労働大学日記 第8日(そのいち)

2006-07-18 | 労働関係
第8日は賃金に関して。

労働基準法は9条において労働者の定義、11条において賃金について定義されています。
(9条)「この法律で、『労働者』とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
(11条)「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」

労基法においては24条~28条(29条~31条は削除)に規定されています。
1.賃金の支払の5原則(24条)
2.非常時払(25条)
3.休業手当(26条)
4.出来高払制の保障給(27条)
5.最低賃金(28条)


1.賃金の支払の5原則(24条)学識者の間では4原則と言う場合が多いそうです。5原則が一般的かと思っていました
(1)通貨払いの原則
 <例外>①法令または労働協約に別段の定めがある場合(通勤定期乗車券など)
     ②厚生労働省令で定める方法(労働者の同意⇒労働組合等の同意は不可)
      ・通常の賃金を労働者の指定する金融機関への振込
      ・退職手当を小切手の交付
(2)直接払いの原則
 <例外>使者に対して支払う場合
(3)全額払いの原則
 <例外>①法令に別段の定めがある場合(所得税の源泉徴収、社会保険料の控除など)
     ②労使協定が締結されている場合(社宅、社内預金など)
     ③ノーワーク・ノーペイの原則に従う控除
(4)毎月1回以上払・定期日払いの原則(実務的にはこれを2つの原則としています)

2.非常時払(25条)
 労働者のほか労働者の収入によって生計を維持する者が、
  ・出産、疾病、災害
  ・結婚、死亡
  ・やむを得ない事由により一週間以上にわたる帰郷
の場合に、既往の労働に対する賃金を支払わなければなりません。

 その他非常時払とは異なりますが、倒産等による使用者側の原因として、
 (1)賃金不払い問題
   賃金には2年間、退職手当に関しては5年間の時効がありますので、賃金の不払いがある場合は、賃金の種類、不払いの理由等を確認し、労働センターへの相談や裁判(調停、通常訴訟など)などの対処を検討する必要があります。
 (2)倒産等による立替払い
   企業が倒産し、賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、労働者健康福祉機構が事業主に代わって立替払いする制度。立替払いを受けられる条件として、
   ①1年以上にわたって事業活動を行ってきた企業に労働者として雇用されていたが、企業の倒産に伴い退職し、その退職日の6ヵ月前の日から賃金または退職金などに未払いがあること。
   ②裁判所に対する破産等の申し立て日(破産等の場合)または労働基準監督署長に対する倒産の事実についての認定申請日の6ヵ月前の日から2年間の間に、その企業を退職したこと。

   退職日現在の年齢   未払い賃金の上限   立替払いの上限
   45歳以上~         370万円         296万円
   30歳以上~44歳      220万円         176万円
   ~30歳未満         110万円         88万円

などの対応があります。つづく・・・
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