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広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

弘プリ

2015-12-06 20:50:22 | 津軽のいろいろ
弘前も秋田もその他の街も、多くの地方都市では、古くからある地場のホテルと、新たに進出したチェーンのホテルの間での競争が激しい。
自分の街の老舗ホテルが廃業したり、別ブランドになったり(ホテルはくと→アパホテル秋田千秋公園)すると、利用した経験はなくても寂しいものだ。

このほど、弘前市内の地元ホテル「弘前プリンスホテル」が営業を終了した。
西武系の全国チェーンの「プリンスホテル」とは無関係。全国各地に、こういう“独立系のプリンスホテル”がたまにある。(秋田県の十和田プリンスホテルや岩手県の雫石プリンスホテルは、チェーン)

所在地は駅前1丁目3-4。地名が「駅前」というわりには、場所はやや分かりにくい。
弘前駅の北側・線路の西側にある。
弘前駅中央口を出て右側の道を進み、最初の信号機のある交差点(イトーヨーカドー手前・パチンコ屋跡)を右に曲がって、少し進んだ右側。中央口から400メートルほど。
秋田駅で例えれば、方角・距離とも、脳研裏のセントポール教会に相当する。(パチンコ屋跡の角を曲がるという点でも共通する)

今は駅正面のすぐそばに東横インとルートインができたこともあり、弘前駅に初めて降り立った旅行客にしてみれば、プリンスホテルは「遠い」と感じる立地になってしまったかもしれない。曲がってからの道は、暗くて歩道もないし。

イトーヨーカドー前付近からパチンコ屋跡越しに見たプリンスホテルの建物
駅からホテルに行く途中、上の写真に写っているように、赤い屋根の倉庫とレンガ造りの煙突(と建物)が見える。(ガスタンクは線路の向こう側)
今まで、どういう建物か意識していなかったので調べてみた。
赤い屋根は「相坂りんご倉庫」。津軽では、郊外や農村部に行けば珍しくもないけれど、こんな弘前駅前にもあるとは。現役なんだろうか?
レンガは「吉井酒造」の事務所らしい。中央弘前駅そばの吉野町の赤れんが倉庫が有名だが、こちらは煙突がアクセントになっていて特徴的。1939年築との情報がある。


話をホテルに戻して。
弘前プリンスホテルの建物の外観は、正直言って「古い」。

見た感じ、昭和40年代の建物かと思っていたが、「るるぶトラベル」ホームページによれば「建築年月:1977年(昭和52年)」。
アキタシティホテル→ホテルパールシティ秋田大町と同い年。と思えば、外観のデザインは通ずるものがあるが、アキタシティホテルは外壁塗装など何度か手が入っていて、古さは感じにくい。

僕は弘前プリンスホテルに数度、宿泊したことがある。
中も古いのだが、清掃はしっかりとされていて汚くはない。だけど、人によっては古さ=汚いととらえられてしまうかもしれない。
2011年5月の7階のシングルルーム
寝るだけだから不満はない。
しいて言えば、2013年8月時点でもテレビが小さいブラウン管(デジアナ変換)だったり、湯沸し器がニクロム線を用いた「電熱器」だったのは、時代遅れ。冷蔵庫はなかった。
特に電熱器の湯沸し器はびっくり。今は電気ポットや電気ケトルを置くホテルが多いが、たまに小容量の金属製の専用容器を載せる電磁調理器式の湯沸し器を置くホテルもある。その電磁調理器の代わりに赤く発熱するニクロム線があるタイプ。たしか沸騰すると自動停止はした。
初めて見たし、よそのホテルでも遭遇したことがなく、驚き、ヤケド(電源を切った直後に発熱部に触れたりして)や火事になりそうで、ちょっと怖かった。

僕が泊まったきっかけは、さくらまつりのオンシーズンでも空室があり、しかも料金が安かったこと。さくらまつり中は、他のホテルが軒並み“客の足もとを見た”強気の価格設定の中、良心的。

通常期もかなり安い。
営業終了間際のシングル・8%税込みの基本料金は、素泊まり4980円、朝食バイキング付き5780円。(公式サイト、楽天トラベル等のエージェント経由でも同額)
しかし、室数限定や土日限定などで朝食付き4200円とか、上手くいけば4000円以下で泊まれることもあり、いつもそっちで泊まらせてもらっていた。
この設備で他のホテルと競り合うには、このくらいの価格じゃないと…とも思っていた。



ホテルは、西面は道路に面し、東面は線路の貨物ヤードみたいなところに面していた。客室窓は東または西にあった。
僕が泊まった時はいつも西側の部屋だったけれど、東側の部屋からは線路が見えて、いわゆる「トレインビュー」だったそうだ。
(再掲)西の窓からは区画整理が進む一帯と岩木山が見えた

