壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

のうぜんかづら

2008年08月09日 23時40分00秒 | Weblog
 「源氏千年紀」ということで、それに便乗した本がやたら出版されている。
 その『源氏物語』が書かれた延喜年間に、中国から来たといわれている花の木に“のうぜんかづら”がある。
 夏の盛りに、焔のように赤く咲き誇るのが“のうぜんかづら”である。
 漢字で書くと、「凌□花」(□は、雨カンムリに肖)。
 “のうぜんかづら”は、「大空を凌いで咲く花」と漢字で書くとおり、葡萄の木のように、所々から付着根を生じ、塀や垣根、樹木などにまとい着き、自身の幹を支えて、上へ上へ、天まで昇る勢いで伸びていく寄生木なのだ。
 中には、10メートルもの高さに伸びて、まといついた宿主の木を枯らしてしまうものもある。

 朱赤色の花は、五枚の花弁が端の不揃いな漏斗形で、花筒は4~5センチ、花径は6~7センチの唇形である。厚肥えた艶やかな花弁は、燃えさかる炎のように力強く、梢の先端に群がり咲くさまは実に壮観。

 雲一つなくギラギラと眼も眩むばかりの夏の青空。それを背景にした“のうぜんかづら”の朱赤色は、実に明快なコントラストを構成している。
 したがって、《わび》と《さび》とにくすんだ純日本式庭園には、あまり似合わないが、近代的な洋風のホテルや別荘の庭園なら、効果を発揮すること請け合いである。


      通学の道 のうぜんの花明り     季 己