こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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地域の災害対策

2011-11-06 22:18:02 | 日々のあれこれ
今日は、午後から区の「災害医療に関する講義及びトリアージ実習」があり、登録ナースとして参加してきました。

講義はHUMAという特定非営利活動法人災害人道医療支援会の理事である山口孝治先生と、事務局の方でした。
山口先生は、2月にもこの研修会の講師で来てくださいましたが、実践的なお話しがとても面白く、今日も現実的な話がとても面白かったです。

    

講義の後で、トリアージの実習をしましたが、このなかでこの地域の問題が浮き彫りにされてきました。

一つは、区内の5つの小学校が地域医療救護拠点となっているのですが、その小学校でどこのスペースでトリアージや応急処置をするのかという場所がすでに決まっていました。
その確認をすると、講義の内容から考えても、全く現実的でないものであると言う事がわかりました。
これは、まったく緊急災害時の対応に関しては素人の方たちで考えたものの様でした。

ですからプレトリアージセンターからトリアージセンター、その先の救急搬送までのレアウトが全くできていないものだったわけです。

まず、地域としてこのレイアウトを考え直さなければいけないことがわかりました。

さらに、プレトリアージセンターには、緊急の際には医療職が付けるとは限らないので、地域の動ける人たちが采配しなければならないのに、地域対象にした本格的な災害時講習や実習がされていないのです。
これでは、トリアージに至るまでに混乱が避けられないことになります。

さらに、夏の災害訓練で発覚した医療備品の著しい不足が、何も改善されていないと言う事です。
横浜市の財政困難から、数年前に削減された医療備品はかなりお粗末なのもので、これで100人をどうやって救命するのかと愕然としました。
今回も、山口先生が話されていましたが「とりあえず呼吸を出来る状態にして素早く病院におくれれば、助かる命が増える。」という話を、区がどう受け止めてくれたのか心配です。

驚くのは、吸引器が一台だけ各拠点にありますが、吸引器はあっても吸引するためにその先に繋げなくてはならない吸引チューブが、1本も用意されていないのです。

点滴の液も数本、点滴の針に至っては昔ながらのトンボ針だけで、留置針は一本もありません。
留置針があれば、点滴だけではなく緊急時に穿刺針としても使えると思うのですが、きっとこの備品も現場を知らない方たちのリスト作成によるものなのでしょうね。

横浜市は、3.11を受けてこれではいけないと思ったらしく、今後対策チームを作って何年かかけて見直すらしいのですが、まあ悠長な話です。

ならば、地域で揃えるとか考えればいいのに、なんでも予算が絡んでくるので、それなら住民一人一人が自分の命は自分で守るように啓蒙しないといけないのじゃないでしょうか。

トリアージも、素人の方でもできるように「START法」が使われていますが、これも地域で繰り返し訓練しないと難しいと思います。

そういう問題が浮き彫りにされ、それに対する意見を言えただけも今回は有意義だったかもしれません。
山口先生のもっと実際の体験談などを聴く機会があればいいなあ・・と思っています。

とりあえず、近い将来来ると言われている大地震に関しても、それぞれがちゃんと考える必要があると言う事です。