暮れなずむ弘前の街と岩木山

東奥日報で閉鎖が報道されたのが11月20日頃。公式ホームページでは11月5日付で「閉館のお知らせ」の告知が出ていたようだ。「株式会社弘前プリンスホテル」の社長名で「突然の閉館でご迷惑をおかけします」といった内容。
宿泊部は11月29日で終了したが、完全閉館は12月20日。

ホテルの道路を渡った真向かい、駅前2丁目8-16に「日本料理プリンスさくら亭」というのがあり、そこが12月20日まで営業を続けるそうだ(予約客のみ?)。
上の西窓からの再掲写真で、手前に写っている2階建ての建物がそれ。

実はプリンスさくら亭も、1度だけ利用したことがある。
あまり記憶にないけれど、それなりの店でそれなりのお値段だったはず。
ホテル閉店前のホームページによれば、1階にお食事処、2階に86畳の大広間のほか、和室などがあった。
メニューは「さくら亭お膳-しだれ桜-」2590円、「鰻重お膳(特上)」3240円、「天重」1295円など。
【7日追記】実際は知らないけれど、建物はプリンスさくら亭のほうがずっと新しそうに感じた。僕はさくら亭を先に使っていたので、後年、ホテル側に宿泊した時、上記のような古さに少々戸惑った。

ホテル側には、結婚式場や会議場があり、夏はビアガーデンもやっていたそうで、シティホテル的な位置付けのホテルだったのだろう。宿泊特化ホテルと違い、地元の人たちにも親しまれていたはず。赤坂プリンスホテルが「赤プリ」と呼ばれていたように、こちらが「弘プリ」と呼ばれていたわけではなさそうだけど、地元企業の1つがなくなるという意味でも、寂しい。
建物や跡地がどうなるだろうか。秋田市のホテルハワイ跡のように、空き家のままいつまでもそのままとならなければいいけど。


考えてみれば、1989年にシティ弘前ホテル(→ベストウェスタンホテルニューシティ弘前→ホテルナクアシティ弘前)ができる前は、弘前駅にいちばん近いシティホテルが弘前プリンスホテルだったのだろう。
ちなみに、弘前市内の他のシティホテル的なホテルといえば、いずれも土手町の「弘前国際ホテル」が1990年、紀伊國屋書店の上の「ホテル法華クラブ弘前店(→弘前パークホテル)」が1972年建築だそう。
弘前パークホテルがそんなに古いようには見えない。こまめにリニューアルを行って、古さを感じさせないことが大事なのかも。
【7日追記】秋田市山王の「アキタパークホテル」も1972年だそうだ。やっぱり弘前パークホテルがいちばん“歳”を感じない。
【2016年8月19日追記】弘前パークホテルは、2016年8月で開業15周年とのことだから、2001年。いつまで法華クラブとして営業していたのかは不明。
【2019年5月22日訂正】法華クラブが1972年オープンとしたのは誤りだったようです。その他の経緯と併せて、下記の通り訂正します。
ホテル法華クラブ弘前店は1983年5月1日オープン。入居する「川嶋ビル」1階には、同年9月22日に紀伊國屋書店弘前店が開店(2019年閉店)。
2000年7月に法華クラブ弘前店が営業終了、2001年にパークホテルとして開店。

【2023年4月7日追記・弘前市内のほかのシティホテルについて】
・「弘前第一ホテル」
平成初期に駅前が区画整理・再開発される以前にあり、弘前随一のシティホテルだったらしい(関連記事)。シティ弘前ホテルと直接の関係はないようだが、実質的には第一ホテルの代替の位置付けではないだろうか。
・「弘前キャッスルホテル」→「ホテルニューキャッスル」
キャッスルホテルは弘前市農協の系列企業の経営で、1978年に経営破綻により弘南バスが引き継いでニューキャッスルに。2007年に建設会社「アルク」の運営となるが、2023年に倒産。倒産を伝える陸奥新報は「市内の都市型ホテルの草分け的存在」としている。



【2016年1月29日追記】2016年1月28日の東奥日報サイトによれば「(企業としての)弘前プリンスホテルが事業を停止し、自己破産申請の準備に入った」。

【2016年4月16日追記】
2016年4月16日の東奥日報サイトに「ブリーズベイ(横浜)閉館の弘前プリンスホテル取得」との記事が出た。
ブリーズベイホテル(BBH)グループの所有となり、さくらまつりやゴールデンウイークに合わせて、4月中にオープンするとのこと。
「BBHは2015年12月現在、全国で88ホテルを展開。県内では弘前市で「ホテルハイパーヒルズ弘前」と「弘前グランドホテル」の2施設を経営」
「「立地や客室規模を踏まえ、利益を上げられると判断した」という。宿泊業務のみで、宴会やビアガーデン事業は行わない方針。」
「約3千万円を投じて客室などホテル内部を改装、従業員も新規採用」
「プリンスホテルの名称はそのまま残し、客室数も約90室で閉館以前とほぼ変わらない」
また、プリンスホテルはやはり1977年開業とのこと。

※その後、宿泊した模様は、この記事後半。
コメント (4)
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