こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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価値観

2011-08-19 21:52:06 | 訪問看護、緩和ケア
価値観は、人それぞれ違うのはあたりまえで、だからこそその人らしい生活ができるように支援しようと、みんな頑張っています。

でも、時々その価値観をそのまま受け入れるのはどうかな?と思う事もあります。

一般的に、社会的規範からかけ離れている、ともわれるケースは特にこれでいいのだろうか、このままでは生命の危機があると思う事があります。
そもそも、社会的規範が何なのか?というと、これもよくわかりません。
この文化圏で、ほとんどの人がこういう場合は、こうしたほうがより人に迷惑もかけず、自分たちも安全で、法律的にもスムーズな社会生活が送れるってことなんでしょうか?(そりゃ、違うぞ!という方もいらっしゃると思いますが・・)

いわゆるごみ屋敷の住人や、ネグレクト、虐待、クレーマーなどを行う人たちだって、本人たちは自分がおかしいと思っている人はいませんよね。

親への愛情はあるけれど、親が劣悪な環境で熱中症になっていても「これはただの風邪だから、カゼ薬を飲ませれば治る。だから病院などへ行って、下手な医療を施されるより、ここにいれば僕が治せる。」と断言して、脱水、発熱で動けない親の受診を拒否した家族がいたとします。

食事内容が問題でも、介護者が「これで何の問題もない。」と断言すれば、食べさせていないわけではないので、それ以上は何も言えません。
家の中がひどく汚くて、高温多湿で虫がわこうが、介護者が「別に汚くない。何を大げさな。クーラーだって入っている。」
といえば、汚くて死ぬことはないし、たまたまクーラーが古くてこのところの気温に負けサウナ状態になっていても、悪意があるわけではなく、最低限の居住空間はあるので、どうにもなりません。

でも、これって価値観の違いで済むことなんでしょうか?

瀬谷区内でも数日前に61歳の女性が熱中症で死後3日目にケアマネに発見されました。

ケアマネも看護師もヘルパーも入っていて、このままほっておくことは、私たちの価値観ではあり得ません。

行政の介入もかたくなに拒否しているご家族の価値観には沿えませんが、行政を巻き込んで、ご家族が不在の時に踏み込んでしまうことも、致し方ないと思います。

何故なら、高齢者で自分で苦痛を訴えられない患者さんにとっては、このままでは死の可能性があるということを知っているからです。

でも、結局私たちが介入できるのはそこどまりです。
受診先から、ご家族が連れて帰ってきてしまえば、また一から始まりだし、下手をすれば今入っているサービスも拒否する危険も含みます。

実際問題幼児虐待でも、行政の介入に限度がありますが、これが老人となるとさらに手が出せません。
行政の権限もまったく行使できない現状があります。

価値観でいえば、「車椅子」への受け入れにも、人によって大きな開きがあるようです。

「車椅子で外には出たくない。外には出たいけれど、行きたいところはいっぱいあるけど、歩けないなら行かない。」

「車椅子の姿を、人に見られたくない。」

この言葉を、何回も聞きました。

「車椅子」は、恥ずかしい?

今、車椅子ならとりあえず大体のところは連れて行ってあげられる。
でも、歩けるようになる可能性は、厳しいとしたら・・・。

車椅子に乗ることで、いっぱい可能性は広がります。

念願の食事に行くことも、スーパーで好きなものを買う事も、映画を見ることも、コンサートに行くことも・・。

でも、そこに「車椅子」があることは、絶対ゆるせないのだとしたら、そこはその価値観に添うしかないのかもしれません。

それは自分が自分のために選択したのだから。

スタッフも私も、毎日考えずにはいられません。

本当は、どうするのがいいのか・・を。


ところで、今日はこの地域もすごいゲリラ豪雨にみまわれました。

午前中の訪問は、ちょっと車を出ただけでバケツを頭からかぶせられて様な状況で、ずぶぬれになりました。

昼過ぎ、ステーションに戻ろうと、相沢方面からいつもの裏道をぬけましたが・・・

神社の階段は泥水の滝でした。
この後、この地区は川の増水で自主避難警告が出されました。


ちょっと段差があればこんな感じです。



排水溝からはこんな感じで水があふれ、大きな道沿いはもっと噴水みたいでした。

いつもの裏道。瀬谷センターに抜ける前の小さな橋は、一時的に冠水していましたので、軽自動車では渡れないと判断して、回り道をしました。
ステーションにもどれば、地震もも来るしで、一体日本はどうなってしまうのでしょうね。

明日は、「ホスピス・緩和ケアの集い」です。