木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

ハギトモの挑戦

2012年04月04日 | 日常雑感
2000年9月、21世紀初の夏季オリンピックがシドニーで開催された。
その大会に恵まれた体格を持つ美少女スイマーとしてハギトモこと萩原智子が出場した。
種目は背泳ぎで、200mレースでは僅かに3位に届かず、4位となった。
ここから、ハギトモの快進撃は続く。
2001年、福岡で行われた800mリレーで銅メダルを獲得したのを足がかりに、2002年には国内4冠を達成した。
しかし、9月に行われたパンパシフィック大会で過呼吸により緊急入院したのを機にハギトモの受難が始まる。
2004年のアテネオリンピックを目指すも派遣標準記録に達せず、現役引退。
現役復帰を目指した2011年には子宮内膜症になり、手術。
2000年当時、10代だったハギトモも今年は32歳になる。

実は2000年当時、私はハギトモが好きではなかった。泳ぐ意味、努力する意味をよく理解していなかったような印象を受けた。今考えれば、10代や20代前半では、当たり前だ。恵まれた体格からか、勝手に天才肌の傲慢なスイマーだと勘違いしていたのかもしれない。
雑誌のインタビューでハギトモは当時のことを「とにかく記録を出したいと思っていた」と語っていた。
今のハギトモは「願っても叶わないことは多い。多くの人間がオリンピックを目指すが出場できるのはほんの一握り。かつては、結果が出なければそれまでの苦労など何の役にも立たないと思っていたが、今は夢に向かって努力していることにも意味を感じている」と語っていた。
人は何かを失って、初めて持っていたものの価値に気づく。
今は自分のために泳いでいる。

ハギトモは今年、2012年2月に50m女子日本新を出した。
その記録を、この3月に高校生に打ち破られている。
ハギトモの記録は24秒84。
オリンピック派遣標準記録は25秒05以内、かつ2位以内。
誰もがターゲットを選考大会に向けて調整してくる。
一発勝負では何が起こるか分からない。
ハギトモの挑戦に拍手を以て見ていた者として、ぜひ成功を掴んで欲しいと思う。

ハギトモの出場する「日本選手権水泳競技大会ロンドン五輪代表選考予選」は明日、4月5日から始まる。

ハギトモのブログ「いつも笑顔で・・・」


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