自動車運転手の労働時間規制(トラック等)

2006-11-20 | 労働関係
「2500kmを休憩5時間=過労運転指示で社長逮捕」という記事が時事通信にありました。

===== ここから(以下、時事通信参照) =====
関東~中国地方の往復約2500kmを2日半足らずで運転させたとして、茨城県警交通指導課などは20日、道交法違反(過労運転下命)の疑いで、運送会社「北関東運輸」(栃木県大田原市)社長石塚安民容疑者ら2人を逮捕した。運転手の男は5月、茨城県常陸大宮市で居眠り運転をして乗用車2台と衝突、6人を死傷させる事故を起こし、業務上過失致死傷罪で懲役2年8月の実刑が確定している。調べによると、石塚容疑者らは、この運転手が過労で正常に運転できない恐れがあると認識しながら、5月26日午前1時から28日午前10時までの間に、大田原市から岡山県新見市などに積荷を配送するよう指示し、約2500kmを運転させた疑い。
===== ここまで =====

どのような勤務体系だったのだろうか。運送事業に従事するトラック運転手の方は片道1000kmを超える距離をどの程度の時間を掛けて(平均時速で)運転しているのか。
平均時速80kmで仮に算出してみると・・・
  ①5月26日午前1時から28日午前10時までは、57時間
  ②2500kmを平均時速80kmとすると、31.25時間(31時間15分)
  ③3日分の勤務と考えると、休憩時間を3時間(②の労働時間と合わせ34時間15分)
  ④暦時間(①)から差し引くと、12時間45分(休息時間)

これらは自動車運転者でなければ考えられない勤務時間ではないのですが、自動車運転者には、連続運転時間や1日の最大運転時間などが、旧労働省より告示(平成元年第7号、改正平成12年第120号)されています。以下、自動車運転者のための労働時間等の改善のための基準より抜粋・・・

【拘束時間(1カ月)】293時間
 ※労使協定があるときは、1年のうち6カ月までは、1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長可
【拘束時間(1日)】13時間
 ※最大拘束時間16時間(ただし15時間を超える回数は1週間に2回まで)
【休息期間】継続8時間以上
 ※使用者は運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くするよう努めること
【運転時間】2日を平均し1日9時間  2週間を平均し1週44時間
【連続運転時間】4時間

上記は貨物事業(トラック)についてですが、旅客運送業(タクシー)なども別規定があります。


以前テレビで貨物運送における単価が下がっており、上記の基準を満たしておらず、休憩や休日をとるのが大変だとドライバーのインタビューを見た気がします。
このような状態が蔓延しているとすると、飲酒運転と同じように考えなくては、悲惨な事故が無くなることはない・・・経済活動(消費者~元請~下請)などを考えると一筋縄では解決できない気がしますが、何とか一歩ずつでも改善できればと思います。
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