壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

2008年08月13日 21時53分14秒 | Weblog
 お盆の帰省ラッシュがピークを迎えた。上りのピークは15,16日という。お互いに事故のないよう、気をつけたいものである。

 盂蘭盆につきものは蓮の花であろう。
 仏さまの乗っておられる蓮華の座、極楽の池に浮かぶ蓮の台。蓮の花は仏教の世界で最も尊ばれている通り、インドが原産の、スイレン科の多年草である。
 泥の中から生えながら、汚れに染まぬ浄らかな花を咲かせる蓮は、仏教の尊ぶ清浄の理(ことわり)を象徴するものと見立てられたのだろう。ここに「煩悩即菩提」の教えが象徴されている。
 つまり、「この泥があればこそ咲く蓮の花」ということだ。

        蓮葉(はちすば)の 濁りに染まぬ 心もて
          何かは露を 玉とあざむく   僧正遍昭
 六歌仙の一人、僧正遍昭は、なかなかユーモラスな歌を詠んでいる。
 蓮の葉の表面には、産毛のような細かい毛が密生しているものだから、その上に溜まった露は、ころころと丸く一ところに集まって、仏教の教えの清浄心そのままに、まるで水晶玉のように輝いている。僧正遍昭は、蓮の葉に溜まる露の美しさを、仏教の教義に照らして、その虚と実とを巧みに諷したものである。

 7~8月ごろ、蓮は、蓮池や沼、田などで、白や淡い紅色の花を開く。
 ところで、ハスのことをハチスと呼ぶのは何故だろう。
 蓮の花は、花びらが散ったあと、花托が大きくなって実を結ぶ。その蓮の実が一粒ずつ入っていた穴が、蓮の実のこぼれ出たあとは、まるで、蜂の巣のように見えるので、「蜂巣(はちす)」と呼ばれ、花そのものをもハチスと呼ぶようになったものであろう。
 そして、そのハチスがつまってハスとなったものと思われる。
 わが国最古の辞書『和名抄』にも、ハチスノミ・ハチスノネ・ハチスノハヒ・ハチスノクキなどとあって、ハスと訓(よ)んだ言葉はない。

 ♪踊る阿呆に見る阿呆……エライヤッチャ、エライヤッチャ…… 
 と練り歩く、徳島名物「阿波踊り」が、昨日から始まった。
 阿波藩で、徳島城を落とした祝い酒で、町民たちが踊ったのが起源というが、古い念仏踊りの変型だとも聞いた。
 鳴り物につれて大集団が、徳島全市を踊りの渦と化す阿波踊りは、ダイナミックで実に壮観である。


      阿波踊の鉦のかなしきはずはなし     季 己