*川添登『東京の原風景』筑摩書房,1993,
巣鴨のプロジェクトのため再読。
*HF研究会「高層高密度団地における戸外空間設計資料 改訂版」1969
長らく紛失していたものを、修景社の辻野氏(当時の研究会メンバーのお一人)よりコピーをいただいた。
古いレポートのなかには、時に一級の史料としての価値を持つものがある。ここで紹介する標記文献もその一つだと思う。HFというのはおそらくHigh Flatの略であろうか。編者には、〈HF研究会〉として、横山光雄、前野淳一郎、田畑貞寿、上野泰、曽宇厚之、斉藤泰子、辻野五郎丸、金井一郎、〈公団協力者〉として、沖中健、唐崎健一、弓掛泰則、坂田導夫、村田孝、各氏のお名前が記されている。そうそうたるメンバーである。
「まえがき」にこうある。「低中層団地の歴史的な総括と面開発市街地住宅の現象的な把握を、主として結合組織に注目して解析し、それを展開して、高層高密度団地における戸外空間の諸問題への展望を試みたものである」。結合組織というのは、言ってみればオープンスペースのことで、要するにランドスケープの側から、団地の空間構成のあり方について、歴史的展開をふまえて言及したレポートだ。時代背景は、郊外の低中層団地に加えて、都心の工場跡地などに高層高密度団地がさかんにつくられ始めた昭和40年代である。
レポートのポイントは(原文は非常に難解だが)、郊外の団地造園の手法によってでは、都心の高層高密度団地で求められる空間性能を満足し得ない、にもかかわらず、あいかわらず郊外の手法が都心の高層住宅でも適用されている、という問題意識にある。「都市オープンスペース」としての空間性能は、郊外の団地造園の手法では満足できないということだ。
しかし、この問題は今日においても十分に解決されたとは思えない。当時と比べて都心の集合住宅はさらに高層化が進んだが、それにあわせて、どのように戸外空間をデザインすべきかの理論的な整理・研究は実はほとんど手つかずだ。今日、集合住宅の戸外空間には、さらにひろく環境保全・再生のためのインフラとしての機能も求められている。そういった変化に対応した、ランドスケープの側からの計画論/デザイン論の整理は依然不十分だし、歴史的なトレースも足りない。
目次
まえがき
0.全体の構成と要約
1.低中層団地の歴史的な経緯
(1)視点ーHOMOとHETEROの複合性
(2)前提
(3)低中層団地の結合関係の把握
(4)結合組織の分化
(5)団地構造と都市構造
2.面開発市街地住宅の現象的な把握
(1)視点ーCLOSEDとOPENの相関性
(2)前提
(3)面開発市街地住宅の戸外空間の構造ー資料
(4)結合組織の存在形態
(5)「プロトタイプ」と「ストラテジー」
3.高層高密度住宅団地への理論的な展開
(1)視点ー内化と外化の主体性
(2)高層高密度住宅団地の理論的な可能性
(3)結論ー高層高密度住宅団地の実践的な展開のための前提概念
巣鴨のプロジェクトのため再読。
*HF研究会「高層高密度団地における戸外空間設計資料 改訂版」1969
長らく紛失していたものを、修景社の辻野氏(当時の研究会メンバーのお一人)よりコピーをいただいた。
古いレポートのなかには、時に一級の史料としての価値を持つものがある。ここで紹介する標記文献もその一つだと思う。HFというのはおそらくHigh Flatの略であろうか。編者には、〈HF研究会〉として、横山光雄、前野淳一郎、田畑貞寿、上野泰、曽宇厚之、斉藤泰子、辻野五郎丸、金井一郎、〈公団協力者〉として、沖中健、唐崎健一、弓掛泰則、坂田導夫、村田孝、各氏のお名前が記されている。そうそうたるメンバーである。
「まえがき」にこうある。「低中層団地の歴史的な総括と面開発市街地住宅の現象的な把握を、主として結合組織に注目して解析し、それを展開して、高層高密度団地における戸外空間の諸問題への展望を試みたものである」。結合組織というのは、言ってみればオープンスペースのことで、要するにランドスケープの側から、団地の空間構成のあり方について、歴史的展開をふまえて言及したレポートだ。時代背景は、郊外の低中層団地に加えて、都心の工場跡地などに高層高密度団地がさかんにつくられ始めた昭和40年代である。
レポートのポイントは(原文は非常に難解だが)、郊外の団地造園の手法によってでは、都心の高層高密度団地で求められる空間性能を満足し得ない、にもかかわらず、あいかわらず郊外の手法が都心の高層住宅でも適用されている、という問題意識にある。「都市オープンスペース」としての空間性能は、郊外の団地造園の手法では満足できないということだ。
しかし、この問題は今日においても十分に解決されたとは思えない。当時と比べて都心の集合住宅はさらに高層化が進んだが、それにあわせて、どのように戸外空間をデザインすべきかの理論的な整理・研究は実はほとんど手つかずだ。今日、集合住宅の戸外空間には、さらにひろく環境保全・再生のためのインフラとしての機能も求められている。そういった変化に対応した、ランドスケープの側からの計画論/デザイン論の整理は依然不十分だし、歴史的なトレースも足りない。
目次
まえがき
0.全体の構成と要約
1.低中層団地の歴史的な経緯
(1)視点ーHOMOとHETEROの複合性
(2)前提
(3)低中層団地の結合関係の把握
(4)結合組織の分化
(5)団地構造と都市構造
2.面開発市街地住宅の現象的な把握
(1)視点ーCLOSEDとOPENの相関性
(2)前提
(3)面開発市街地住宅の戸外空間の構造ー資料
(4)結合組織の存在形態
(5)「プロトタイプ」と「ストラテジー」
3.高層高密度住宅団地への理論的な展開
(1)視点ー内化と外化の主体性
(2)高層高密度住宅団地の理論的な可能性
(3)結論ー高層高密度住宅団地の実践的な展開のための前提概念
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