壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

猛暑日

2008年08月08日 21時56分12秒 | Weblog
 今日もうだる暑さ。東京は、ことし初の猛暑日とのこと。猛暑日とは、最高気温が35度以上の日をいうらしい。すると、我が部屋は、連日猛暑日。
 今日は午後1時半に家を出たが、その際、室温は39度に達していた。

        おほた子に髪なぶらるる暑さ哉     薗 女

 作者の薗女(そのめ)は、寛文四年(1664)、伊勢山田の神職の家に生まれ、同地の俳医、斯波一有に嫁いだ。貞享頃から俳諧を嗜み、元禄三年(1690)芭蕉の門に入る。
 元禄五年に大坂に移住し、同七年、同地を訪れていた師の芭蕉をその亭に招いたこともある。
 夫と死別後、江戸に出て、其角などと親しく交わった。

 さて、句の「おほた子」は、「おうた子」が正しく、帯で背中に負うて結わえた子ということである。
 じっとしていても汗ばんでくるような暑熱のきびしい日、体温の高い赤子を背負うていると、その体熱が直接伝わって、たいそう暑苦しいのに、背中の子は、無心に指にふれる後ろ髪をもてあそんでいるようで、その暑さといったらまったく言いようもない、といった句意だろう。
 襟元にほつれた後ろ髪も、赤子を背負うことも、暑熱のひどい折には、共に暑苦しく耐え難いものであろう。

 真夏の暑さを、これほど女性的な感覚で直接とらえた句は少ないと思われる。こうした句の世界は、やはり女性独特のもので、男の俳人のよくするところではない。園女の代表作として、最もよく世に知られたものである。
 なお、園女には、夏の涼しさを髪によって詠んだ
        涼しさや襟に届かぬ髪のつと     園 女
 という句もある。


      犬の瞳に眼鏡うつれる暑さかな     季 己