。
運河の水際に下りられそうな階段があるが、ロープでふさがれ「近くであそぶときは川に落ちないように注意してね!」との立て札。
川幅だけ見れば旭川レベルだけど、上記の通り流れは速く、水深もありそう。落ちたら本当に危ない。

このレールは何でしょう? カヌー関係?
【22日追記】コメントで教えていただいた。ソリ競技「スケルトン」のスタートダッシュ練習設備とのこと。レールに車輪付きの板状の物を乗せてソリの代わりとするようだ。

北側は運河と三角沼の境目のような所。カヌーをこいでいる人がいた。


公園(と呼んでいいのかな?)内は、晴天の休日の昼なのに、犬の散歩やスケボーをしに来た人などが数組いただけ。

雄物川本体の河川敷では、たくさんの人が凧揚げとかいろいろしていたけど、三角沼はあまり知られていないということか。
道路が近いのに車の音はほとんどせず、静かな場所。火の使用とか制限事項があるのかもしれないけれど、のんびりひなたぼっこしたり、ピクニックしたりにはうってつけ。【22日追記】きれいに美しく整備され、手入れされて維持されており、好感が持てた。この状態を続けてほしい。また、悪臭もしなかったし、かつては三角沼部分で見られた不法係留船も一掃されていた。
これまでの三角沼のイメージがくつがえされた。
仮設トイレらしきものがあり、水飲み場、ゴミ箱、自販機などはなし。そう言えばベンチもほとんどなかったかも。
【2018年4月29日追記】記事をアップした2015年時点でどうだったかは不明だが、少なくともその数年後の時点では、ここは正式な「公園」であるようだ。当初は秋田市が管理していたものの、2017年度頃から国土交通省の管轄になった。公園の名称は、ネットの公的な情報でも表記ゆれが見られ、「勝平三角沼公園」「三角沼河川公園」などがあるが、まあ「三角沼公園」と言えば通じそう。
※三角沼の続きは、2025年6月30日の記事。
笹原友希選手という、ソチオリンピックに出場した日本代表の方が、現在秋田市で働きながら練習をされているのです。
NHKのニュースこまちや、ABSのNEWS every.で、今月の始め頃に盛んに特集されていたのを見ていました。
放送ではこの記事とは逆に、練習場は秋田市のどこかとしか紹介されておらず、周りの景色からおそらく新屋地区のどこかではあろうと見当を付けていたのですが、どこにあるかは私には分からなかったのです。
本日やっと分かりました。スッキリしました。ありがとうございます!
車輪がついた板を乗せて、ソリ代わりに滑らすわけですね。
夏も練習が必要だし、スタートに重点を置いた練習が必要なのも言われれば納得できますが、こういうやり方だとの想像も及ばなかったです。
となると、どうしてここにそれが設置されたかの経緯が気になりますが、それはまあいいとして。
こちらこそ謎が解けました。ありがとうございました。