杜国が不幸を伊良湖崎にたづねて、
鷹の声を折ふし聞きて
夢よりも現(うつつ)の鷹ぞ頼もしき 芭 蕉
句の裏に、杜国との再会の情が寓されている。逢うまでに、いろいろ再会の情を想像してはいたが、現実にこうして語り合うと、まことに心強さを感ずる、という気持である。
この句、どこか短歌的な気息を漂わせていることに注意したい。歌を心に描いていたものととると、『古今集』・恋三
むばたまの 闇の現は さだかなる
夢にいくらも まさらざりけり (詠み人知らず)
などが、発想の契機となったものであろう。
「杜国」は貞享二年、空米売買の罪に問われて、三河の畠村に蟄居(ちっきょ)、後に保美に移った。
「不幸」とは、現在のその境遇をさす。
季語は「鷹」で冬。
「古歌に、夢と現とは、いくらのちがいもない、と詠まれているが、
そうではない。こうしてこの地にゆかり深い鷹にも比すべき杜国を
一目見ただけでも、何とも頼もしく感ぜられることだ」
をしどりの来さうな池の色となる 季 己
鷹の声を折ふし聞きて
夢よりも現(うつつ)の鷹ぞ頼もしき 芭 蕉
句の裏に、杜国との再会の情が寓されている。逢うまでに、いろいろ再会の情を想像してはいたが、現実にこうして語り合うと、まことに心強さを感ずる、という気持である。
この句、どこか短歌的な気息を漂わせていることに注意したい。歌を心に描いていたものととると、『古今集』・恋三
むばたまの 闇の現は さだかなる
夢にいくらも まさらざりけり (詠み人知らず)
などが、発想の契機となったものであろう。
「杜国」は貞享二年、空米売買の罪に問われて、三河の畠村に蟄居(ちっきょ)、後に保美に移った。
「不幸」とは、現在のその境遇をさす。
季語は「鷹」で冬。
「古歌に、夢と現とは、いくらのちがいもない、と詠まれているが、
そうではない。こうしてこの地にゆかり深い鷹にも比すべき杜国を
一目見ただけでも、何とも頼もしく感ぜられることだ」
をしどりの来さうな池の色となる 季 己